1on1ミーティングは意味がない?効果的なやり方や話すことがない原因と対策を解説
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1on1ミーティングは、意味がないと感じられたり、話すことがなく困ってしまったり、ということがしばしば起こります。部下と上司の成長に役立つ1on1ミーティングですが、適切に運用できなければ、部下と上司の両方にとって時間の無駄になってしまいます。
本記事では、1on1ミーティングの目的や効果、意味がないと言われないための具体的な実践方法、話すことがない場合の原因や対処法を解説し、従業員の成長とエンゲージメント向上を実現するための手法についてご紹介します。
目次
1on1ミーティングとは
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で定期的に行う面談のことです。多くの企業で実施されているものの、その目的や手法に誤解が生じやすい面もあります。1on1ミーティングは「人事評価面談」と異なり、従業員の成長支援や現場の課題共有を目的とする場です。
1on1ミーティングと人事評価面談との違い
1on1ミーティングと人事評価面談には、いくつかの点で明確な違いがあります。人事評価は、過去の成果を振り返り、従業員のパフォーマンスを評価することが主な目的です。評価は客観的な指標や実績に基づいて行われ、どちらかと言えば「上司から部下へ伝達される一方通行」の場になりがちです。一方、1on1ミーティングは部下と上司の間で双方向のコミュニケーションを深め、現在の課題と今後の成長に焦点を当てる機会です。この違いを理解することで、1on1ミーティングの効果を最大化できるでしょう。
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1on1ミーティングが注目される背景
1on1ミーティングが注目される背景として、以下の3つが挙げられます。
1.VUCAの時代への対応
2.優秀な人材の離職防止
3.コミュニケーションの場の確保
VUCAの時代への対応
VUCA(不確実性・複雑性・曖昧性・変動性)の時代には、先行きが読みにくく迅速な意思決定が求められるため、従業員一人ひとりの柔軟な思考と自立的な行動が重要です。1on1ミーティングは、部下が抱える課題や不安を上司が把握し、現状に合わせたサポートを迅速に行うための場として機能します。また、部下が主体的に課題解決に取り組めるよう、状況に応じたアドバイスやリソースの提供を行うことで、変化の多いVUCA環境に対応できる組織体制を強化します。
参考記事:VUCAとは?不確実な時代に強い人材の作り方を解説!
優秀な人材の離職防止
VUCAの環境では、優秀な人材ほど他企業からの引き合いも増え、流動性が高まっています。1on1ミーティングは、上司が部下のキャリアビジョンや成長意欲を深く理解し、適切なサポートを提供する場です。部下が企業内で成長と自己実現の機会を感じられるようにすることで、優秀な人材の離職防止につながります。また、キャリア目標について話し合うことで、部下の長期的な貢献意欲を引き出し、組織の持続的成長に寄与します。
参考記事:離職防止の効果的な方法は?具体的手法と成功させるポイント
コミュニケーションの場の確保
近年、ワークライフバランスを重視した働き方やフレックス勤務など、多様な働き方が普及しています。VUCAの時代において、組織や働き方の変化が加速する中、従業員と上司が対話する機会が減少し、互いの状況をリアルタイムで把握することが難しくなっています。1on1ミーティングは、このような変化の中で定期的にコミュニケーションを確保し、上司が部下の課題や悩みに寄り添う場として重要視されています。部下の働き方や個別のニーズに応じた支援を行うことで、エンゲージメントが向上し、組織の柔軟性と対応力の強化にもつながります。
1on1ミーティングの目的
1on1ミーティングの目的は、以下の3点が挙げられます。
・部下の成長支援
・現場でのリアルタイムな課題把握
・上司との信頼関係の強化
それぞれ解説します。
部下の成長支援
1on1ミーティングは、部下の成長を支援するための場です。上司が部下の現在のスキルや知識レベル、キャリアの目標を深く理解し、それに合わせたフィードバックやアドバイスを行うことで、部下の成長を加速させます。また、上司が支援を惜しまない姿勢を見せることで、部下の成長意欲が高まり、自己効力感も向上します。
現場でのリアルタイムな課題把握
