考課者研修とは?目的や実施するメリット、研修内容や実施方法を解説
考課者は部下の評価を行う重要な役割がありますが、適切な評価を行うためには一定のスキルが必要とされます。
考課者研修は、評価者としての心構えや評価スキルを身につけるための研修で、納得感のある人事評価を行うためには重要な取り組みとなっています。
この記事では、考課者研修の目的やメリット、具体的な研修内容や実施方法について詳しく解説しています。人事評価の質を高めて、社員のモチベーション向上や組織力強化のために、ぜひ参考にしてみてください。
考課者研修とは?考課者に求められる役割やスキル
考課者研修とは、人事評価を行う立場の人たちが、公正で的確な評価を行うためのスキルを磨くための研修です。
考課者は、単に期末に評価結果を伝えるだけでなく、日頃から部下の成長を促し、モチベーションを高める働きかけが必要です。
以下では、こうした考課者に求められる様々な役割やスキルについて、詳しく解説していきます。
目的達成に向けた適切な目標設定力
考課者には、自分の部下が目標を達成できるよう、適切な目標設定が行えるスキルが求められます。
ただ闇雲に高い目標を設定するのではなく、部下の能力や適性を見極めて、達成可能でモチベーションの上がる目標を一緒に考えていくことが大切です。
目標設定の際に考課者が心がけるべきポイントは以下の通りです。
・会社の経営方針や事業計画を理解し、それに沿った目標を立てる
・部下の過去の実績や能力を把握し、少し背伸びをする程度の目標にする
・部下と十分にコミュニケーションを取り、納得感のある目標を設定する
・数値だけでなく、行動面の目標も盛り込む
・目標達成までのプロセスを明確にし、進捗確認の方法を決めておく
また、目標設定の際には部下のキャリアプランも考えましょう。「この経験を積むことで、将来こういったポジションを目指せる」といった長期的な視点を持つことで、部下のやる気にも繋がります。
公平で客観的な評価力
考課者には、部下一人ひとりの頑張りや成果を公平で客観的に評価するスキルが求められます。
評価にバラつきがあったり、感情で左右されたりしては、部下のモチベーションを下げてしまいます。
公平な評価を行うためのポイントは以下の通りです。
・評価基準を明確にし、部下にも事前に伝えておく
・日頃から部下の仕事ぶりをしっかりと観察しておく
・短期的な成果だけでなく、長期的な成長や貢献度も評価する
・他の部下との比較ではなく、その人の能力や役割に応じて評価する
・評価の理由や根拠を具体的に説明できるようにしておく
とはいえ、完璧な評価を行うことはできませんので、大事なのは、評価の基準を明確にして部下にそれを伝えておき、評価の理由をしっかり説明することです。
部下の納得感を得られるよう、考課者は日頃から評価の精度を高めるよう行動しましょう。
成長につなげるフィードバックスキル
考課者の役割は、部下の評価をするだけではありません。評価結果をフィードバックし、部下を成長させていくことも大切な仕事です。
ただし、フィードバックの仕方を間違えると、部下のやる気を削いでしまうこともあります。考課者には、部下の成長につなげるフィードバックスキルが求められます。
以下のポイントを意識して取り組みましょう。
・良かった点は具体的に褒め、自信を持たせる
・課題については前向きな指摘を行い、改善策を一緒に考える
・目標に向けた行動を提案し、必要なサポートを行うことを伝える
・部下の話に耳を傾け、双方向のコミュニケーションを心がける
・フィードバックの場は安心して話せる雰囲気をつくる
厳しい内容のフィードバックが必要な場面もあります。そんな時は、感情的にならずに事実を冷静に伝えることが大切です。部下の受け止め方を確認しつつ、今後の改善策を話し合いましょう。
考課者研修が求められている背景
考課者研修の重要性が高まっている背景には、評価の公平性や納得感への課題意識が高くなっていることがあります。
また、評価結果に納得がいかなければ、人事評価制度の信頼自体が揺らいでしまいます。
以下では、考課者研修が求められている背景について、もう少し掘り下げて解説していきます。
主観的な評価を防ぐため
考課者がつい陥りがちなのが、主観的な評価です。
人間なら誰しも持っている先入観や好みが影響してしまうもので、全く意識せずにやってしまうことも多いのです。
例えば、考課者にとって「この部下は口数が少ないから、きっと仕事ができない」といったイメージがあると、その部下が実際に成果を出していたとしても、正しく評価できない可能性があります。
こうした主観的な評価が続いてしまうと、以下のようなリスクがあります。
・実力以上の評価を得た部下のモチベーション低下
・過小評価された部下の不満やストレスの蓄積
