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退職証明書の必要性と作成方法|企業が対応すべき法的義務とは

2024.10.31 その他

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退職証明書は退職者から会社に請求されることがありますが、どのように手続きするべきか、迷っている方もいるのではないでしょうか。
退職証明書は発行義務はないものの、退職者から請求された場合には、速やかに提出する必要があります。適切に対応しなければ、法令違反に該当する場合もあるでしょう。
ここでは退職証明書とはどのような書類か、発行するべきなのか、書式、注意点について解説します。退職証明書をスムーズに退職者に渡す際の参考にしてください。

退職証明書とは

退職証明書とは、会社が退職者に対して発行し、かつて会社に在籍し、現在は会社を退職していることを証明する書類です。
なお、書式は決まっていないものの、記載する項目は法律で定められています。ただし、本人が希望していない項目については記載してはいけません。
主に離職票の代わりに何らかの手続きをする場合や、転職先の会社から提出を求められた場合に、退職者から会社に請求されます。

退職証明書が必要になる場合とは

退職証明書は発行が義務付けられているものではなく、従業員から請求された場合に発行します。請求されなかった場合には発行する義務はありません。なお、この書類は公文書ではなく、私文書として扱われます。
退職した従業員が退職証明書を必要とするケースは以下の通りです。
・国民健康保険と国民年金の手続きをする場合
・離職票を紛失した場合
・転職先の企業で求められたとき

国民健康保険や国民年金の手続きは離職票でも可能です。しかし、急ぎで行いたい場合や紛失した場合には退職証明書を使って手続きする場合があります。
また、転職先の企業から、履歴書や職務経歴書の内容を確認することを目的に発行を求められる場合があります。このような場合に従業員が会社に対して退職証明書の発行を請求することがあるでしょう。
そのため、「退職者から請求されたら発行する」というスタンスで基本的には問題ありません。

離職票との違い

退職証明書と役割が似た書類が離職票です。離職票と退職証明書は使用目的で見ると似ていますが、細かい違いがあります。
離職票とは退職者が失業保険を申請する際に利用する書類です。正式には、「雇用保険被保険者離職票」と呼び、会社が離職証明書をハローワークに提出し、ハローワークが発行します。
この書類を発行するために必要な離職証明書を退職者が被保険者資格を喪失した翌日から10日以内に提出しなければいけません。
離職票が不要と言われた場合にのみ発行は不要です。しかし、59歳以上の従業員が退職する場合には、本人が不要と言った場合でも、離職票を渡す必要があります。
また、国民健康保険や国民年金の手続きをする場合にも利用される書類です。ただし、離職票を紛失した場合には、退職証明書を離職票の代わりにする場合があります。
離職票を発行する条件があり、退職者がその条件を満たしていない場合には、発行できません。例えば、離職以前の2年間で雇用保険の加入期間が1年未満の場合には発行できなくなります。
従業員が退職したら早めに手続きを行い、離職票を送付するようにしましょう。退職した従業員とは連絡を取りにくくなる場合があるため、事前に連絡先や住所を確認しておくと送付できないという事態を回避できます。

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退職証明書を発行する義務はある?

退職証明書は企業が発行する義務はありませんが、発行しなければいけなくなる場合もあります。どのような条件で発行する義務が発生するのか、解説します。

退職証明書は請求がない限り企業に発行義務はない

会社は従業員に対して退職証明書を発行する義務はありません。また、従業員が退職証明書を必要としないケースも多々あります。そのような場合には、退職証明書を発行せずにいても特に問題はないでしょう。

請求された場合は発行しなければならない

労働基準法第22条によって、「労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない」とされています。
そのため、退職証明書を従業員から請求された場合には、速やかに書類を作成し、交付しなければいけません。
参考:e-GOV 労働基準法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049
会社が退職した従業員から退職証明書を請求されたにもかかわらず、発行しなかった場合には、法令違反となり、30万円以下の罰金が科せられます。
退職証明書は1回出せば終わりというものではなく、従業員が請求した場合には、何回でも発行しなければいけません。ただし、発行の義務が発生するのは、退職から2年間までの期間です。
この期間以降は会社は退職証明書を発行する義務は発生しません。

退職後までは発行できない

退職証明書は退職後までは発行できません。そのため、請求された場合でも、退職する従業員に渡せるのは最短でも退職日の当日になります。

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退職証明書の書式は?

退職証明書の書式は決められているものではなく、任意で決められます。必要な項目は以下の通りです。

・使用期間
・退職年月日
・業務の種類
・役職・地位
・賃金
・退職理由

これらの情報について、退職時点の情報を記載します。必要項目であっても、退職者が開示を求めていない項目は、記載してはいけません。そのため、何を記載するかどうかは確認する必要があります。
特に記載の仕方に迷うのは退職理由でしょう。一般的には以下のような記載方法があります。
・自己都合
・契約期間の満了
・定年
・会社都合

また、これらの理由について詳細を記載する場合もあります。退職理由の記載を求められた場合には、どこまで記載するのか、確認しておくとスムーズです。
退職証明書のテンプレートは、検索すればダウンロード可能
参考:厚生労働省 宮城労働局
https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/1/120/122/12230.html#yousiki7

退職証明書を発行する際の注意点

退職証明書の発行については、適切な対応が求められます。ここでは退職証明書を発行する際に注意するべき点について解説します。

記載項目は退職者の希望以外のものは記載不可

退職証明書に記載する項目は退職者が希望するもの以外は記載不可です。そのため、必要な項目が何か退職者に確認する必要があります。
退職理由は配慮が必要になることもありますが、事実を正しく記載しましょう。退職理由が退職者の認識とズレがあると、問題になることもあります。
特に転職先の会社に出すことを目的にする場合、「会社都合」の場合には、就業中の不正やトラブルが疑われる可能性があります。退職自由についてはどのように記載するかまで確認すると、間違いないでしょう。
必要があれば退職までの詳細を記載する場合もあります。ただし、事実と異なる内容を記載してはいけません。

利用目的の確認は不可

退職証明書の利用目的を退職者に確認することはできません。退職証明書の使い道は退職者に委ねられており、利用目的によって発行を拒否するのも禁止されています。
必要事項の確認やどこに送付すればよいのかだけ退職者に確認しましょう。

退職から2年間は請求されたら拒否できない

退職から2年間までの期間は、退職証明書の発行を請求された場合に、会社は拒否できません。厳密な期限はないもののできるだけ早く交付し、退職者に渡す必要があります。
ただし、2年を過ぎた場合、会社は退職証明書を発行する義務は発生しません。

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まとめ

退職証明書は退職者に発行する義務はないものの、請求された場合には、交付しなければならない書類です。退職から2年間は会社の都合で発行を拒否できません。
記載する事項を確認し、できるだけ早く交付するようにしましょう。


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HRコラム編集部

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