1on1ミーティングは、現場で発生している課題や問題をリアルタイムで把握するための重要な機会です。上司が定期的に部下とコミュニケーションをとることで、部下が抱える悩みや業務上の問題、チーム内での調整課題などが早期に明らかになります。この場で得た情報をもとに、迅速なサポートや対策を講じることで、問題の長期化やパフォーマンスの低下を防ぎ、組織全体の効率向上にも寄与します。
信頼関係の強化
1on1ミーティングは、上司と部下が定期的に対話を重ねることで信頼関係を強化する場です。上司が部下の意見や不安に耳を傾けることで、部下は「自分の声が大切にされている」と感じ、上司への信頼が増します。また、フィードバックの際も適切なサポートを行うことで、部下は安心して本音を話せるようになり、より深い理解と信頼が構築されます。この信頼関係が、部下のエンゲージメント向上やチームワークの強化にもつながります。
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1on1ミーティングが意味ないと言われる理由
1on1ミーティングが「意味がない」と言われることもあります。その理由として、以下の3つが挙げられます。
1.一方的な進行で双方向性が欠如している
2.明確な目的やゴールが設定されていない
3.定期的な振り返りやフォローアップが不足している
それぞれ解説します。
一方的な進行で双方向性が欠如している
1on1ミーティングが上司の一方的な話で進行すると、部下は自分の考えや悩みを話しにくくなり、双方向のコミュニケーションが成り立たなくなります。例えば、上司が業務の進捗確認ばかりを優先し、部下の意見や課題に耳を傾けない場合、部下は「自分の話は聞いてもらえない」と感じてしまい、ミーティングが負担となります。このような場合、1on1が形骸化し、部下が本来得られるはずの成長やサポートの効果が失われる原因になります。
明確な目的やゴールが設定されていない
1on1ミーティングが目的もなく定期的に行われているだけの場合、部下も上司も目標が見えず、何のために話しているのか分からない状態に陥りがちです。例えば、「とりあえず会話をするだけ」のミーティングでは、部下も上司も得られるものがなく、会話が表面的になりやすいです。目標設定がないと、部下はミーティングの成果を感じられず、「結局何の意味があるのか?」という疑問が生じ、1on1ミーティングへの意欲も低下してしまいます。
定期的な振り返りやフォローアップが不足している
1on1ミーティングで話した内容がその場限りで終わり、フォローアップがなされない場合、部下は「話しても何も変わらない」と感じてしまいます。例えば、上司が部下の意見や提案を聞き入れても、それが具体的なアクションに繋がらなければ、部下は1on1を有意義な場と感じられません。振り返りやフォローが行われないと、部下は「聞いてもらえても実際は何も改善されない」と認識し、1on1ミーティングに対する期待が薄れていきます。
意味のある1on1ミーティングのやり方
「1on1ミーティングが意味がない」と感じられるのは、上記が不足していることが多いためです。しかし、適切なステップを踏むことで、1on1ミーティングは部下の成長や信頼関係の構築に大きく貢献します。ここからは、意味のある1on1ミーティングを実現するための具体的な進め方について解説します。
1.目的を明確に伝える
2.定期的なスケジュールを設定する
3.話す内容や質問項目を事前に考える
4.話しやすい雰囲気を作る
5.具体的なフィードバックやアクションを示す
6.ミーティングの内容を記録し、振り返る
目的を明確に伝える
1on1ミーティングを始める際には、まず部下にその目的を明確に伝えることが重要です。成長支援や課題解決、信頼関係の強化など、ミーティングがどのような意義を持つのかを共有することで、部下の協力を得やすくなります。目的を伝えることで部下も意識を高め、自分から積極的に発言する姿勢が生まれます。
定期的なスケジュールを設定する
1on1ミーティングが継続的に効果を発揮するためには、定期的な実施が欠かせません。月1回や隔週など、スケジュールを事前に決めておくことで、双方が心構えを持って準備できます。また、スケジュールが決まっていると部下も安心して課題を整理でき、タイミングを逃さずに話しやすくなります。
話す内容や質問項目を事前に考える
1on1ミーティングで話す内容や質問項目をあらかじめリストアップすることで、ミーティングを効率的に進められます。例えば、業務の進捗、成長目標、課題に関する具体的な質問など、焦点を絞ることで、部下が核心の課題を明確に認識しやすくなります。これにより、内容が表面的にならず、実りのある対話が可能となります。
