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マイクロマネジメントとは?部下や組織への悪影響と改善策を解説

2024.08.09 管理職育成

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マイクロマネジメントは、多くの職場で問題視されるマネジメントスタイルの一つです。

この記事では、マイクロマネジメントとは何か、その具体例や増加している理由、そしてそれが部下や組織に与える影響について詳しく解説します。また、マイクロマネジメントを行う上司の特徴や、その対処法・改善策、そしてマイクロマネジメントの利点についても触れます。最後に、効果的なマネジメントがどのように部下の行動を変わるかについての事例もご紹介します。

目次

マイクロマネジメントとは

マイクロマネジメントとは、上司が部下の業務に対して過度に介入し、細部にわたって指示を出すマネジメントスタイルを指します。

このマネジメントスタイルは有効な場合もありますが、部下の自主性や創造性を奪い、モチベーションを低下させる可能性があるなど、悪影響を与える場合が多いとされており注意が必要です。

マイクロマネジメントとマクロマネジメントとの違い

マクロマネジメントは、上司が全体の戦略や目標を示し、細かい部分は部下に任せるスタイルです。これに対して、マイクロマネジメントは、上司が細部にまで口出しをし、部下の行動を逐一管理します。

マクロマネジメントは部下の自主性を尊重し、創造的な解決策を引き出す一方で、マイクロマネジメントは部下の行動を制約しがちです。

マイクロマネジメントの行動例

  • 毎日の進捗報告を求める
  • すべてのメールをチェックし、送信前に承認を求める
  • 部下の作業手順に細かく指示を出す
  • 部下の会議に頻繁に参加し、発言を管理する
  • 部下のスケジュールを詳細に管理し、変更を指示する
  • 些細なミスを責める


これらの行動は、部下の自主性を奪い、ストレスを増加させる原因となります。

マイクロマネジメントが増えている理由

マイクロマネジメントが増えている背景には下記が挙げられます。それぞれ解説します。

  • 働き方の多様化
  • 人材の多様化
  • 人材不足による仕事の増加
  • テクノロジーの進化

働き方の多様化

リモートワークやフレックスタイムなど、働き方が多様化する中で、上司は部下の業務状況を把握しにくくなっています。このため、不安感を解消するために、より詳細な管理や頻繁なチェックを行うようになるケースが増えています。

働き方が自由になる一方で、上司が部下の働きぶりを見えにくくなることで、マイクロマネジメントが増加する要因となっています。

参考資料:リモートワーク時代の組織マネジメント実践ガイド

人材の多様化

職場における人材の多様化が進む中で、上司は異なるバックグラウンドや価値観を持つ部下を管理することに難しさを感じることがあります。このため、部下の行動や成果を細かくチェックし、統一された基準で評価しようとする傾向が強まります。異なる視点やアプローチを尊重しつつも、一貫性を求めるためにマイクロマネジメントが増加するケースが見られます。

人材不足による仕事の増加

人材不足が深刻化する中で、一人ひとりの社員にかかる負担が増加しています。この状況下で、上司は部下の業務を細かく管理し、ミスを防ぐために過剰に介入することが増えています。業務量の増加とリソースの不足が、上司にマイクロマネジメントを強いる要因となり、結果として部下の自主性が損なわれることが多くなります

テクノロジーの進化

テクノロジーの進化は、業務の効率化やコミュニケーションの円滑化をもたらしましたが、一方で上司が部下の業務に過度に介入することも可能にしました。リアルタイムでの情報共有やモニタリングツールの普及により、上司は部下の進捗状況を詳細に把握できるようになり、その結果、細部にわたる指示や監視が増加しています。これにより、部下は常に上司の目が光っていると感じ、ストレスを感じることが多くなります。

部下にマイクロマネジメントを行う原因

マイクロマネジメントが増えている原因には下記が影響していると考えられます。

  • 部下への信頼の欠如
  • 上司の自己顕示欲が強い
  • 上司の自己効力感の不足
  • 上司の過去の失敗経験
  • 上司のパフォーマンスのプレッシャー

それぞれ解説します。

部下への信頼の欠如

上司が部下の能力や意欲を信頼できない場合、過剰に業務に介入する傾向があります。信頼関係が築けていないと、部下の判断や行動を信用せず、細かい指示を出すことで安心しようとします。この結果、部下の自主性が失われ、モチベーションが低下することになります。信頼関係の構築がマイクロマネジメントの解消には不可欠です。

上司の自己顕示欲が強い

自己顕示欲が強い上司は、自分の指示や管理が優れていることを示すために、部下の業務に過度に介入することがあります。自分の存在を強くアピールし、部下に対して自分の影響力を誇示することが目的となるため、部下の意見や自主性を無視しがちです。このような上司の行動は、部下の成長を妨げるだけでなく、職場の雰囲気も悪化させます