・適材適所の人員配置ができず、パフォーマンスが落ちる
つまり、主観的な評価は部下のやる気を削ぐだけでなく、組織力の低下にもつながりかねません。特に近年は働き方の多様化が進み、リモートワークで部下の働きぶりが見えにくくなっているだけに、考課者の主観に頼った評価のリスクは高まっていると言えるでしょう。
考課者と評価制度への信頼を守るため
部下からの信頼があってこそ、考課者は的確な評価とフィードバックを行うことができます。しかし、考課者のスキル不足や評価制度の不備があると、その信頼を落としてしまうかもしれません。
例えば、考課者が部下を詳しく把握せずに一方的に評価をしたり、評価基準が曖昧なまま査定が行われたりすれば、部下は「自分の頑張りをしっかり評価してもらえない」と感じ、不信感を抱いてしまいます。
こうした状況が続けば、部下のモチベーションは下がり、考課者の指導も聞かなくなってしまいます。そうなると、せっかくの評価面談も上司と部下の本音が言えない、ただの形式的なものになってしまうのです。
考課者研修を実施するメリット
考課者研修を実施することで、評価者のスキルアップに繋がり、人事評価の質を高めることができます。
そして、適切な評価が行われることが、社員のモチベーションアップや組織力の強化につながるのです。
以下では、考課者研修を実施するメリットについて、詳しく解説していきます。
評価制度や評価方法の理解度が高くなる
人事評価制度は会社によってさまざまですが、その内容を考課者がしっかりと理解していなければ、効果的な運用はできません。
考課者研修では、自社の人事評価制度の基本的な仕組みから、具体的な評価項目、評価基準、評価の方法までを一から学びます。例えば、以下のようなことを確認していきます。
・評価の目的は何か
・評価の時期や頻度はどうなっているか
・評価項目にはどのようなものがあるか(業績、能力、情意など)
・各項目の評価基準はどう決められているか
・絶対評価か相対評価か
・評価の手順や提出書類は何か
このような内容を理解することで、考課者は評価制度の意図を汲み取って、社員一人ひとりを正しく評価できるようになります。
適切な評価スキルを習得することができる
適切な評価スキルを身につけることは、考課者研修の中でも特に重要な部分です。公平な評価の土台となり、従業員の納得感やモチベーションに直結するためです。
適切な評価スキルには、主に以下のようなものがあります。
・客観的な観察力
・評価基準を正確に理解して適用する能力
・根拠に基づく評価能力
・フィードバックスキル
考課者研修では、これらのスキルは座学だけでなく、実践的な演習やグループワークを通じて身につけていくこともあります。
例えば、ビデオ教材を使って様々な従業員の行動パターンを見て、それをどう評価すべきか学ぶ、といった方法です。
評価スキルは一朝一夕で身につくものではないため、定期的な考課者研修の受講と普段から実践することが大切です。
被評価者を成長させるためのフィードバック力が上がる
フィードバックはいざ実践すると、とても難しいです。特に低評価の場合、どう伝えればいいか悩むことも多いのではないでしょうか。
しかし、フィードバック力が部下の成長を左右する重要なポイントでもあります。
例えば、「サンドイッチ法」と呼ばれるようなフィードバック方法もあり、良い点→改善点→励ましの順で伝えると、相手も前向きに受け止めやすくなるといった方法です。
考課者研修では、ロールプレイングなどを通じてこれらのスキルを実践的に学びます。
頻度も重要で、年1、2回の面談だけじゃなく、日々の小さなフィードバックの積み重ねが効果的です。そして、フォローアップも忘れないようにしましょう。
フィードバック力を磨くことで、単なる評価ではなく効果的な人材育成につながります。
従業員の満足度が上がる
考課者研修を実施すると、意外にも従業員の満足度が上がります。というのも、評価される側にとっても大きなメリットがあるためです。
具体的には、以下のような点で従業員の満足度向上につながります。
・評価の透明性が上がる
・フィードバックの質が改善される
・評価がより公平になる
・キャリア形成のためのサポートが充実する
・上司とのコミュニケーションの機会が増える
例えば、上司が考課者研修を受けることで評価基準がクリアになり、「なぜこの評価なのか」がはっきりと説明できるようになります。
「あなたのこの行動が、会社の◯◯という方針に合っていることで高評価につながりました」といったように、自分の頑張りが正当に評価される可能性が高くなることで、その結果として、従業員の定着率アップやモチベーション向上にもつながります。
考課者研修の主な内容
