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会社を危機から守るコンプライアンス研修とは?

2021.09.28 その他

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従業員の不適切な行動により不祥事に悩まされる企業が増えています。その原因の多くがコンプライアンス意識の低さ。
今、重要度を増しているコンプライアンス研修について、その目的とポイントを解説していきます。

コンプライアンス研修とは

コンプライアンス研修とは、企業がコンプライアンス違反によるリスクに晒されることを回避するために従業員に向けて行う研修のことを指します。

コンプライアンスとは

コンプライアンスとは、一般的に「法令遵守」と日本語訳されますが、単純に法律を守ることを指すのではなく、昨今では広く社会的倫理責任の追求として、明文化されていないものでも社会の規範に従って企業活動を行うこと全般を指すようになりました。

CSRとコンプライアンスの違い

近年、企業の社会的な責任としての取り組みで並ぶコンプライアンスとCSRは何が違うのでしょうか。
CSRは日本語においては「企業の社会的責任」と一般的に言われます。サービスや商品の提供、雇用の創出、税金の納付、文化・芸術の振興といったものを従来は捉えていましたが、
最近では、顧客や株主、従業員といった近く深い関係性の対象に限らず、協力会社や地域住民などの広く社会に関わる企業の責任と捉え直す風潮があり、持続可能な開発目標であるSDGsへの期待もされています。
ある一定の規範に対して社会に寄り添い責任を持って遵守し、リスクコントロールを考えるコンプライアンスと比べると社会貢献的責任への期待が大きいものと言えるでしょう。

コンプライアンス意識はなぜ重要なのか?

「赤信号、みんなで渡れば怖くない」的な行動が未だ蔓延している企業が多くあります。
「責任ある立場でないから、特に大きな問題ではない」「仲間内だけの楽しみだから他に知られるはずがない」と軽い気持ちで起こしたことが、会社・店舗そのものを窮地に晒す事例が飲食店チェーンを中心に続いたことを記憶している人も多いことでしょう。
一度、起きてしまったことからの失墜してしまった企業の信用回復までには多くの時間と労力、資金を必要とする場合も少なくありません。
「みんながやっているから」「社内では当たり前のことだから」「見る人なんていないだろうから」という言い訳や考え方は通用しないのが今です。
社員一人一人のコンプライアンス違反に対するリスクの意識が必要とされています。

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コンプライアンス研修の目的

コンプライアンス研修の目的は、「社会人としての最低限のルールや認識を身につける」「法令や社会的規範の意味や期待されるものを正しく理解し、問題発生リスクのマネジメントをする」の2点が挙げられます。

コンプライアンス違反が引き起こすもの

コンプライアンス違反における事例として、雪印乳業、伊藤ハムなどの食の安全に疑いを引き起こした事例、そして、吉野家を始めとする飲食チェーンにおけるバイトテロなどが挙げられます。

コンプライアンス違反が発生する要因

コンプライアンス違反が起こる要因として
・法律に関する知識不足
・不正を行いやすい環境、社内風土
・コンプライアンス違反を正しく是正する仕組みがない

の3つがあげられます。
知識不足に関しては、必要な知識研修や情報の共有で改善されることが期待できます。しかし、環境や風土からくる発生要因については問題が複雑で、発生後の対処で問題をさらに大きくしてしまうケースが多く見られます。その事例として2000年6月の雪印食中毒事件は事例としても、利用される頻度が高いものとなっています。このような環境下では、是正するための対策を用意しても正しく運用されることが難しいため、企業として大変に根の深い問題となりがちです。

参考:唯学書房・コーポレートコンプライアンス季刊第16号
   「食の不祥事を考える」編著・郷原信郎

コンプライアンスの正しい理解がリスクマネジメントに

コンプライアンスの視点から企業に求められるのは「定められた規則や法律、倫理観、道徳感などを守って企業活動を行うこと」です。求められるものを企業として実践することにより、企業不祥事に直結するコンプライアンス違反を防止し、企業活動に信用を集める体制ができます。また、コンプライアンス違反が発生した場合、その対応において社会が何を期待しているかを理解していれば、真摯な企業の姿勢と適切な対処により、不祥事により信用失墜を超えて、さらなる信用の積み増しを可能とします。

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コンプライアンス研修の内容について

業種により扱う項目は随分と変わりますが、どのような業種であっても外せないものを中心に具体的な内容について解説します。

コンプライアンスに対する意識を高めるには?