上司の自己効力感の不足

自己効力感の不足は、上司が自分のマネジメント能力に自信を持っていないことを意味します。このため、部下の業務に細かく口出しすることで、管理能力の不足を補おうとします。結果として、上司は過剰に介入し、部下は自主的な判断や行動をする機会を失います。上司自身の自己効力感を高めることが、マイクロマネジメントの改善に繋がります。

上司の過去の失敗経験

過去に部下が大きなミスを犯した経験がある場合、上司は再発を防ぐために細かく指示を出す傾向があります。このような過去の失敗経験がトラウマとなり、上司は常に部下の行動を監視し、ミスを防ごうとします。しかし、これが過度になると、部下の自主性が損なわれ、結果として逆効果となることがあります。過去の失敗を教訓とし、適切なマネジメントを行うことが重要です。

上司のパフォーマンスプレッシャー

上司自身が上層部からの評価や成果を気にするあまり、部下の業務に過度に介入することがあります上司は自分の業績評価に対するプレッシャーを感じ、確実な成果を求めるために部下を細かく管理します。このような状況では、部下は自主性を失い、上司の指示に従うだけの存在となりがちです。上司自身のプレッシャー管理が重要となります。

マイクロマネジメントを行う上司や管理職の特徴

マイクロマネジメントを行う上司の特徴として、次の言動があげられます。

部下への口調や態度が高圧的

マイクロマネジメントを行う上司は、部下に対して高圧的な口調や態度を取ることが多いです。これは、自分の権威を示すためであり、部下を従わせる手段として用いられます。このような態度は、部下のモチベーションを低下させ、信頼関係の構築を妨げます。部下の考えを尊重したうえで接することが重要です。

部下の考えや価値観を尊重しない

部下の考えや価値観を無視し、自分の意見や方法を押し付ける上司は、マイクロマネジメントを行う傾向があります。これにより、部下は自分の意見を言うことができず、受け身の姿勢になります。上司が部下の意見を尊重し、対話を重視することが健全な職場環境を作る鍵です。

指摘ばかりで部下を褒めることが少ない

マイクロマネジメントを行う上司は、部下のミスや欠点を指摘することが多く、成功や努力を褒めることが少ないです。このような姿勢は、部下のモチベーションを著しく低下させ、自信を失わせます。ポジティブなフィードバックを増やし、部下の良い点を評価することが重要です。

些細なミスを追求する

些細なミスに対して過度に反応し、追求する上司は、部下にプレッシャーを与えます。このような行動は、部下がミスを恐れて自主的な行動を控える原因となります。上司はミスを許容し、学びの機会として捉えることが重要です。部下の成長をサポートする姿勢が求められます。

細かいルールや手順を作る

細かいルールや手順を設定し、それを厳守させる上司は、部下の自主性を奪います。細部にまで口出しすることで、部下は自分で考える力を失い、受け身の姿勢になります上司は柔軟な対応を心がけ、部下に一定の裁量を与えることで、創造性を引き出すことが求められます

マイクロマネジメントによる部下への悪影響

マイクロマネジメントは部下に多くの悪影響を及ぼします。以下にマイクロマネジメントによる部下への悪影響やデメリットの例を解説します。

  • 部下の仕事へのモチベーション低下
  • 部下の成長機会を奪う
  • 部下の心身の健康への悪影響
  • 部下の自主性を損なう
  • お互いに信頼関係が構築されない

部下の仕事へのモチベーション低下

過度な干渉は、部下の自主性を奪い、仕事への意欲を低下させます。部下は自分の能力を発揮できないと感じ、仕事に対するモチベーションが減少します。部下だけではなく職場全体のモチベーション低下へとつながりかねず、注意が必要です。

部下の成長機会を奪う

細かい指示が常にあることで、部下は自分で考え、問題を解決する機会を失います。これにより、スキルや経験が積まれず、成長の機会が奪われます。

部下の心身の健康への悪影響

過度な干渉や監視は、部下にストレスを与え、心身の健康に悪影響を及ぼします。これが長期間続くと、燃え尽き症候群やうつ病などのリスクが高まります。

部下の自主性を損なう

上司の指示に従うだけの仕事スタイルでは、部下の自主性が育ちません。自主的に考え、行動する力が弱まり、クリエイティブな発想が生まれにくくなります。

相互に信頼関係が構築されない

過度な干渉は、部下と上司の信頼関係を損ないます。部下は上司を信頼できず、上司も部下を信頼できない関係が続くと、チームの結束力が低下します。

マイクロマネジメントによる組織への悪影響

管理職育成への悪影響

マイクロマネジメントは、上司や管理職自身の成長を阻害します。部下の業務に過度に介入することで、自分の時間を効率的に使えなくなり、戦略的な視点を持つ機会が減少します。また、部下の自主性や創造力を抑制するため、上司自身も新しいマネジメント手法を学ぶ機会を失います。結果として、組織全体のリーダーシップの質が低下し、長期的な成長が妨げられます

