導入事例
株式会社髙松コンストラクショングループ様
360度評価をマネジメントの健康診断に。
今後はデータの分析・活用方法に期待

株式会社髙松コンストラクショングループ
左: 人財戦略部 角野 草太朗 様
右: 人財戦略部長 鈴木 秀法 様
- 運営業務の効率化
株式会社髙松コンストラクショングループ(髙松CG)様は、大阪市淀川区に本社を置く純粋持株会社です。建築事業、土木事業、周辺事業を柱とする髙松グループは、髙松CG様を含めて計19社、連結社員数は4,800人を超えています(2024年3月末時点)。さまざまな経緯でグループの一員となった各社の歴史や価値観を尊重し、これまでは比較的緩やかな連携を取ってこられたそうですが、アフターコロナの予測困難な社会に対応するため、現在はグループ各社の垣根を超えた関係性の強化に注力されています。異なる文化や環境のグループ各社に360度評価という共通の仕組みを導入する上で苦労された点、工夫された点を伺いました。
対象人数や会社が増えて効率化が必要に
——360度評価に取り組まれた背景をお聞かせください。
鈴木様:
360度評価を取り入れたきっかけの一つは、とある管理職に対する評価が上司と部下とで異なるという事態でした。今後の活躍を期待している社員だったので、本人だけでなく、部全体のパフォーマンスを上げるためにも360度評価が必要だと感じたのです。
導入当初は他社のツールを使用し、少人数を対象に実施していました。徐々に対象人数や会社を増やしていったところ、運営の作業効率やレポートの分かりやすさが課題として浮かび上がり、CBASE 360°を導入するに至りました。私たち事務局だけでなく、グループの人事部門など運営に携わる部署・人数が増えていましたし、フィードバックの対象者や回答者に共通認識を持ってもらうための工夫も必要でした。これらを解決してくださったのがシーベースさんだった、という経緯です。
——施策に関わる皆様の負荷を減らせることに加えて、やりっぱなしにならない仕組みづくりや実施前後のフォローなど、全体をコーディネートできる点が弊社を選んでいただいたポイントだったのですね。
目的を「評価」と「診断」に切り分けた
——360度評価を実施するにあたって、どんな点に留意されましたか?
角野様:
グループ全体を通して、目的を「評価」と「診断」に切り分けました。「評価」が目的となる役員層には、アセスメントの一環として活用することを伝えました。一方、部長層には「診断」としてあくまでもマネジメント力の向上を目的に実施しました。それぞれの目的を強調して案内した点がポイントだと思います。
——2024年には初めてグループ全体で実施されました。事務局の皆様は、社内へのアナウンスや問い合わせの対応などご苦労もあったのではないでしょうか?
角野様:
そうですね。やはり回答者にしっかり目的意識を持ってもらうには工夫が必要だと感じました。グループ各社で風土や業務環境も異なるので、それぞれに合った方法で周知しないといけません。
特に改善の余地があると感じたのは事前の社内周知です。グループ全体での実施は初の試みだったので、事前にオンラインで説明会を行いました。参加できなかった社員に向けて録画配信もしたのですが、録画を見ずに回答し始めてしまった人が意外と多かったり、社内周知を見落としていた社員から「迷惑メールがきた」と問い合わせがあったりと、事前に目的や手順を浸透させるにはフォローが足りなかったと感じる部分がありました。
360度評価はマネジメントの健康診断
——髙松コンストラクショングループ様は、施策自体は3度目(CBASE 360°は昨年で2度目の実施)です。社内の反応や変化はいかがですか?