コンプライアンス意識を高めるために必要なのは当事者意識です。
理論、情報、知識だけの研修になると、どうしても他人事として学びが定着してしまい、研修の目的を果たすことは難しくなります。具体的に自分ごとにイメージしやすい事例を多く扱うことで当事者意識を高めることが必要です。
ここ20年くらいの間に起きた実際の事例と、経緯・経過の検証とを組み入れていくと良いでしょう。例えば、自動車メーカーの燃費偽造問題、情報漏えい問題、食品偽造問題、バイトテロ問題などから、近い業種や近い雇用形態のものを選択し、もし、自分たちの身に起きた場合を想定したディスカッションなどを取り入れると良いでしょう。

コンプライアンス研修で外せない2つ

昨今の社会情勢から、「ハラスメント研修」と「SNSを含む情報リテラシー研修」の2つは世代、立場関係なく外せない研修項目です。
「ハラスメント研修」では、よく知られるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントの他、業種によりカスタマーハラスメントを受けた際の対応、事後の処置・報告などについても大切な内容になります。これは加害者にも被害者にもならないための研修として注目を集めています。
社員同士が、顧客と社員とが、取引先と社員とが、お互いに尊重し合う良い職場環境を形成する基盤となります。

「SNSを含む情報リテラシー研修」は、2020年よりリモートワークの導入が一気に広まった背景から、こちらも注目が集まっています。PCやスマートフォン、クラウドシステムやサーバーの外部からのアクセス、外部への持ち出しが必要となり、杜撰な情報管理体制では顧客からだけでなく、社会からの信用を大きく失墜させることになります。

効果を高めるためのポイント3つ

コンプライアンス研修の効果を高めるためにはタイミングも大切な要因です。
ポイントは
 ・実施のタイミング
 ・対象者に合わせた内容
 ・実施と実践がしやすい環境づくり

の3つです。
「実施のタイミング」は「社内、または同業他社にて重大なコンプライアンス違反があったとき」「重大ではないレベルのコンプライアンス違反が頻回しているとき」「大きな組織改編や社内規定の変更があったとき」が効果的です。
「対象者に合わせた内容」というのは、年齢、経験、立場により見える世界に差異がありますので、状況を踏まえ、成長過程、昇進などに合わせた内容を取り揃えておくことが大切です。
「実施と実践がしやすい環境づくり」では、研修への社内の理解を広め、社外からの期待を社員全員が共有することです。事前に関連各所との調整をおこない、社員が安心して研修に参加できる環境と雰囲気づくりも欠かせません。状況によって、集合型研修だけでなく、e-Learningやオンライン研修の導入も検討しましょう。

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コンプライアンス研修の効果を定着させるために必要なもの

喉元過ぎれば熱さ忘れる、が世の常です。コンプライアンス違反への過小評価と、根拠のない安心が次なるリスクの呼び水となります。ほんの些細なことと侮らずに、一人一人の意識に定着しやすいような、研修頻度、情報の共有、研究の機会を提供することと、多面的な社員の評価から誠意を持って働ける場への配置や配慮など、組織を育てるための工夫がコンプライアンス研修の効果の定着に繋がるでしょう。

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まとめ

今回は、コンプライアンス研修について解説しました。起きたことを過去のものと放置せず、真摯に受け止め、改善に向けて努力することを社会が企業に求めてくるようになりました。
コンプライアンス違反を防ぐことも大切ですが、起きてしまった際の対処までが企業の評価とされますので、社会に求められていることは何かを常に考える組織開発が重要になります。

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HRコラム編集部

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