考課者研修では、人事評価制度の理解から評価スキルの向上まで、考課者に必要な知識やノウハウを幅広く学ぶことができます。
以下では、考課者研修の主な内容について、詳しく解説していきます。
自社の人事評価制度の理解
考課者研修で最初に取り組むべきなのが、自社の人事評価制度をしっかり理解することです。
まず、自社の評価制度の目的や背景を知ることから始めます。例えば、「成果主義を重視している」や「長期的な人材育成に力を入れている」といった会社の方針が、評価制度にどう反映されているのかを確認します。こうしたことがわかっていないと、評価内容がズレてしまう可能性があるのです。
次に、評価項目や基準を確認します。「成果評価」「能力評価」「情意評価」といった項目がありますが、それぞれの配点や重要度を把握しておくことが大切です。特に、曖昧になりがちな「情意評価」の基準は、具体例を交えて理解を深めておくといいでしょう。
評価のタイミングや頻度も確認が必要です。半年に1回なのか、1年に1回なのか。また、中間面談や目標設定面談がいつ行われるのかも押さえておきましょう。
評価結果の活用方法も重要なポイントです。昇給や昇格にどう反映されるのか、人材育成にどう活かされるのかを理解しておくことで、より責任を持って評価を行うことができます。
評価エラーへの理解と対策
考課者研修では、評価者が陥りがちな評価エラーについて理解を深めて、具体的な対策を学ぶことが重要です。
評価エラーとは、評価者の思い込みや偏見によって、被評価者の実際の能力や成果とは異なる評価をしてしまうことを指します。
代表的な評価エラーには以下のようなものがあります。
エラーの種類 | 内容 |
ハロー効果 | ある特定の評価項目での印象が、他の項目の評価にも影響してしまう |
寛大化・中心化・厳格化傾向 | 評価が甘くなる、中心に偏る、厳しくなりすぎるなどの傾向 |
第一印象効果 | 第一印象や初期の出来事によって、その後の評価が変わってしまう |
論理的誤差 | 関連性のない複数の評価項目間で、同じような評価をしてしまう |
近似点効果エラー | 評価期間の直近の出来事のみに基づいて、評価をしてしまう |
帰属要因によるエラー | 部下の成果を、本人の能力ではなく外的な要因のみで判断してしまう |
これらの評価エラーは、評価者が意識していなくても起こりうるものです。そのため、研修では具体的な事例を交えながら、自身の評価の傾向を振り返る機会を設けることが大切です。
また、評価エラーを防ぐためには以下のような対策が有効です。
・評価基準を明確にし、評価者間で認識を揃える
・日頃から部下の行動や成果に関する記録をとる
・評価の根拠について説明できるようにしておく
・評価者同士で評価結果を共有し、偏りがないかチェックする
部下の評価は、賞与や昇進などに大きな影響を与えます。そのため、考課者は評価エラーについて把握しておき、それらを防ぐ方法を身につけておくことが重要です。
適切な評価の進め方
考課者研修では、適切な人事評価を行うための一連の流れについて学びます。
まず重要なのは、評価基準を明確にした上で、部下と共有することです。目標設定の際には、会社の方針を踏まえつつ、部下の強みや弱みを考慮しながら具体的で達成可能な目標を立てましょう。
評価面談の際は、自己評価と上司評価のズレについて、じっくりと話し合うことが大切です。単に結果を伝えるだけでなく、なぜそのような評価になったのか、部下の納得を得られるよう丁寧に説明します。
良かった点は褒め、課題については一緒に解決策を考えるようにしましょう。
フィードバックの際は、部下のモチベーションを高められるよう、前向きな言葉をかけるように意識します。一方的に指示するのではなく、部下の考えを引き出しながら、成長につながるアドバイスをするのが上司の役目です。
良いフィードバックの仕方
人事評価におけるフィードバックは、部下の成長をさせ、モチベーションを高める重要な機会です。考課者研修では、効果的なフィードバックの方法について学びます。
例えば、良いフィードバックのポイントは以下の通りです。
【部下の頑張りや成果を具体的に認める】
例:「今期の営業目標を達成したのは、◯◯の努力があってこそだった」
【改善点は建設的に伝える】
例:「もう少しスピード感を持って仕事に取り組めると、さらに結果が出せると思う」
【部下の話に耳を傾ける】
例:「今期の目標達成で、特にどんな点に苦労した?」
部下の頑張りを認めて、課題解決に向けて一緒に考えるのが上司の重要な役割です。そのために、考課者研修で効果的なフィードバックの方法を学び、職場で実践していくことが求められます。
考課者研修を実施する方法
