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【テレワークにおけるメンタル不調対策】 第2回 メンタル不調のメカニズムと、テレワークにおける対策のポイント

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メンタル不調の原因、ストレスとは何か?

ストレスは、ゴムボールを心に例えると、そのボールを押す外部からの圧力のことです。
ストレス要因には対人関係や仕事の内容などがあり、ストレス要因がボールを押さえつけることでボールが歪みます。
この歪みがストレス反応といわれるもので、心理的反応や、高血圧や身体的反応、遅刻が増えたりミスが増えるなどの行動的反応がおこります。
人間の心は圧力がかかった時に元の状態に戻ろうとする自然な反応があり、これがストレス耐性です。
ストレスにある程度までは我慢できますが、限界を超えてしまうと堤防が決壊してしまうように、メンタル不調となってしまいます。

ただし、対人関係や仕事の内容などは、すべての人のストレス要因となるわけではありません。
例えば、キャリア志向の人で月に80時間や100時間働いても全くストレスに感じない人もいます。
対人関係や仕事の内容などはあくまで事実であり、その事実をどう感じるかは個人によって大きく異なります。

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仕事からメンタル不調が生じるメカニズムとは?

ストレスとメンタル不調の関係性を表した、「職業性ストレスモデル」というものがあります。
仕事の量や質、対人関係などの仕事のストレス要因があり、そこに性格や考え方といった個人要因と家族問題などの仕事外要因が加わり、ストレス反応が起こります。
一方、周囲のサポートである緩衝要因があると、ストレスは大きく緩和されます。
職場においては、仕事のストレス要因の低下と緩衝要因の増加により、ストレス反応を軽減させ、メンタル不調を予防することが大事です。
個人要因や仕事外要因は会社による介入が難しく、まずはこの2点に優先的に取り組んでいくと効果的です。

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テレワークによる2つの変化とその対策とは?

上記のメカニズムにおいて、テレワークによる変化は大きく2つあります。
1つは、仕事のストレス要因が増加すること。
1つは、緩衝要因である周囲のサポートが難しくなることです。

(1)仕事のストレス要因が増加

テレワークにより、職場環境や対人関係、仕事の質・量など様々な面での変化が起こります。
このような「変化」に対して人は負荷を感じ、ストレス要因として重くのしかかります。
この変化による負荷を減らすためには、仕事の各ストレス要因への対策が必要となります。
例えば、対人関係の変化に対しては、コミュニケーションツールの導入やWEBでの定期面談の実施などが効果的です。
また、仕事の量・時間・評価に関しては、管理ツールの導入やチェック体制・報告体制を明確にしていくことが必要となります。

テレワークによる問題が何か明確にする

職場環境:ワークプレイス、ネット環境変化
→職場環境の整備、備品の付与や購入

対人関係:孤独感、コミュニケーション困難
→コミュニケーションツールの導入、Web会議

仕事の質:PC作業の増加
→リフレッシュツール導入や休憩時間の確保

仕事の量:仕事量増加
→仕事量調整、定期チェック

仕事時間:長時間化、時間管理紺内
→時間管理ツール導入、残業禁止

仕事評価:評価困難、評価方法変化
→評価ツール導入、報告体制やチェック体制

(2)緩衝要因である周囲のサポートが困難に

仕事のストレス要因が増加したとしても、周囲のサポートがあるとストレスを緩和することができます。
しかし、テレワークにより対面で見えにくくなることで、緩衝要因である周囲のサポートを受けにくくなります。
それにより、ストレスを緩和しにくいだけでなく、不調への気づきが遅れてしまう可能性もあります。
また、自己管理の低下につながり、睡眠や生活リズムが不安定になったり、外出規制も重なり趣味などで気分をリフレッシュできない状況にもなりえます。
上司や同僚によるサポートを欠かさないためには、今まで以上にコミュニケーションを意識することが重要です。
コミュニケーションツールの導入、連絡報告体制の構築、定期面談の実施、相談窓口の確立などが必要となります。
また、自宅で可能なストレッチやリラクゼーション(呼吸法やヨガなど)を実施することや、規則正しく食事や睡眠をとるなど、規則正しい生活リズムと自分に合ったリフレッシュ方法の確立による自己管理の向上が大事になります。

テレワークによる問題点

緩衝要因
上司同僚のサポート
→コミュニケーションツールの導入、連結体制構築

家族のサポート・友人のサポート
→個人差があるため介入に原因あり

リフレッシュ法の確保
→食事・運動・睡眠・趣味など

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予防のポイントは、言語化と可視化

テレワークにおけるメンタル対策のポイントは、「言語化と可視化」です。
仕事だけでなく評価や対人関係などのソフト面もオンライン上で行われるため、今まで職場で見えていたものが見えなくなります。
コミュニケーションを定期的かつ明確に言語化していく必要があります。
また、仕事時間や評価を可視化し情報共有することで、メンタル不調を未然に防ぐことができます。
さらには、働き方、人の価値観やコミュニティが多様性してくため、オンライン化に柔軟に対応し多様性に寛容な組織文化づくりも重要です。
異変に気付いてメンタルを未然に防ぐ組織を作り上げていくことが、今企業に求められています。

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重要Point

1 メンタル予防は、ストレスの蓄積を防ぐこと
2 テレワークによる問題点は、仕事による負荷の増加と、周囲のサポートの難しさ
3予防のポイントは、ソフト面も含めた「言語化と可視化」

第3回では、テレワークにおいて、メンタル不調にさせない対策、メンタル不調に早く気づく対策について解説いたします。

  • 著者紹介

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  • 著者紹介

    ⼀般社団法⼈ 健康経営推進産業医会
    代表理事 鈴木 健太

    1989年 東京都国立市出身
    2009年筑波大学医学部へ入学。在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。卒後は国立国際医療研究センター国府台病院で勤務医として働く。予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営の研究へ進む。また、産業医として多くの企業を担当する。
    2018年1月 (一社) 健康経営推進産業医会を創業。産業医のコミュニティや教育体制作り、メンタルヘルス・健康経営・働き方改革などをテーマに企業への発信活動を行う。 2019年2月 (株)Dr.健康経営を創業。
    “医療専門性にもとづき、働くを元気に”
    医師が経営し、企業に価値ある健康経営サービス(産業医サービスやストレスチェック等)を全国の企業に提供。働く人の健康メンタルを広くサポート。また、立ち上げ~健康経営の実践まで企業をサポートする。

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