導入事例
大手サービス業 A社様
事業変革を担う次世代リーダーの選抜に向けて、
360度フィードバックを導入
大手サービス業 A社
- 次世代リーダー育成
360度フィードバック実施の背景
ーーなぜ360度フィードバックを導入したのでしょうか?
厳しい市場競争に打ち勝っていくためにも、経営改革を積極的に進めていきたいと考えているからです。実は当社は創業以来、ユニークなビジネスモデルを展開し、二ッチな市場ではあるもののかなり高いシェアを獲得してきました。長年に渡り事業をリードしてきたのが、カリスマと呼ばれる経営者でした。非常にアイデアマンで、事業に必要な「Why」と「What」を常に打ち出し、各事業部門がそれを具現化していたのです。それでも、売上が伸び続けていたので、特に問題視する声は上がっていませんでした。
しかし、近年は状況が大きく様変わりして来ています。市場がかなり成熟化しており、当社も業績がなかなか伸びておらず、新たな経営者のもとで経営方針の転換を余儀なくされるに至ってしまったのです。
課題は、トップダウン型に慣れ切った企業体質が根強く残っていたことです。特に、部長以上の上級管理職と呼ばれるクラスが顕著でした。トップからの指示をそのまま現場に落とし込み、オペレーションを徹底させることには長けていたものの、現状を踏まえて課題を特定し、適切な解決策を打ち出して行くのが苦手であったからです。
また、業績が右肩上がりであったことにより、評価自体も緻密に設計されていなかったことも課題でした。市況が厳しくなってくると、どうしても従来のままの評価では社員の納得感を得るのが難しいと言わざるを得なくなっていたのです。上級管理職がアカウンタビリティを全うできればまだ良かったのですが、それも難しいというのが実態でした。
こうした状況では、事業改革を進めようとしても難しいと言わざるを得ません。なので、組織の中核となる上級管理職の中から、新たなステージにおいても経営幹部として事業改革を推進できる人材を選抜・育成し、そうでない方には適正なポジションに再配置するといった取り組みを実施したいと思い、360度フィードバックを導入することを決めました。何故、360度フィードバックという手法に注目したかと言えば、当社には社員一人ひとりの働きぶりを測定できるデータがなかったからです。今回、得られるデータを使ってマーキングすることが重要だと考えました。
施策実施、サービス導入のねらい
ーー施策の実施にはどのような期待があったのでしょうか?
これまでの人事評価では、業績が大きなウエイト占めていました。しかし、事業改革を進めていくためには人事評価の在り方も変えていかないといけません。そこを連動させる質問を設けた360度フィードバックを行うことによって、今後会社として大切にしたいと思っている評価項目に基づいて、それぞれの社員がどのような働きぶりをしているのかを定量化していけると期待して施策の実施を決めました。
ーーCBASEのサービスを選んだ決め手は何だったのでしょうか?
一番のポイントは、単なるツールの提供ではなく、施策全体のガイドをしていただけると思えたことです。実は、今回360度フィードバックを導入するにあたっては、現場からかなりの反発がありました。彼らからすると、繁忙期にも関わらず人事が何か勝手に進めているという印象であったのでしょう。それで、対象者となる方への説明会を開催し、「今何故マネジメントの変革が求められているのか」「これからの上級管理職にはどのような役割が期待されているのか」をじっくりと説明することにしたのです。こうしたフェーズにはじまり、360度フィードバックの実施、さらには最終的な分析に至るまでCBASEさんであればシームレスにサポートしてもらえると判断しました。
施策実施上の重視したポイント、工夫点
ーー運用するうえで気を付けたこと、意識されたことはありましたか?