鈴木様:
部署や会社によって実施のタイミングが異なるので、「一昨年あったのにどうして今年は実施されなかったのか」という声もあり、私たちが思っていた以上に360度評価を頼りにしている人がいるんだな、と気づきました。
「評価」としての実施については、まだアクションへと落とし込めていないのでなんともいえませんが、周囲からのフィードバックを受けた役員層は「なるほど、自分の弱い点、強い点はこういうところなのかな」と感じているとは思います。ただ、私たちが目指すのは、こうした多面評価を積み重ねていって、最後は誰が次期社長にふさわしいのかといった経営判断にまでデータを活用すること。もちろんフィードバックは判断材料の一つであって、すべてではないですが。
——フィードバックがサクセッションプラン(後継者育成計画)の一翼を担っているわけですね。現場から「なぜ実施しないのか」という声があるのも嬉しいですね。
角野様:
「昨年と比較してどう変わったかを見てる」と聞いたときは嬉しかったですね。社内には打ち出していないですが、事務局側は今回の施策をマネジメントの健康診断のように捉えていたので、同じように捉えてすでにデータを活用してくれている部署や現場があったことに驚きました。
——マネジメント層を対象としたフィードバック面談の研修も好評だったと伺いました。
角野様:
はい。研修が歓迎されたポイントは2つありました。一つは、純粋に自身のスキルを磨く良い機会だったということ。もう一つが、研修を通してグループ内の同じようなポジションの社員と交流を持てたことです。日常業務ではグループ会社との繋がりが少ないので、グループ各社の近い役職の人と話ができてよかった、という声を聞きました。
コメントに一喜一憂せず、行動改善計画を立てられるのが理想
——2年連続で支援をさせていただきましたが、私たちシーベースに期待していることがあればぜひお聞かせください。
鈴木様:
360度評価システムとして洗練されている、というのが率直な感想です。その上で、できれば研修コンテンツは、いつでも見返せるようにしてもらえたら嬉しいですね。例えば、レポートの見方であったり、フィードバック面談の場であったり。オンラインで受けた後に、内容を振り返りたい人もいるので。
特にフィードバックをもらう側は、どうしても生々しいコメントの方に意識が向いてしまう。せっかく複数の切り口で分析がされているのに、行動改善計画が印象に残ったコメントをベースにつくられてしまうのはもったいないと感じます。コメントと分析結果をうまく紐づけられたらいいのですが。
——率直なフィードバックをありがとうございます。まさにそういったアクションへ紐付けられるような機能を拡充しているところです。まだ試験段階のものもありますが、今後にぜひご期待ください。
データの分析・活用方法は幅広い
——最後に、360度評価の導入を検討されている皆さんに、ぜひアドバイスをお願いします。
鈴木様:
上司一人の判断が必ずしも正しいわけではないので、部下とコミュニケーションを取り、議論することが大切だと思います。その際に360度評価のフィードバックが役立ちます。部下とどのようなコミュニケーションを取るのか、自分のマネジメントを部下がどのように捉えているのかを知る良い機会になるので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょう。
鈴木様:
周囲の人が自分をどう評価しているのか、聞いてみたいという気持ちと、聞きたくないという気持ちがせめぎ合うと思います。ですが、恐れずに聞いてみてはどうでしょう。個人にとっても、組織にとっても、情報は重要です。まずは知ることが大事だと思います。
ただ一つ気をつけなければいけないのが、フィードバックの実施が部下に媚びたり遠慮するようなきっかけになってはいけない、ということ。ハラスメントだと感じられたらどうしようとか、上司の過度な気遣いを助長することがないよう注意したいですね。
角野様:
今後はより一層、人事部門がさまざまなデータ分析を行うことになるので、360度評価のデータは持っておいたほうが良いと思います。例えば、評価データを分析することでハイパフォーマーの行動特性が分かるかもしれません。私たちもまだそこまでは活用しきれていないのですが、データは持っておいて損はないと思っています。
——対象者へのフィードバックに留まらず、データの活用範囲や方法にはまだまだ伸び代がある、と受け止めさせていただきました。御社にとって有意義なデータ収集と意味付けができるよう、今後も支援させていただきます。ありがとうございました。
インタビュアー
長光 将志 コンサルティンググループ コンサルタント
首都大学東京都市教養学部卒業後、大手ホテル運営会社、オーダーメイド型研修会社でのコンサルティング営業経験を経て、シーベースに参画。
現在は360度フィードバック施策に特化したコンサルタントとして、説明会・読み解き会・課題別研修を提供。
1社1社の想い・らしさを大切にしたアプローチで人材開発・組織開発の支援を行なっている。

- 株式会社髙松コンストラクショングループ
- 事業内容:持株会社である髙松コンストラクショングループと、不動産有効活用の髙松建設、大型土木・建築の青木あすなろ建設、海洋土木のみらい建設工業、法面工事・耐火工事の東興ジオテック、木造戸建住宅のタカマツハウスの6社を中心へと再編し、合計19社からなる建設業の専門企業集団
創業:1917年10月
社員数:4,892名(連結)(2024年3月末)