導入事例
三幸製菓株式会社様
サーベイ実施に際し、経営陣が
「従業員の意見に応える」と約束
従業員と企業に信頼関係が生まれ、離職率が大幅に低下
三幸製菓株式会社
社長室ご担当者様
- 離職防止
- 組織改革
- 理念浸透
従業員満足度調査の実施の背景
ーーなぜ、従業員満足度調査を導入されたのでしょうか?
CBASEさんにお願いして、初めて従業員満足調査を行ったのは2年前です。
当時、何が起きていたかというと、新卒入社者も中途入社者も従業員の定着率が非常に悪く、複数の部署で同様のことが起きていました。
一つの理由として従業員が業務改善の声を上げても上に届かないことが不満につながり退社者を増やしていたのです。従業員も自分たちの声が上に届く環境でないと働きがいを感じられません。
こうなった背景と考えられるのは当社が売り上げ第一主義できたことです。
私たちは業界最後発の1962年の創業ですが、売り上げはこれまで順調に伸びてきました。しかし、そのしわ寄せが従業員に来ていたように思います。
こうした状況が変わったのは2年前に経営体制が変わってからです。当社には創業以来、『三つの幸せ』「お客様に幸せ、お取引先様に幸せ、会社と社員に幸せ」という社是がございます。
あらためて当社代表がこの3番目の会社と社員の幸せについて、「社員が働いていて幸せを感じられなかったら、お客様もお取引先様も幸せにできるはずはない」「お客様のファンを増やす前に、社内で社員のファンを増やそう。皆でそこに取り組もう」と語りかけたことが、すべての始まりとなりました。
経営陣が一体となって社内改革に乗り出し、その第一弾として従業員の本音を聞き出す従業員満足度調査を行うことになりました。
施策実施上の重視したポイント、工夫点
ーー従業員満足度調査を実施するうえで工夫されたこと、または、こだわられたことは何かありましたか?
始めに私たちが経営陣と約束したことは、出てきた要望については絶対に目を背けずに一つひとつ改善しましょう、ということです。
正直、1回目の調査のときは従業員から厳しい声もあったようですが、経営陣はそれから逃げずに一つひとつの声に出来る限り応えていきました。また、調査はすべての従業員から平等に話を聞くことを考え、調査対象はグループの全従業員としました。正社員からパートの方まですべての従業員に答えていただいています。
設問はCBASEさんに用意していただいたものを使いましたが、その中にフリーで書ける欄を設けていただき、そこに個々の思いを自由に書けるようにしました。
ーー従業員満足度調査の結果を受けて、その後、どのような改革に取り組まれたのでしょうか?
調査アンケートで多かった声は「ビジョンをよく知らない」ということでした。代表も従業員にビジョンが伝わっていないことを反省されていました。そこで自社のビジョン、ミッション、バリューをあらためて作成し、三幸製菓グループの基本方針として皆に浸透させるようにしたのです。代表以下、皆が口頭で朝礼や訓示、会議などで何度も繰り返し伝え、全事業所に基本方針のポスターを作成して貼り出し、従業員が携帯できるカードも配布しました。
この他にも、実にさまざまな要望がアンケートには書かれていたようです。例えば「工場の電気が暗い」「室内の温度調節ができていない」「駐車場の数が足りない」「システムの使い勝手が悪い」「ノートパソコンが外で使いにくい」といった労働環境面なども。それらを一つひとつ改善していきました。ノートパソコンは全従業員のものを新たに買い替え、エアコンの入れ替えも行いました。使いにくい営業事務所は引っ越しを行い、営業車の入れ替えも随時行っております。とにかく前向きな要望や質問にはできるだけ応え、対応した内容の一部はイントラネットにもアップしました。
また、人事制度についてもアンケートで「不公平感がある」という意見が聞かれたため、制度の見直しを行いました。2020年10月に給与制度と諸手当制度をすべて見直しています。この2年間で必要と思われることに対応し、大規模な改革を行って参りました。
ーー従業員満足度調査を2年間行われて、その後、具体的に効果として見えてきたことはありますか?
従業員が、意見が言え、それが上に伝わっているということがわかってもらえて、社内の様々なことによい影響が出ていると思います。特に従業員は前向きな意見を積極的に言ってくれるようになりました。例えば些細なことですが、「工場の階段が劣化し、揺れて困る」と聞くと、こちらもすぐに修理。正しいと思える意見にはすぐ反応しています。従業員も言って正しいことは応えてもらえるんだ、と実感したのではないかと思います。結果、皆が「もっと会社がよくなるにはどうすればいいか」と考えるようになり、社内における提案数も増えています。加えて、この2年間で従業員の定着率も格段に上がりました。
ーー従業員の態度に何か変化は起きていますか?
この間も、製造現場のリーダーを務める社員が「今、会社はこちらの要望をよく聞いてくれている。だから私たちも会社から求められることをしっかりやりきって、成果に繋げないといけない」とメンバーに言っているのを見かけました。従業員みんながいい意味で自信をもってくれるようになってきたと感じます。ぜひ、こうしたよい流れを続けていきたいですね。
効果と今後のポイント
ーー今後行っていきたいと考えている施策はありますか?
正直ここまで変われたのは、経営陣がアンケートを取る際に改善の声に応えることを約束できたからだと思います。企業と従業員の間に信頼関係があるからこそ、お互いが要望に応えようとする。そうした風土に変わってきていますし、従業員との約束を守り続けることが企業の成長につながるのだと信じています。そうすることで個人も強くなるのではないでしょうか。我々も、もっと社内をよくしていけるのではないかという欲が出てきています。
従業員満足度調査の導入を検討されている方に一言
ーー大手企業でもサーベイ調査を行っていないところはけっこうあります。今までサーベイを行っていないことで、パンドラの箱を開けるように実施を怖いと考える企業もあるようです。これからサーベイ調査を導入しようとしている企業に何かアドバイスをいただけますか?
サーベイ調査では、企業の覚悟と従業員との約束が重要になると思います。企業の覚悟には「聞く覚悟、応える覚悟、継続する覚悟」があります。当社の役員も従業員の生の声を聞くのは正直怖かったという声がありました。それでも従業員から厳しい意見をもらうと決め、その意見に対して何かしら答えを出し、その活動を継続していく。こうした覚悟は安易に持てるものではありません。改善には費用も時間もかかり、場面によっては嫌な思いをするときもあります。それでも企業にこの三つの覚悟ができないのなら、企業はサーベイを行うべきではないのではないでしょうか。私たちも今回、サーベイに踏み切ったことで、企業の対応次第でここまで社内が変わるのだとわかりましたし、また、従業員の意識をここまで変えることができるのだと実感できました。これからも強い意志をもって、サーベイに向き合っていきたいと思います。
- 三幸製菓株式会社
- 事業内容:菓子の製造販売
設立:1962年8月
従業員数:約1,400名(2021年3月時点)