アサーティブ・コミュニケーションとは?実践のポイントは何?わかりやすく解説!
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ダイバーシティ、グローバル化が進み、さらには退職制度の変更からシニア雇用までと職場の人材は多様化が広がるばかり。このようの中で重要視されているのがコミュニケーションです。
今回は、中でも注目度が高いアサーティブコミュニケーションについて解説します。
目次
アサーティブコミュニケーションとは
アサーティブコミュニケーションとは、自分の言い分ばかりを押し通すのではなく、相手の言い分と自分の言い分の双方を尊重した自己表現を指します。
アサーティブとは
アサーティブ(Assertive)とは、自己主張することを意味しますが、「自信に満ちている」「積極的」などの意味も持っています。
アサーティブコミュニケーションでは、アサーティブをアサーティブネス(Assertiveness)自分も相手も大切にする自己表現という意味に近くして使用されています。
アサーションとは
アサーティブの代わりにアサーション(Assertion)という言葉が使われることがありますが、こちらも同様の意味です。
アサーティブでは「ない」とは
相手と対等な関係で向き合うことのないコミュニケーションをアサーティブではないと表現します。
アサーティブでないと呼ばれるのは、相手の気持ちを配慮せず一方的に主張する「攻撃的タイプ(アグレッシブ)」、相手から悪く思われることを避けるため言いたいことを伝えられない「受け身タイプ」、相手に対する不満を直接に伝えず、態度や陰で非難することで伝わるようにしようとする「作為的タイプ」も3つがあります。
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アサーティブコミュニケーションが注目される背景
アサーティブコミュニケーションは、多様性を受け入れる社会づくりの中でも重要なコミュニケーション活性化に活かされるとし、ビジネスシーンや教育の世界で注目を浴びています。
信頼関係の構築や風通しの良い組織づくりに貢献し、チームワークの強化、生産性の向上から、業績の継続的な成長への期待も高まります。
上司・部下のコミュニケーションの活性化
深刻な人材不足が叫ばれる中、現場での従業員育成が継続的に行われています。
この中でアサーティブコミュニケーションが取り入れられると、上司・部下の間でのコミュニケーションが活性化され、合わせ、現場での人材育成のフローがスムーズに進んでいきます。
離職防止の一手
退職の理由として多いものの一つが職場の人間関係です。
自分と相手を尊重するコミュニケーション手法であるアサーティブコミュニケーションが導入され、浸透すると、人間関係が良好となり、社内間での連携が強くなっていきます。結果、離職の要因の一つが小さくなり離職防止という効果が期待できるようになります。
メンタルヘルスへの効果
真面目で責任を抱え込みやすい従業員ほど、精神的な疲れやストレスの危機に晒されやすくなります。
しかし、アサーティブコミュニケーションの導入により、意見や主張だけでなく、現在の業務の進捗なども情報として適正に引き出すことができるようになるため、仕事に一人で追い込まれてしまう従業員の存在の早期発見、対処のスピード化が可能となります。
さらにコミュニケーションの活性化による業務効率化も期待できるため、メンタルヘルスへの影響も良い方向で一緒に期待できるでしょう。
生産性、業務効率の向上
良好なコミュニケーションがさらに活性化していくと、部署間に限らず、部署を超えてのコミュニケーションも形成されていくようになります。
これにより適材適所による業務割り振りが可能となったり、ストレス少なく仕事が進むことにより、個人のパフォーマンス、部署としてのパフォーマンス、それぞれに向上が見られるようになってきます。
また、積極的な対話より新たなビジネスアイディアやチャレンジの発生も考えられるようになります。
職場のハラスメント防止
相手も自分も尊重する、というのがアサーティブコミュニケーションの根底にあります。
故に、相手を低く見ることから始まるハラスメント加害、自分を必要以上に低く感じてしまうことから生まれるハラスメント被害の双方の防止にアサーティブコミュニケーションは効果があります。
年上部下への対応
定年退職の年齢引き上げや定年制の撤廃の風潮の中で問題となっているのが、再雇用などで発生する年上部下の扱いです。アサーティブコミュニケーションでは、お互いを一人の人間として尊重するところから始まりますので、年齢差関係なく交流を深められるため、年上部下への対応に悩むことも少なくなることでしょう。
アサーティブコミュニケーションの実践
ここでは、アサーティブコミュニケーションの実践について解説します。
実践における4つのポイント
実践におけるポイントは下記の4つです。
・誠実
・率直
・対等
・自己責任
相手を尊重する態度と言葉で誠実に対応することがアサーティブコミュニケーションでは求められます。
