ピグマリオン効果とは?期待が成果を引き出す心理学的メカニズムを解説
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ピグマリオン効果は教育の場面で使われる言葉ですが、ビジネスでも応用できます。しかし、実際にどのような効果でどのように活用できるかわからない人もいるのではないでしょうか。
今回はピグマリオン効果とはどのような効果か、使い方や注意点について解説します。ピグマリオン効果を人材教育に取り入れる際の参考にしてください。
目次
ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果とは、他者から期待により、学習や作業の効果が高まる心理効果です。アメリカの心理学者ローゼンタールが発見した効果で、「ローゼンタール効果」や「教師期待効果」とも呼ばれています。
ピグマリオンとは、ギリシャ神話に出てくる王の名前です。ある女性像に恋焦がれた結果、女神が人間にしたという話が元になっています。
ピグマリオン効果の実験
ピグマリオン効果についての実験としては、1963年にローゼンタールとフォードが行ったものがあります。
ネズミを使った迷路実験を行う際、学生に「よく訓練された賢いネズミ」と「訓練していないノロマなネズミ」に分けてネズミを渡しました。その結果、学生は賢いネズミは丁寧に扱いますが、ノロマなネズミはぞんざいに扱う傾向があることがわかりました。
教育現場でも1964年に学生に対して、実験を行っています。ある知能テストを学生に対して行い、結果に関係なく、無作為に抽出した生徒を「これらの生徒は成績が向上する生徒」として、先生に説明しました。
その結果、期待をかけられた生徒は、他の生徒と比較して、成績がより向上したいう結果が得られました。先生はこれらの生徒を期待を込めてみるようになる、生徒は期待を込められていることを意識するということが要因だと考えられています。
ピグマリオン効果が嘘といわれる理由
ピグマリオン効果が嘘だといわれることもあります。これは、再現性が十分ではなく、「期待」の定義が不明瞭だったと考えられているためです。
期待といっても、「苦手なものを克服できる」や「厳しい目標を達成できる」など、期待の方向性には違いがあります。また、期待された相手が必ずしも、そのことを望んでいるとは限りません。
そのため、相手に対して期待をかけても、逆効果になることがあります。
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ピグマリオン効果と関連した心理効果
ピグマリオン効果とよく似たものや、関連性がある心理効果もあります。ここでは、実際にどのような効果が関連しているか、紹介します。
ゴーレム効果
ゴーレム効果とは、ピグマリオン効果の逆で、悪い印象をもって接することで、成長の成果が悪くなる効果のことです。
悪い印象をもった状態で、相手に接すると、相手にとって悪い人になってしまう。先生が悪い印象をもちながら生徒に接していると、その生徒の成績が下がってしまう、ということが起こります。
ホーソン効果
ホーソン効果とは、注目してくれた人に応えたいと思い、よい結果が生まれる心理現象のことです。
ホーソン効果では「注目と関心」、ピグマリオン効果では「期待」によって成果につながるという点で、類似性が高いといわれています。
ハロー効果
ハロー効果とは、相手の一部に関する評価が、相手全体の評価に影響を与えるという心理効果です。たとえば、見た目の印象がよいと、全体の能力が高いようにみえると錯覚するのは、ハロー効果の影響によるものです。
ピグマリオン効果は他者への評価が行動や接し方、成長に変化を与えるという法則であり、ハロー効果はあくまで相手の評価にのみ関係します。
ピグマリオン効果をビジネスで活用する方法
ピグマリオン効果は、再現性があるとはいわれていないものの、適切な期待をかければ効果が出るともいわれています。どのような方法があるか、解説します。
裁量を与える
部下に裁量を与えることは、部下に期待をしていることを行動として伝える行為です。そのため、適度に裁量を与えることで、ピグマリオン効果が発揮されやすくなります。
ただし、過剰な期待や放任と取られると、部下は悪い印象を持ってしまう可能性もあるでしょう。そのため、納期や大まかな方向性については提示し、部下の能力に合わせた裁量を持たせることが重要です。