話しやすい雰囲気を作る
1on1ミーティングでは、部下が本音を話しやすい雰囲気を作ることが重要です。上司が積極的に傾聴し、共感を示す姿勢を取ることで、部下も安心して話せるようになります。上司がリラックスした態度を示し、感情に寄り添うことで、部下も自分の考えや不安を自然に伝えられる環境が整います。
具体的なフィードバックやアクションを示す
ミーティングの内容が実際に行動につながるよう、具体的なフィードバックや次回までのアクションプランを提示します。例えば、課題解決のための具体的な行動や改善策を示すことで、部下が成果を実感しやすくなります。また、明確なアクションを設定することで、次回のミーティングで進捗を確認でき、持続的な成長が期待できます。
ミーティングの内容を記録し、振り返る
1on1ミーティングで話した内容をメモに残し、次回のミーティングで振り返ることが重要です。こうした記録があることで、部下の進捗状況を確認でき、上司としても適切なサポートがしやすくなります。また、記録を振り返ることでミーティングの一貫性が保たれ、部下にとっても継続的な成長を実感できるようになります。
1on1ミーティングの効果をさらに高める360度評価の活用
1on1ミーティングの効果をさらに高めるために、360度評価の導入が有効です。360度評価とは、上司だけでなく同僚や部下、関係者からの多角的なフィードバックを得る手法です。これを活用することで、1on1では見落とされがちな部下の行動や強み、改善ポイントを客観的に把握できます。
1on1で360度評価の結果を共有し、それに基づいて部下の成長支援や課題解決を行うと、より具体的で説得力のあるアドバイスが可能になります。また、部下も多面的な評価を通じて自己認識を深めやすくなり、自発的な成長意欲を高めることができます。
360度評価を組み合わせることで、1on1がより実りのある場となり、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
参考記事:360度評価とは?メリット・デメリットを含む目的や実施方法を解説
1on1ミーティングで話すことがない場合の原因
1on1ミーティングで話すことに困る場合、テーマがないことが原因だとは限りません。話すことがない1on1ミーティングは意味がなくなり、双方に疲弊する可能性があります。
話ができていない原因がある場合は、まずその原因を取り除くことが大切です。
信頼関係を作れていない
上司と部下の間に信頼関係が作れておらず、「話したくない」と思われていると、会話が途絶えがちになります。
このような気持ちの部下がいる場合、どのような話題で話しかけても、相手に話をしたいという気持ちがないため、キャッチボールが成立しません。
そのような場合は、話題を考える前に、まず信頼関係の構築からはじめましょう。
話すべきことが思い浮かばない
部下が1on1ミーティングの際に何を話すべきなのか理解していない場合があります。特に部下が十分に自律できていない場合にそのような傾向があります。
そのような場合は、話のテーマを決めておき、事前に共有すると効果的です。1on1ミーティングの名称を「悩み相談会」のように目的に合わせ変えてみると、わかりやすくなる場合もあります。
話すべき内容かどうか悩んでいる
「こんなことを話すのは怒られてしまうかもしれない」と思われている場合があります。このような話題は部下の本音の悩みや考えの本質に関わることがあり、特に重要な話題の1つです。
話すのに躊躇するような雰囲気がある場合には、話しやすい空気を意識しましょう。
話し出すのに時間がかかる場合もあるため、自分から無理に踏み込んだりせず、じっくり待つ姿勢も選択肢です。
1on1ミーティングで部下の本音を聞き出すために意識すべきこと
部下が1on1で本音を話せない原因には、上司の進め方や話しやすさが影響している場合が多いです。部下が安心して自分の考えや感情を素直に伝えられるようにするには、上司の工夫が欠かせません。ここからは、1on1ミーティングで部下の本音を引き出し、信頼関係を深めるために上司が意識すべきポイントについて解説します。
傾聴の姿勢を持つ
部下の本音を引き出すためには、上司が真摯に耳を傾ける姿勢が重要です。話の内容に対して適切に相づちを打ち、言葉だけでなく、表情や仕草、声のトーンにまで注意を払いましょう。上司が「聞いている」という姿勢を示すことで、部下は「自分の話が受け入れられている」と感じ、さらに深い内容を話しやすくなります。また、話を遮らずに、部下が言いたいことを最後まで話し切れるようにすることも大切です。こうした傾聴姿勢があることで、部下は安心して自分の考えや気持ちを伝えやすくなり、1on1がより実りのある場となります。