無理に合意する必要はなく、まず相手の言葉・考えを受け止め、その上で、相手が受け入れやすい言葉で率直に自分の意見・考えを伝えます。そして対話の中で、前向きで肯定的な表現を利用して、対等に話が進んでいくようにしていきます。もし、受け入れられない要求があった場合は、断るだけにせず、「◯◯は難しいですが、××はいかがでしょう」のように対案を交えながら、寄り添う姿勢を見せることが大切です。
また、自分の言葉として責任を持ちつつ、自分の考えも大切にして発言することも重要です。例えば「みんなはこれでは納得できない」という、抽象的な第三者を登場させず、「××の部分は賛成できるが、自分は◯◯な理由で納得しきれない。他の人たちの意見はどうだろうか。広く聞いてみたい。」と受け入れる部分も明示しつつ、自分の意見、他者の意見も、という方向に話を広げることも効果的です。
アサーティブコミュニケーションの実現に不可欠なDECS法
アサーティブコミュニケーションを実現するためには「描写」「表現」「提案」「選択」の4つの要素が不可欠です。これら4つの言葉の頭文字をとってDECS法と言います。
・描写(Describe)
客観的な事実のみを具体的に描写するということが大切です。自分の感情や相手に対する評価、憶測などを交えずに、明確な状況、行動、事実だけを伝えるようにします。
・表現(Explain)
両社で述べた客観的事実に対し、自分自身の物、主観的な意見を相手に伝える場合、感情的な言葉や攻撃的な言葉を控え、相手の立場に立った、思いやりのある言葉選びをしながら意見を伝えることが大切です。
・提案(Specify)
話題に上った、問題点について、解決方法を相手に提案します。相手の同意を得られるように、提案依頼というスタンスで、自分が何を求めているかを具体的に表現して伝えます。
・選択(Choose)
提案に対し、相手側の出方・意見がどのようになるのか、その反応に合わせて自分自身がとるべき行動を示します。この際、一方的な対応とならないように柔軟性を持ったないようにすることが大切です。
実践のために必要な教育は?
アサーティブコミュニケーションのために必要な教育として、
・必要性を知る機会を作る
・具体的な手法を学ぶ機会を作る
・職場で実践する
の3つのステップで進めることです。
参考:「自己表現しても職場の人間関係が良好に?アサーショントレーニングとは」
アサーティブコミュニケーションの具体例
上司から部下への表現例
上司が部下に対してコミュニケーションがアグレッシブになってしまうケースは多くあります。
自分が正しさを振りかざしたり、部下は思い通りに動くものといった高圧的な姿勢を避け、部下の気持ち、望みを尊重して臨みましょう。
例えば、仕事の遅れを指摘する場合、「午前中に仕上がるはずの書類がまだ出てないよ」だけで終えてしまうと、ただの催促になりますが、後に「何かトラブルでもあったかな?確認する時間も欲しいから17時ぐらいまでにはできると嬉しいな。わからないところがあれば今聞くよ」と続けると具体的かつ、前向きな指示と提案になります。
部下から上司への表現例
部下から上司への話の場合、上司への気遣いのあまり話が曖昧になってしまったり、要求がストレートに伝わらないというケースが多く見られます。
例えば「来週のプレゼンで使うスライド資料を本日中に仕上げるのは難しそうです。作業が遅れていて申し訳ありません。」で終えてしまうと、上司は結果を得るためにいつまで待てば良いのか、何が他に必要なのかが分かりません。
後に「追加でグラフに、資料の中に入れたいのですけれども、どなたかにお手伝いしてもらえれば、明日の午前中には仕上がりそうです。」と続けたならば、何をしようとして遅れているのか、何が必要なのかが明確になると合わせて、時間の目処もつき、安心して仕事を任せ続けることができるようになります。
年上部下への表現例
最近の企業で増えている年上部下への表現例です。
「明日提出期限となっている書類の進捗はいかがですか?」
相手が年上と言うこともあって、期限のあるものについては、早めに進捗を確認しておこう、遅れている場合は手を貸そうとして、このように聞くケースもあるでしょう。
ただ、ここで話を止めてしまうと、催促で終わってしまい、相手は仕事の遅れ、または能力の低さを指摘されているように感じてしまい、良い気分ではありません。
続けて「次に◯◯な仕事の相談をしたいと思っていて、調整つくかを確認したいんですよね」と続けると、期日の確認だけでなく、年上部下の持つ経験という強みに評価し、自信を与えることもできます。
相手を尊重しながら自分を大切にするツール
アサーティブコミュニケーションの特徴は、「自分の意見を主張するために、自分と相手の双方を大切にすること」としている点です。
相手を大切にしようと思ったら、まず、自分を大切にしなければならない、ということ見失ってはいけません。ついつい、自分を殺して相手を立ててしまうことの多い日本のビジネスの世界では、ここが最も難しい点かもしれません。
まとめ
今回はアサーティブコミュニケーションについて解説しました。
職場の活性化と離職防止に効果を期待できるコミュニケーションとして魅力的な手法です。上手に取り入れて魅力ある職場づくりにお役立てください。
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