生産性の低下

マイクロマネジメントは、組織全体の生産性に悪影響を及ぼします。部下が常に上司の指示を待つ状態になるため、迅速な意思決定ができなくなります。また、上司が細部にわたって介入することで、部下のモチベーションが低下し、創造的な解決策が生まれにくくなります。結果として、業務の効率が悪化し、組織全体のパフォーマンスが低下します。

離職率の上昇

マイクロマネジメントは、部下のストレスを増加させ、仕事に対する満足度を低下させます。この結果、優秀な人材が離職しやすくなります。部下が自主的に働ける環境が整っていないと、長期的に働き続ける意欲が湧かず、キャリアの成長機会を求めて他の企業へ転職することが増えます。これにより、組織は優秀な人材を失い、人材の流動性が高まり、安定したチーム作りが難しくなります

パフォーマンスの低下

マイクロマネジメントは、部下のパフォーマンスを低下させる要因となります。細かい指示や過度な監視は、部下の自信や自主性を損ない、仕事に対する意欲を減退させます。また、部下が自分の判断で動けない環境では、イノベーションが生まれにくく、業務の質が低下します。結果として、組織全体のパフォーマンスも低下し、競争力が失われる可能性があります。

上司の過労

マイクロマネジメントを行う上司は、部下の業務に細かく介入するため、自分自身の業務が圧迫され、過労状態に陥りやすくなります。過度なストレスと時間管理の不備により、上司の健康やパフォーマンスに悪影響が出ます。これにより、上司自身が疲弊し、組織全体のマネジメント力が低下するという悪循環が生まれます。

マイクロマネジメントへの対処法・改善策

部下に権限移譲する

部下に権限を移譲することで、部下の自主性と責任感が向上します。上司は部下の能力を信頼し、業務の一部を任せることで、部下は自分の判断で行動する機会が増えます。これにより、部下の成長を促し、組織全体のパフォーマンスが向上します。権限移譲は、上司と部下の信頼関係を強化する効果もあります

オープンクエスチョンでの質問を増やす

オープンクエスチョンは、「はい」「いいえ」だけでは答えられない、自由な回答を求める質問です。

オープンクエスチョンを増やすことで、部下の自主性と創造性を引き出すことができます。質問を通じて部下に考えさせ、自分の意見を述べる機会を提供することで、部下は自分の考えを整理し、自主的な行動を促進します。オープンクエスチョンは、部下とのコミュニケーションを活性化し、信頼関係を強化する効果もあります。

定期的なフィードバック

定期的なフィードバックを通じて、部下の成長をサポートし、自主性を尊重する姿勢を示します。フィードバックは、ポジティブな点と改善点の両方をバランス良く伝えることが重要です。これにより、部下は自分の強みを活かしつつ、課題に取り組むことができます。定期的なフィードバックは、部下のモチベーションを維持し、成長を促進します。

部下に合ったマネジメント方法を見つける

部下一人ひとりに合ったマネジメント方法を見つけることで、効果的な指導が可能となります。部下の個性や強み、弱みを理解し、それに応じたアプローチを取ることで、部下のパフォーマンスを最大化できます。柔軟なマネジメントスタイルを持つことが、部下の成長と組織の成功に繋がります。例えば、部下の性格タイプに応じて、コーチングの手法を変えることが有効です。

参考資料:

360度評価を活用したマイクロマネジメント対策

360度評価は、マイクロマネジメントを防ぐためにも有効なツールです。

360度評価とは、従業員の評価をより多面的なものにする手法です。従来の評価方法とは異なり、上司からの評価だけではなく、同僚、部下、他の部署の社員など、評価対象者に関わるあらゆる立場の人が評価を行うことが特徴です。

マイクロマネジメントを行う上司は、しばしば自分の行動やリーダーシップスタイルについての客観的なフィードバックが不足しています。360度評価を導入することで、上司は部下や同僚からのフィードバックを受け取り、自分のマネジメントスタイルの問題点を認識しやすくなります。例えば、部下から「もっと自主性を尊重してほしい」というフィードバックがあれば、上司は自分のマイクロマネジメントの傾向を見直し、改善するきっかけとなります。

また、360度評価は上司自身の成長にもつながります。上司が自己認識を深め、自分の強みと改善点を理解することで、より効果的なリーダーシップを発揮できるようになります。

参考記事:360度評価でマネジメントスキル向上を狙おう!

まとめ

マイクロマネジメントは、部下や組織に多くの悪影響を及ぼす一方で、一部の利点も存在します。しかし、効果的なマネジメントを行うためには、部下の自主性を尊重し、信頼関係を築くことが重要です。この記事で紹介した対処法や改善策を実践し、より良いマネジメントスタイルを確立しましょう。これにより、部下のモチベーションとパフォーマンスが向上し、組織全体の成功に繋がります。

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HRコラム編集部

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