対象者や回答者に360度フィードバックを実施する目的を理解してもらうことです。それと、実施しただけにならないような施策も考えるようにしました。対外的に360度フィードバックを行うと発表している一方、社員にも経営改革に向けて動いていることが実感できることが大切であったので、社内報にも取り上げてもらいました。そのあたりを工夫しましたね。
ーー運用は順調にいかれたのでしょうか。
レポートを共有しフィードバックして、気付きの理解を促し行動改善を立てるところまでは、仕組みで回せます。ただ、気付きの幅や行動改善の幅はかなり個人差がありました。それでも、もともと「この人たちは引き上げたい」と思っていた人たちは割と順調に行動改善が進んでいたので、今回のテーマである次世代リーダーの選抜自体はスムーズに運んだ気がします。大きく数値が変わってきている人も何人かいました。今後は、行動を改善することが習慣化されていかないといけません。そのテーマに対しては、別の打ち手が必要だと思っています。
ーー今は、360度フィードバックの対象層をさらに広げているとお聞きしました。
そうなんです。もともとは上級管理職だけでした。このクラスには、役員もある程度の肌感があり、360度フィードバックの実施結果を見ても「なるほど」「確かに」という反応が多かったと言えます。結果的には、その肌感をマッピングできたという感覚でした。次の課題は、その下の管理職層で有望な人材を見つけ出し、早く引き上げていくことです。ここは、さすがに役員も肌感がありませんからね。それで、対象層を広げることにしたのです。このあたりも、CBASEさんにかなり相談をさせてもらいました。
効果と今後の展開
ーー360度フィードバックでどのような効果がありましたか?
組織とか業績に与える社員一人ひとりの行動が見える化できたことではないでしょうか。それに適材適所もできつつあります。個人で言うと、社員に気付きを与え、行動を変えていける人が出てきているのが大きいです。正直なところ、これまでは管理職に対する教育はあまり積極的に取り組んでいませんでした。業績をあげられる人を優遇していたからです。それではいけない、行動変容を導いていくマネジメントが大切だと考える良いきっかけになった気がします。
実際、今回の360度フィードバックを通じて、次の事業の「What」を作り上げていく候補者が決まりました。取締役の下にくるメンバーが選出され、チーム作りを進めていこうとしています。既に、彼らが中心となってワークショップも開催されるなど、新たなアクションが起きつつあります。
もちろん、全員の意識や行動が変わってきたというわけにはいきません。そこはもっともっと工夫が必要だと考えています。
ーー社員の方々からも、何か声が寄せられていますか。
回答に関わった方にアンケートを実施したのですが、「評価対象者が自分の課題を改善しようとしている姿が見える。具体的には、最後まで話を聞いてもらえるようになった。」や「部下の会議での発言に当事者意識を感じる」など嬉しいコメントが上がってきました。
CBASE 360( ※旧スマレビ for 360°)について
ーーCBASEに今後さらに期待されることはありますか。
大きなフレームとしては、気付きがあって行動を変えるもととなる。そしてそれが、習慣化していくことがとても重要です。最終的には、それを企業の風土にしていかないといけません。そのためにも、今回グループコーチングを取り入れることにしました。グループコーチングとは、3~4名が1グループとなり1名のコーチをCBASEさんから派遣頂きます。そして、360度フィードバックを受けて自身の決めた目標を職場で実践してそれぞれが相互にコーチングして、学び合い新しい行動を取るサポートをする3か月の仕組みです。そういうところまで含めて、CBASEさんには社員の行動習慣をアップデートしていく仕組みをインストールしてもらいたいと思っています。単にサーベイで気付きを得るだけでなく、風土づくりに向けても伴走していただけることを期待しています。
360度フィードバックの導入を検討されている方に一言
ーーこれから360度フィードバックの導入を検討されている企業担当者に、アドバイスをいただけますか?
オーナー企業には、カリスマ経営者が存在しがちです。戦略だけでなく戦術のアウトラインまで提示して、現場に落とし込んでいく。そうした経営手法は、カリスマ経営者がいる間は良いのですが、何らかの理由でいなくなったり、陳腐化することが起こり得ます。
そうした局面で、管理職と呼ばれる人たちは、「今何を求められているのか」を常に意識して、自らアップデートしていく習慣を身に付けていかないといけません。こうした課題に直面する会社は、私たち以外にもあり得るのではないでしょうか。とかく業績が良いと、この点に気付きにくかったりします。しかし、業績が良いからと言って、マネジメントも現状のままで良いとは限りません。自分たちの目指す方向性に対して、それぞれの役割を確認し、スキル、マインドセットを高めていく必要があります。そのためにも、360度フィードバックは有効だと考えています。
- 大手サービス業 A社
- 創業以来事業拡大を続けてきたものの、
近年は市場の変化により大きな経営方針の転換を余儀なくされていました。
そのような中でトップダウン型に慣れてしまった企業体質を変革すべく360度フィードバックを導入し
新たな事業変革を担う次世代リーダーの選抜・育成に活用頂いた事例をお話しいただきました。