導入事例
株式会社フージャース
ホールディングス様
「フィードバックをもらって傷つく人よりも
喜んでくれる人の方が断然多かった」
360度フィードバックが社内に
予想を超える変化をもたらした
株式会社フージャース
ホールディングス
管理本部人事部 部長 松村様
管理本部人事部 課長代理 高田様
- 管理職育成
- 人材活性化
- 離職防止
360度フィードバック実施の背景
ーーなぜ360度フィードバックを導入したのでしょうか?
松村:社内では以前から、マネジャーのマネジメント力向上が課題になっていました。若手にマネジャーとの関係をヒアリングすると信頼関係が築けていないのです。若手社員が早期に退職する例もあり、役員ともマネジャーにマネジメント力の課題があることは共通認識としてありました。そうした背景から360度フィードバックを導入し、メンバーからの上司への評価をマネジメント力向上に活かそうと考えたのです。
施策実施、サービス導入のねらい
ーー施策の実施にはどのような期待があったのでしょうか?
松村:一番はマネジャーがマネジャーとしての自覚をもってほしいということです。今までのマネジャーには、人を育てる、人の面倒をみるといった役割意識をきちんと持つ人が少なかったです。360度フィードバックはまさに自分と他人の認識のズレを確認できる「ジョハリの窓」です。マネジャーの役割を果たせてないのに、できていると思っていた人も、360度フィードバックによって実際はそうではないと自覚してほしいと考えました。
高田:これまでの昇進は、営業でいえばすごく売れる人が課長になり、その中でより売れる人が部長になるというように、現場で成果を出す人が上のポジションに上がる形でマネジャー層が構成されていました。マネジメント力が評価されるのではないため、マネジャーの役割である人材育成といった能力をもっと開発しなければならないと思っていました。マネジャーには「自分は人材育成ができている」と思っている人も多く、360度フィードバックで部下の評価を取り入れて、自身が至っていない部分の気づきになればよいと考えました。
施策実施上の重視したポイント、工夫点
ーー運用するうえで気を付けたこと、意識されたことはありましたか?
松村:360度フィードバックを行うからには組織の上層からきちんと行おうということで、社長を含めて役員全員から開始し、上位の管理職から順に行っていきました。手順はサーベイを取って、本人に行動改善シート、組織改善シートを書いて提出してもらい、それをもとにフィードバック面談をオンラインで45分間行います。面談手順は冒頭に5~6分程度、自己紹介と360度フィードバックでの気づきを話してもらい、そこから面談者との質疑応答に入ります。面談者は3名~4名。直接の上長が入ると話しづらいこともあるため、面談者は人事1名と社外役員、もう1人は業務のことをある程度理解している、組織的には斜め上の関係になる人に参加してもらいました。第3者が入ることで場が落ち着き、感情的になりにくくなる利点があります。今回参加していただいた社外役員の方が360度フィードバックの面談に慣れていらして、そのやり方を皆で参考にしました。
ーー斜め上の関係にある面談者はどのように人選しましたか?
高田:明確なルールはありませんが、例えば営業マネジャーの場合は営業経験のある企画の方にお願いしたり、その部署のことを理解している関連部署の方にお願いしたりといった形で人選しました。ポジションは本部長や執行役員といった上位の方々です。その多くが経営に関わる人たちで、今回の面談でマネジメント教育の課題の深さをマネジャー本人から直接感じることができ、問題意識を強く持たれたようです。人選は大変でしたが、こうした人が立ち会ったことで結果として面談が成功したと思います。
ーーより実施効果を増すために工夫したことはありますか?
松村:1回の面談だけで課題を消化できないときには2回目の面談を行いました。そのような対応を取った方は、個人としての課題が大きく、かつ変わろうとする意欲が見えた人です。また、行動改善シートの内容が薄いときには書き直しを求めるなど、本人の内省を深めることを意識しました。
効果と今後の展開
ーー360度フィードバックでどのような効果がありましたか。
松村:360度フィードバックを契機に、自身の今後について上の人と話ができる場をセッティングできたことが、施策としてはすごくよかったと思います。最初、役員クラスで360度フィードバックを行ったときは、結果がどうなるかはまったくわかりませんでした。しかし、行っていく中で、役員クラスの方でも社長とじっくり話をする機会がなかったという人が何人もいて、皆、終わってからは「360度フィードバックで自分の課題感や自分への期待について話をする機会を持ててすごくよかった」という声が聞かれました。マネジャーも斜め上の普段話さない役員クラスと話ができ、フィードバックでは厳しいことも言われますが、それによって傷つくというよりは喜んでいる人の方が多かったと思います。
高田:サーベイをみて、「きちんと評価されているな」という人もいれば、自分で信頼関係が築けていると思っていたのに点数が低くてショックを受けた人もいます。しかし、落ち込んだあとに自身を俯瞰して、それを自分の課題と捉えてマインドセットされた人が多くいらっしゃいました。
ーーサーベイをつける側はどのように向き合われていましたか?
松村:部署にもよりますが、社風的にサーベイも遠慮なく書く人が多かったように思います。コメントを読んでも、結構ストレートに書いていると思いました。中には厳しめの内容もありましたが、それも本人のためを思ってのことと感じられました。
ーー今後の展開として計画されていることはありますか?
松村:360度フィードバックは初めての試みでしたので特に力を入れて実施しましたが、毎年行うにはやや運用面でパワーがかかります。ただ、コロナ禍で面談にオンラインを導入しやすかった点はよかったと思いますし、360度フィードバックはオンラインでも十分に行えると思いました。今後は360度フィードバックをマネジャー評価に加えることも含めて、やり方を検討していきたいです。データを取るばかりでは改善に結びつかないので、面談に力を入れたいと思います。そのうえで社内にマネジャーが成長していける文化をつくっていきたいと思います。
CBASE 360( ※旧スマレビ for 360°)について
ーーCBASEのサービスについて一言いただけますでしょうか?
松村:システムは使いやすく、動作にストレスもなく、帳票も見やすい。導入時にどのように運営しようかと迷ったときも、シーベースの社長様から面談のやり方やフィードバックのタイミングなど細かくアドバイスをいただき、大変助かりました。今回の360度フィードバックのサービスは3社の中で決定しましたが、シーベースさんにお願いしてよかったと思います。
360度フィードバックの導入を検討されている方に一言
ーーこれから360度フィードバックの導入を検討されている企業担当者に、アドバイスをいただけますか?
松村:本音で言えば人事が360度フィードバックを行うのは負荷もあって、運営面で厳しい面もあります。しかし、360度フィードバックを通じて、マネジャーは本人の問題についてきちんと話し合う場が提供され、上層の役員もその本人に興味を持っていて、応援しているということを伝えられる場が持てることは大きな価値があると感じました。世の中の動向としては人と人の関わりは薄まる方向にありますが、それだけに社内で人と人の面談を通じて、きちんと向き合えることはとても意味のあることだと思います。私自身も今回の経験で360度フィードバックへの認識が改まり、人事としての視野も広がりました。
高田:360度フィードバックは目の前の業務についてのフィードバックというだけでなく、自分の課題を認識して、目の前の成果というよりも、自分の将来を自分でマネジメントしていくきっかけになると思います。面談を見ていて、私も今後自分がビジネスパーソンとしてどのように成長したいかという、個人としてのキャリアを見つめ直すよい機会になりました。
- 株式会社フージャース
ホールディングス - 事業内容:不動産開発、CCRC、不動産投資、不動産関連サービス
設立:2013年4月
従業員数:832名(グループ会社含む2021年3月31日現在)