期待を言葉と姿勢で伝える
期待は行動だけではなく、言葉と姿勢で伝えることが大切です。具体性をもって伝えることで、社員は期待されていると実感しやすくなります。具体的には以下のような行動があるでしょう。
・部下の行動に関しては関心を持って見守る
・結果をせかさず、本人が出す答えを尊重する
・相手が困っている場合には、そっと介入する
期待を伝える際には、「相手の主体性を損なわないこと」を意識して伝えるのがポイントです。ただし、本人が望んでいない期待の場合には、逆効果になりうる点に注意しましょう。また、部下との信頼関係ができていない場合には、まず信頼関係から構築する必要があります。
プロセスを評価する
ピグマリオン効果で相手を褒めるときには、結果以上にプロセスを評価することが重要です。結果を褒めると、「結果を出さないと褒められない」と受け取られ、失敗を恐れるようになるといわれています。
また、プロセスは具体性を持って褒めることが大切です。「以前よりも、こまめな連絡を心掛けているのがよかった」のように、工夫や行動の変化を相手は何が褒められているかはっきり認識でき、褒められることでの効果がより高まります。
プロセスを評価するためにも、部下の行動をきちんと見守る姿勢も求められるでしょう。
必要に応じてフォローを行う
社員が仕事に対して何らかの迷いや不安があると感じられたときには、必要に応じてフォローを行いましょう。ここで注意したいのは、指示や答えにならないようにし、あくまで、社員の力で解決できるよう働きかけることです。
社員に対して「関心がある」ということを伝えることができ、自分の力で解決できれば、自信にもつながります。
公平に評価する
社員に対して期待をかける場合でも、公正・公平な評価であることが重要です。社員が努力したことに対して、評価が何も返ってこないと、社員のモチベーションに悪影響を与えてしまいます。
適正な評価がされない場合には、ピグマリオン効果を生かすことも難しくなるため、そのような場合には、人事制度や評価制度の見直しを検証してみましょう。
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ピグマリオン効果を活用する際の注意点
ただ、安易に期待をかけるだけでは、ピグマリオン効果は起きず、悪い影響をもたらす可能性があります。ここではピグマリオン効果を活用する際に、注意したい点について解説します。
褒め方に注意する
社員を褒めるときは闇雲に褒めるのではなく、褒め方が重要です。褒め方を間違えてしまうと、社員との信頼関係を損ない、逆効果になる可能性があります。褒め方として、気をつけたいのは以下の点です。
・嘘をつかない
・行動や過程に注目する
・具体的に褒める
・尊敬や感謝の気持ちを込める
・過剰に褒めない
嘘をついて褒めることや、尊敬や感謝の気持ちを込めない褒め方は、言葉に説得力がなくなり、相手に不快感を与えてしまいます。そうなれば、褒めたことでマイナスの影響が出てしまいかねません。
上記の点を意識して褒めるようにすると、相手は褒め言葉を素直に受け止めやすくなります。また褒めた後には、もっとよくするための改善案を提示できると、部下に今後何を頑張ってほしいかを伝えられます。
自分の都合を押し付けない
部下に業務を任せたら、自分の都合で怒る、細かい指示を出しすぎてしまう人がいます。
これは逆効果になるため、やめるべき行動です。
細かい指示出しは、相手の裁量をなくしてしまい、モチベーションを下げることになります。また、進捗が好ましくない場合にイライラし、怒りをぶつけてしまうと、「自分の都合で行動している」と受け取られてしまい、ゴーレム効果に陥ってしまいかねません。
また、褒める言葉が「自分の都合」だと感じられるのも避けましょう。「自分の指導のおかげで成功した」のような言葉で出すだけではなく、そのようなニュアンスがにじみ出てしまっても、褒める効果は期待できません。
ピグマリオン効果のまとめ
ピグマリオン効果は部下や社員に期待をかけることで、よりよい成果につながるという現象です。ただし、褒めれば何でもよいわけではなく、部下のことをよく観察し、部下が喜ぶような働きかけをすることではじめて効果を発揮します。努力や行動が公正に評価される人事評価制度も大切です。
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