考課者研修の実施方法としてはいくつかの選択肢がありますが、自社の課題や目的に合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。
どのような方法を選ぶにせよ、自社の人事評価制度に沿った内容であることや、考課者のレベルに合った内容であることが重要になります。
以下では、考課者研修を実施する具体的な方法について、詳しく解説していきます。
外部講師を招いた集合研修
外部の講師を招いて集合研修を行うことは、考課者研修の効果的な実施方法の1つです。
メリットやデメリットなど、ポイントは以下の通りです。
・専門的な知見やノウハウを取り入れやすい
・他社の事例を交えながら学べる
・講義形式とグループワーク形式を組み合わせるのが一般的
・コストがかかるのが難点
・継続的に学習する機会を設けることが大切
まず、外部講師を招くことで、人事評価や考課者研修の専門的な知見やノウハウを取り入れやすくなります。特に、経験豊富な講師を選ぶことで、自社の課題に合わせてカスタマイズされた研修が可能になります。
また、他社の事例を交えながら学べるのも大きなメリットです。評価基準の作り方、面談の進め方、フィードバックのコツなど、他社での成功事例や失敗事例を講師から直接聞くことができます。
研修の形式としては、講義形式とグループワーク形式を組み合わせるのが一般的です。ケーススタディやロールプレイングを取り入れることで、より実践的なスキルを身につけられます。
講師選定の際は、講師の実績や専門分野をしっかりとチェックし、事前に打ち合わせを行うようにしましょう。
eラーニングを活用した研修
eラーニングを使った考課者研修は、時間や場所の制約がないことから、忙しい管理職の人には特に向いています。
eラーニングの主なポイントは以下の通りです。
ポイント | 内容 |
幅広い内容をカバー | 基礎知識から実践的テクニックまで |
動画コンテンツの活用 | ロールプレイング動画や面談シミュレーション |
自分のペースで学習可能 | 空き時間を利用して少しずつ進められる |
コスト効率が良い | 1人あたり数千円から数万円程度 |
繰り返し利用可能 | 一度導入すれば何度でも使える |
例えば、「ハロー効果とは?」のような基礎知識から、「部下のモチベーションを下げないフィードバックの仕方」といった実践的なテクニックまで、段階的に学べるようになっています。
ただし、eラーニングにも下記のような注意点があります。
・実際のコミュニケーション練習ができない
・後回しにしがちで、進捗管理が必要
・自社の評価制度に合わせたカスタマイズが重要
eラーニングは便利な方法ですが、それだけで完璧とは言えません。しかし、集合研修と組み合わせたり、実践的なフォローアップを行ったりすれば、とても効果的な研修方法になるはずです。
講義とグループワークの組み合わせ
講義とグループワークを組み合わせた考課者研修は、理論と実践をバランス良く学べる効果的な方法です。
この研修方法の主なポイントは、以下の通りです。
・講義で基本知識を学び、すぐにグループワークで実践
・多様なグループワーク(評価の比較、ロールプレイング、ケーススタディなど)
・他の参加者との意見交換によって気づきが生まれる
・実践的なスキルの習得
具体的な研修の例は、以下の通りです。
【講義パート】
・評価の基本知識(ハロー効果、中心化傾向など)
・目標設定の仕方
・フィードバックの極意
【グループワークパート】
・架空の部下の評価と結果の比較
・フィードバック面談のロールプレイング
・ケーススタディの討議
研修を成功させるためには、下記のような内容を意識しましょう。
・時間配分:講義とグループワークを半々くらいに
・グループの人数:4〜6人が理想的
・研修後のフォローアップ:1ヶ月後のアンケートなど
例えば、6時間の研修なら、午前中3時間で講義、午後3時間でグループワーク、のように行うことができます。ただし、参加者のレベルによっては調整が必要になるため注意しましょう。
講義とグループワークを組み合わせた研修は、座学だけでは身につかない実践的なスキルを身につけることができます。
ロールプレイングによる実践練習
ロールプレイングは実際の評価面談を模擬的に体験できるため、座学だけでは得られない気づきが多く得られます。
ロールプレイングの主なポイントは以下の通りです。
・実践的なスキルが身につく
・自分の癖や傾向に気づける
・フィードバックを即座に受けられる
・他の参加者の良い点を学べる
具体的なロールプレイングの進め方としては、以下のような流れです。
・シナリオの設定
・役割分担(評価者役、被評価者役、観察者役)
・ロールプレイの実施(10〜15分程度)
・フィードバックと振り返り
