導入事例
株式会社トーカイ様
360度フィードバックの導入が
社内10大ニュースに選出
上司を評価することが新たな社内文化になった
株式会社トーカイ
人事本部 人事部 人事企画課 課長 米田 隆様
- 管理職育成
- 人材活性化
360度フィードバック実施の背景
ーーなぜ360度フィードバックを導入したのでしょうか?
経営層が管理職に新たに要求した役割が二つありました。一つ目は経営資源である人材全体を底上げ育成すること。二つ目は将来に向けた自分のポジションの後継者を育てることです。この2つの役割を果たした人をトーカイでは重点的に評価するという、経営層からのメッセージがありました。管理職がよい人材を育てられるようになるには、自身が周囲にどのように見られているかを知り、自分の弱みや不足する力を補強していく必要があります。周囲からの評価はその人の人物像を捉える一つの指標でもあり、それが人材育成や後継者の育成に深く関わっていきます。そこでより人材を深く把握する必要性から、管理職には今まで行っていた年1回の人事考課と業績評価に加えて、360度による多面評価を導入することにしたのです。
施策実施、サービス導入のねらい
ーー施策の実施にはどのような期待があったのでしょうか?
一昨年にトップから「世代交代」という年頭のメッセージが出され、役員層は若返ったのですが、管理職層の人材活性化に課題がありました。そこで世の中の変化にも対応できるよう、人事でも上位職に若手を登用するなどの大胆な改革を行いたいと考えていたのです。そこで360度を実施した目的は大きく二つあります。一つ目は定期異動を決定する際の材料にすることです。毎年7月が定期異動なのですが、人事では来年7月に向けて事業本部をまたぐ大きな異動を行い、人材を活性化させるプロジェクトを進めようとしていました。360度を用いて導入でポジションに誰が適任かを測る目安になると考えました。二つ目は管理職に気づきを与え、行動変容のきっかけにすることです。人事では管理職に主体的に物事に取り組む人材を求めていましたが、既存の管理職には自分は「今のままでいい」と一方的に思い込んでいる人もいました。そこで周囲からどんな風に見られているかを客観的にみてもらい、自分を成長させてほしいと考えたのです。
施策実施上の重視したポイント、工夫点
ーー運用するうえで気を付けたこと、意識されたことはありましたか?
これまで上司を評価するという文化がなかったので、そこに関してはより詳しく社内での周知を行いました。また、四半期に一度行われる合同朝礼で、360度フィードバックの実施を社長からきちんと発信してもらいました。一つ難しかったのは評価者の選定です。被評価者自身が評価者を選ぶパターンもありますが、それでは自分の息がかかる人ばかり選んでしまう危険性もあるということで、人事が人選することになりました。対象者は200名を超えており、各10名で2000名を選ぶことになり、その手間は大変でした。
また、社内で360度について広報すると、実施についてマイナスのイメージをする人も多かったのです。記述式の設問では、当初から予想はしていたのですが誰が書いたのかをわからないようにすることで苦心しました。実際、アンケートでも「普段から犯人捜しをするような上司は評価しにくい」というコメントがありました。事前に「前向きな変化を促すコメントを書いてください」とアナウンスしましたが、やはり中には厳しいことを書く人もいたようです。今後はこの点について誤解がないよう、前向きなアドバイスを行うように広報していきたいと思います。
ーー社内向けに事前説明会を開かれましたが、効果はありましたか?
開催したことで多くの不安や不明点をなくすことができたと思います。360度は今回が初めてであり、360度の結果がどのように使われるのか、結果をどこまでオープンにするかといったことが不透明で、対象者や評価者からは不安感が伝わってきていました。中には「結果を部下も見る」といった間違った認識を持つ人も多くいました。また、同じタイミングで人事考課制度の見直しがあったことで、「これも年俸に響くのではないか」との質問もありました。そうした不安や不明点をなくすためにも事前説明会は必要だと思います。
効果と今後の展開
ーー360度フィードバックでどのような効果がありましたか。社内の声はいかがだったでしょうか?