共感的な対応をする
部下が本音を語りやすくするためには、上司が共感的に対応する姿勢が欠かせません。部下の意見や感情に対して共感の言葉を伝えることで、部下は上司に自分が受け入れられていると感じ、安心して話しやすくなります。また、部下の話を否定せず、まずは受け止める姿勢が大切です。特に悩みや課題についての発言がある際は、上司が共感を示しながら反応することで、部下は自身の感情や考えに自信を持ちやすくなります。こうした共感的な対応が、上司と部下の信頼関係を強化し、より率直な対話を促します。
オープンな質問をする
部下の本音を引き出すためには、自由に考えを話せるようなオープンな質問を活用することが効果的です。例えば「最近の業務で感じた課題は何か?」や「今、どんなことを大切にしたいか?」といった質問は、部下に自分の言葉で答える余地を与えます。オープンな質問は「はい」「いいえ」で終わらず、部下が考えや感情を自由に表現できるため、本音を引き出しやすくなります。さらに、質問の中で部下の発言を繰り返すことで、「上司が自分の話を理解している」と感じさせ、より深い意見を引き出すことが可能になります。
成果にこだわりすぎない
1on1ミーティングでは、部下の成長や目標達成も重要ですが、上司が成果にこだわりすぎると、部下はプレッシャーを感じて本音を隠す原因になりかねません。ミーティング中は、成果のみに焦点を当てるのではなく、プロセスや成長の過程、挑戦したことへの努力も評価する姿勢を持ちましょう。成果を強調せず、部下の考えや行動を丁寧に振り返ることで、部下も自分のペースで成長を語りやすくなります。結果よりもプロセスを重視することで、部下が率直に意見や悩みを話せる環境が整います。
雑談から入ることも選択肢に入れる
相手と信頼関係を構築する過程にある場合、雑談から入るのも選択肢のひとつです。雑談は相手をリラックスさせる効果があるため、最初に雑談を入れておく方が、最終的に充実した話し合いができる可能性が高まります。
自己開示を行う
部下との信頼関係を築くためには、自己開示をするのは信頼関係構築に効果的です。特に自分の弱みとする部分や話しにくい部分を話すと、相手が信頼しやすくなります。
ただし、部下の聞き役をするのが前提で、部下の話題に関連がある自己開示を意識します。どの程度話をすればよいか迷う場合は、全体の話題の2割程度自分の話をするくらいイメージしましょう。
1on1ミーティングでの注意点
1on1ミーティングで話すことに困る場合、話題が途切れるようなことをしないことも重要です。ここでは、1on1ミーティングを充実したものにするための注意点を紹介します。
相手の話を否定しない
1on1ミーティングでは、相手の話を否定しないことが大切です。相手の話を否定してしまうと、心理的安全性を損ない、信頼関係を損なう可能性があります。
特に相手が話しにくいことを話しているときには、相手の話を否定せず、受け入れる姿勢を心がけましょう。
部下が話したいことを重視する
1on1ミーティングは部下が話たい話題を重視しましょう。上司がしたい話をする場ではなく、部下の成長やモチベーション向上が主な目的です。
部下が話題に困った場合にアジェンダを考える場合はあります。しかし、部下が話したい話題がある場合には、そちらの方が優先順位が高いです。
短くても定期的に行うことが大事
1on1ミーティングは継続していくと、上記のことを意識していても、話すことがなくなる場合があります。
そのような場合でも、1on1ミーティングを開催し続けることが大切です。ただし、無理に時間いっぱい使うのではなく、短くなっても問題ありません。
時間が経過すると新しい悩みが生まれることもあります。
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まとめ
1on1ミーティングは適切な準備をして継続することで、部下と上司の双方にメリットがあります。しかし、適切な運用ができていないと、逆効果にもなりかねません。
1on1ミーティングで話題がないと困る場合、テーマがない場合もありますが、それより前に解決するべき問題が残っている場合があります。
そのため、話題がないと困った場合には、ただテーマを考えるのではなく、なぜ話題がなくて困るのか、原因を考えた上で対策を考えることが大切です。
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