注意点としては、最初は恥ずかしがってしまう人が多いため、アイスブレイクをしっかりやって、リラックスした雰囲気を作るのが大切です。
ロールプレイングは1回だけではなく、何度も繰り返すのがおすすめです。例えば、3ヶ月に1回程度のペースで定期的にやると、スキルも定着しやすくなります。
考課者研修の注意点や課題
考課者研修を実施する上では、いくつかの注意点や課題があります。せっかく研修を受けても、日常業務で活かせなければ意味がありません。
以下では、考課者研修の注意点や課題について、具体的に解説していきます。
一度の研修で全てを習得するのは難しい
考課者研修は、1回の研修で全てを習得することはとても難しいです。
研修で学ぶべき内容には結構な量があるうえに、どれも奥が深いテーマばかりなので1日や2日の研修ではカバーしきれません。
さらに、人によって苦手な部分が違うため、一度の研修で全員が満足いく結果を得るのは難しいのです。
そのため、以下のようなポイントを考慮しておくと効果的です。
・段階的な研修プログラムの構築
・フォローアップ研修の設定
・OJTとの組み合わせ
・eラーニングの活用
・継続的な学習の仕組み作り
これらの方法を組み合わせて、長期的な視点で考課者のスキルアップを行う必要があります。
日常業務での実践と振り返りが大切
考課者研修を受けただけでは評価スキルは身につかないため、日々の業務の中で実践して振り返ることがとても重要です。
実践と振り返りが重要な理由は、以下の通りです。
・研修で学んだ理論を実際の場面で使える
・実践を通じて自分の得意不得意がわかる
・具体的な事例をもとに改善点が見つけられる
・他の評価者と意見交換をして新しい発見がある
日常業務での実践方法には、以下のような方法があります。
・日々の部下との会話を評価の練習と考える
・中間面談を活用してスキルを磨く
・他の評価者と評価結果を比べて話し合う
・評価の後で自己採点して、改善点を探す
例えば、3ヶ月に1回、1週間かけて管理職同士で評価の様子を見合うといった方法もあります。
評価を振り返る際には、以下のコツを意識しておきましょう。
・具体的な事実をもとに振り返る
・良かった点と悪かった点の両方を見つける
・分からないことは上司や人事に相談する
日々の業務で実践して振り返りを繰り返すと、評価スキルは高くなっていきます。しかし、これを個人任せにするのは良くないため。会社としてサポートすることが大切です。
評価制度自体の見直しにもつなげる
考課者研修を実施すると、評価制度自体の課題が出てくることがあります。
例えば、日々の業務では評価しづらいという意見が出てきた場合、こういった気づきを活かすために、以下のような取り組みを行うと効果的です。
・研修後のアンケートで制度に関する意見も集める
・定期的に評価者会議を開催し、制度の課題を議論する
・人事部門と現場の評価者で改善プロジェクトを立ち上げる
・他社の事例も参考にしながら、自社に合った制度を検討する
ですが、注意点もあります。制度を頻繁に変えすぎると、かえって混乱を招くこともあります。
以下のようなバランスを取ることを意識しておきましょう。
・短期的な改善と中長期的な見直しのバランス
・現場の意見と経営方針とのバランス
・評価の公平性と柔軟性のバランス
評価制度の見直しは、単に「より厳密に」や「より細かく」というものではありません。むしろ、シンプルで分かりやすい制度のほうが、評価者にも被評価者にも受け入れられやすいことがあります。
考課者研修のまとめ
考課者研修は、評価者のスキルアップによって、公正で納得感のある人事評価を行うためには重要な取り組みです。
この記事でお伝えした考課者研修の要点をまとめます。
要点 | 内容 |
人事評価制度の理解 | 自社の評価制度の目的や評価基準を正しく理解し、適切に運用できるようになる |
評価エラーへの対策 | 評価者の主観で左右されない、公平な評価を行うための心構えを学ぶ |
評価面談のスキルアップ | 部下の納得感を高めるためのフィードバックの仕方を実践的に学ぶ |
日常業務での実践と振り返り | 研修で学んだスキルを日々の業務で活かし、継続的にスキルアップを行う |
評価制度の見直し | 研修で明らかになった課題を踏まえて、評価制度の改善につなげる |
考課者の評価スキル向上は、組織の生産性アップと社員のモチベーション向上に直結します。そのため、人事部門は考課者研修を効果的に行うことや、評価制度の継続的な改善を行わなくてはなりません。
そして、考課者一人ひとりが評価者としての責任を持ち、考課者研修を通じてスキルアップを行うことが大切です。
「CBASE 360°」は、株式会社シーベースが提供するHRクラウドシステムです。経営を導く戦略人事を目指す人事向けのお役立ち情報をコラムでご紹介します。