変形労働時間制とは?内容やデメリット、運用方法をわかりやすく
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変形労働時間制は、繁忙期と閑散期で労働時間に波がある企業に導入することで、残業手当の最適化がはかれます。ただし、この制度は長時間労働が可能になるものではなく、適切に労働時間を管理し、時間外労働には残業手当を支払わなければいけません。
今回は変形労働時間制とは何か、メリットとデメリット、運用方法について解説します。変形労働時間制の導入する際の参考にしてください。
目次
変形労働時間制とは
変形労働時間制は、厚生労働省によると、「1ヵ月以内の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度」と定義されています。
通常労働時間は1日8時間、週40時間と定められています。この時間以上の労働は時間外労働となり、残業手当を支払わなければいけません。時間外労働が発生すると、企業は従業員に対して、1時間あたりの賃金額の1.25倍の割増賃金を従業員に支払う義務があります。
しかし、業界や仕事の内容によっては繁忙期と閑散期が発生し、労働時間に波がある場合があります。このような場合に、変形労働時間制が有効です。変形労働時間制を導入することで、残業手当の負担を会社は少なくできます。
ただし、1ヶ月または1年単位で労働時間の上限があるため、労働時間が増やせるわけではありません。時間外残業があるにもかかわらず、残業手当が支払われない場合は、違法行為となり、残業代を請求される恐れがあります。そのため、残業手当を減らしつつ労働時間を増やせるわけではない点には注意が必要です。
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変形労働時間制の種類
変形労働時間制の種類は、労働時間の精算の範囲で変わります。ここでは精算方法でどのように変わるか、解説します。
1ヶ月単位で精算する
変形労働時間制を1ヶ月単位で導入する場合、次ごとの労働時間を計算し、就業時間を定めます。たとえば、1ヶ月が30日だった場合には、1ヶ月あたりの法定労働時間は171時間25分です。この時間を超えない場合には、残業代の支払いは発生しません。
土日休み、月末の1週間に繁忙期がくる会社の場合、通常の労働時間を7時間繁忙期の労働時間を10時間にして運用することで、残業手当の支払いを最小限に抑えています。月の法定労働時間にも収まるため、上記の時間の範囲内であれば、残業手当の支払い義務はありません。
1ヶ月単位での変形労働時間制の場合は労働基準監督署への提出も不要です。1年単位と比べると導入ハードルが低く、簡単に導入できるでしょう。
1年単位で精算する
季節ごとなど、月をまたいだ繁忙期がある場合には、1年単位で変形労働時間制を導入する場合があります。この場合は1年が365日だった場合には、年間の法定労働時間が2085.7時間です。
1年単位で計算する場合、複数の条件があり、満たさない労働時間に対しては残業手当の支払い義務が発生します(詳しい条件については後述)。
また、1年単位での変形労働時間制の導入は労使協定を結んだ上で、労働基準監督署に提出しなければいけません。この労使協定は有効期間を定め、有効期間後には再締結する必要があります。
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変形労働時間制のメリットとデメリット
変形労働時間制は繁忙期がある会社に導入することでさまざまなメリットがあります。しかし、デメリットもあるため、それぞれ把握しておくことが大切です。
メリット
変形労働時間制導入のメリットは繁忙期と閑散期に波がある会社の場合に残業代を調整できることです。
通常の労働時間の場合は1日8時間、週40時間を超える労働の場合に割増賃金を支払わなければいけません。しかし、変形労働時間制を導入することで、この法定労働時間の範囲を変更できるため、残業代が調整できます。
デメリット
変形労働時間制は以下のデメリットがあります。
・就業規則への記載が必要
・年単位で精算する場合細かいルールを守る必要がある
変形労働時間制を導入する場合には、就業規則にルールを記載し、どのような労働時間になっているのか、明記しておく必要があります。
また、1年単位の場合には、労働時間の管理に複数のルールがあり、労働基準監督署への提出も求められるため、運用が複雑になる点がデメリットです。1年単位の精算の場合、計算の負担が大きいため、勤怠管理システムの導入も選択肢になるでしょう。
変形労働時間制を年単位で精算する場合に、抑えるべきルール
年単位での変形労働時間制を導入する場合、1ヶ月単位の場合と比べると、労働時間の細かい管理が必要です。具体的には、以下の基準を超える労働には、就業規則の範囲内であっても残業手当が発生します。
・対象期間を平均し、1週間あたりの労働時間が40時間を超えないようにする
・労働時間は1日10時間、1週52時間以内におさまるようにする
・連続した労働日数の限度は6日まで
2019年に働き方改革関連法が施行されたことで、労働時間の適切な管理が義務付けられました。そのため、労働時間を正確に把握し、適切な残業手当を支払わなけれないけません。
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変形労働時間制を1ヶ月単位で精算する場合の運用方法
1ヶ月単位の変形労働時間制の場合、以下の基準を満たす必要があります。
・1月の法定労働時間の範囲内におさまっていること(30日の場合は171時間25分)
・週の平均労働時間が40時間以内
ただし、特例措置対象事業場に該当する場合、1週間平均44時間、1月の労働時間188時間30分まで法定労働時間として適用できます。
変形労働時間制に関連した労働制度
変形労働時間制と同様に、法定労働時間の枠に囚われない労働制度もあります。ここではフレックスタイム制と裁量労働制について、簡単に解説します。
フレックスタイム制
フレックスタイム制は、変形労働時間制度の一種で、始業時間と終業時間を労働者の裁量で決められる制度です。
ただし、労働の管理の問題があるため、必ず出勤していなければいけないコアタイムとフレキシブルタイムを設定されることが多いでしょう。
フレックスタイム制では、変形労働時間制の範囲内で、労働時間を決められ、変形労働時間の範囲外の労働時間については残業手当が発生します。
労働時間を労働者が決められるため、ワークライフバランスが整い、求人でも人気が集まりやすくなる点がメリットです。ただし、社員同士の連携の仕方や労働時間の管理を適切に行わなければ、パフォーマンスが下がる可能性があります。
フレックスタイム制を導入する場合は、適切な運用体制を整えることが大切です。
裁量労働制
裁量労働時間制とは、一定の範囲の労働を労働者の裁量で行う労働制度です。労働時間や業務遂行の手段、時間配分が労働者の裁量に委ねなければならない内容の場合に導入されます。
この場合は労働時間の制約がなく、会社は労働者に対してみなし労働時間を定めます。労働時間の制約がないため、実際の労働時間にかかわらず残業手当は発生しません。裁量労働制を導入する場合、労働内容について、会社と労働者の間での取り決めが必要です。
また対象となる業務に制限があり、裁量労働制が導入できるのは一部の業務に限られます。そのため、一般の労働者に適用させるのは難しいでしょう。
まとめ
繁忙期や閑散期がある会社の場合、変形労働時間制を導入することで、残業手当の支払いを最適化でき、費用負担を軽減できます。ただし、全体の労働時間が増やせるわけではなく、法定労働時間を超える労働には残業手当を支払わなければいけません。
また、変形労働時間制を導入する場合には、労働時間の管理が複雑になるため、適切な管理体制を整えることが重要です。
この記事を参考に、企業の状態に合わせ、変形労働時間制を導入する参考にしてください。
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