トーカイグループでは毎年10大ニュースを選出していますが、その一つに360度フィードバックの導入がランクインしました。管理職層は部下や同僚から評価を受けることが初めてであり、新鮮だったと思います。また、組織の雰囲気が変わることへの期待もあったように思います。実施後に対象者と評価者の全員にアンケートを取りましたが、「自分を振り返るよい機会になった」「日頃の些細な言動も気にするようになった」「部下との関わり方に気を付けるようになった」など、前向きな意見が多くありました。周りから見られているという意識が高まったという意見は多かったようです。
また、360度の導入では、人事はこれを人事考課の参考とし、評価に反映させることは避けたい思いがありましたが、経営層には多少でも評価に活かしたいという思いがありました。その後、いろいろなやり取りを経て、最終的には参考程度とすることで決着。実際に360度を行ってみると、これまで上司から受けていた評価とマッチする人もあれば、そこにギャップがある人も存在しました。そのことを経営層も知って、評価についてより一層注意しなければならないと考えるようになっています。
ただ、今回の対象者の大半がシルバー事業に携わる人であり、多くの営業所は拠点規模が小さいために拠点内に横並びの同僚となる人がいません。そのため、同じ拠点で勤務していない人から評価を受けることになり、「イメージで評価するので責任が持てない」「同じ職場でないのでNA(わからない)が必然的に多くなった」などの困惑の声が聞かれました。次回は評価者が他にいないことを説明し、より前向きに評価に取り組んでもらえるよう広報していきたいと思います。
ーー経営層からはどのような反応がありましたか?
経営層にはCBASEのソリューションのメニューである読み解き会ワークショップを実施させていただき、それによって理解が深まったと思っています。個々で管理職層に対するフィードバック面談も行われており、そういう意味ではよい変革の機会になったと思います。
ーー今後の利用法や展開などで考えられていることはありますか?
今後は設問をある程度変えていったほうがより効果が出るように思います。経営層であればエグゼクティブ設問というか、管理職層とはちょっと違った設問があったほうがより現状を把握できるのではないかと考えています。
CBASE 360( ※旧スマレビ for 360°)について
ーーCBASEのサービスについて一言いただけますでしょうか?
導入から営業の方にお手伝いいただきましたが、こちらの疑問もすぐ回答をいただけるなど、スムーズな取り組みになったと思います。プラットフォームは大変使いやすく、ウェブの知識がない人でもすぐに使えました。他社にもお勧めできるシステムだと思います。また組織分析でも、その組織独自の課題が顕著に表れてきますし、個人をみるときも、その人に何が足りないかというところが数値で把握でき、それを画面でも確認できます。そうしたわかりやすさがメリットだと感じます。
360度フィードバックの導入を検討されている方に一言
ーーこれから360度フィードバックの導入を検討されている企業担当者に、アドバイスをいただけますか?
360度フィードバックのメリットは、企業としての課題がはっきりと見えることにあると思います。360度を導入することで社内にどんな課題があるのかを明確にでき、改革の方向性が見極められ、よりよい組織づくり、職場づくりに役立てられます。特にCBASE 360( ※旧スマレビ for 360°)は人材の強みや改善点、組織レベルの傾向もつかめ、そのうえで組織に変化を促すツールになるので、組織に課題をお持ちの企業では導入を考えられるとよいのではないでしょうか。
- 株式会社トーカイ
- 事業内容:病院リネンサプライや病院運営の周辺業務受託、介護用品のレンタル、調剤薬局の経営、リースキンブランドでの環境美化用品のレンタル、宿泊施設などへの寝具類のレンタル、病院などでの給食サービスの提供、病院など建物の清掃・管理、アクアクララブランドでの水の宅配など
設立:1955年7月
従業員数:3,736名(2021年3月末/連結ベース)
(ほか臨時従業員数 4,427名(期中平均人員数))