給与体系とは?給与制度の変更や見直しのポイント、モデル別の違いも解説
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給与体系は従業員に対して大きな影響を与えます。2020年に導入された同一労働同一賃金により、給与体系の見直しを必要としている企業も多いのではないでしょうか。
今回は給与体系とはどのようなものか、種類や作り方について解説します。給与体系の改正にぜひお役立てください。
目次
給与体系とは
給与体系とは、給料の金額や支給基準をまとめたものです。給与とは国税庁によると「使用人や役員に支払う俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得」と定義されています。
給与はお金に限らず福利厚生のように給与は基本給やさまざまな手当を組み合わせて構成されています。
参考:No.2508 給与所得となるもの
給与体系には、会社の意思が反映される
給与体系は会社に従業員が何を求めているのか、何を評価するのかを伝えるメッセージになります。たとえば多くの企業で導入されることが多かった成果給は、「成果を出した社員を評価する」というメッセージを伝えます。
そのため、給与体系はお金だけではなく、経営方針や評価基準と一緒に考えることが大切です。
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給与体系の種類
給与体系は大まかに、基準内賃金と基準外賃金に分けられます。それぞれ性質が異なるため、それぞれの違いを把握することが大切です。
基準内賃金
基準内賃金とは、所定労働時間内の労働に対する対価として支払う賃金です。最低賃金補償の対象となり、深夜割増などの割増賃金の計算の基礎としても使われます。最も基本的な基準内賃金が基本給です。基本給は大まかに以下の3つに分けられます。
・仕事給:担当した業務や職務遂行能力など労働に対する対価
・属人給:学歴や勤続年数・年齢など個人的な要素で決められる基本給
・総合給:上記2つを組み合わせた基本給
以上3つ、いずれかの方法で、基本給は計算されます。
基準外賃金
基準外賃金とは労働時間内の労働に関係なく支払われる賃金です。最低賃金法の適用対象外で、会社の裁量でほとんどは決められています。
いわゆる手当がこれに該当します。多くの企業で取り入れられる手当は以下の通りです。
・時間外手当
・通勤手当
・家族手当
・住宅手当
ここで紹介した手当以外にも、会社の中で自由に手当は決められるため、中にはその会社独自の手当が設けられている場合があります。
給与体系ごとのメリット・デメリット
給与体系で使われる給料の種類にはそれぞれメリットとデメリットがあります。それぞれの特性を理解した上で、うまく組み合わせることが大切です。
属人給
属人給は社員の能力に影響せず、支払われる点が特徴です。給料が安定するため、生活保障の意味合いが強く、社員に安心感を与えます。
しかし、能力に給料が影響しないため、属人給の要素が強い場合、不公平感を抱く社員もいる可能性がある点に注意が必要です。
仕事給
仕事給は仕事に対する対価です。大まかに職務給と職能給に分かれます。また、職務手当や職能手当など基準外賃金として支払われる場合もあります。
職務給とは、今している仕事の内容に合わせて支払われる賃金です。2020年4月には同一労働同一賃金の原則が適用されることで、正社員と非正規雇用労働者の待遇差がなくなりました。
職能給とは従業員の知識や経験など、職務遂行能力によって定められた賃金です。ただし、在籍年齢がスキルと混同される場合があり、年齢給と区別する必要があります。
給与体系を改善する手順
2020年の働き方改革により、同一労働同一賃金が適用されるようになった結果、給与制度の見直しが必要になった企業も多いでしょう。給与制度は社員に与える影響が大きいため、慎重に考える必要があります。
ここでは給与体系を改正する具体的な基準について解説します。
現場の課題を整理する
給与体系を考える上では、現状の現場の課題を確認することが大切です。給与制度は従業員に対する影響が大きく、評価制度が大きく関わります。また、組織の課題はきちんと調査しなければ把握できないことも多いため、慎重に検証しましょう。「組織診断」では、従業員が会社に対して抱いている意識や課題を簡単に調査できますので、ご利用ください。
給与体系の見直し
給与体系のバランスがどのようになっているか、手当をどのように支給するかそれぞれ考え、給与体系を見直します。
近年では同一労働同一賃金の適用のため、年齢給など属人給の配分を高くすることはできなくなりました。
従業員にどのような待遇をするのか、どのような社員を評価するのか、給与体系がメッセージとなるため、しっかりと考える必要があります。
役割評価表を作成する
役割評価表とは、企業内職務を役割ごとに重要度を定めた表です。要素ごとに点数を振り分け、加点式で計算する方法が多く採用されています。
また何をどの程度までできるとよいか、判断尺度を定量的に判断できることが大切です。
変更後のシミュレーションを行う
役割評価表を作り、給与体系が完成したら、仮に実際の従業員を当てはめてみて、どのようになるかシミュレーションを行いましょう。
金額をシミュレーションしてみると、現在の給与額から増減する従業員が出てきます。金額が下がる従業員は労働条件の不利益変更となるため、対処法を考えなければいけません。
公平性を確保するためには、職務内容や等級内容での細かい調整が必要です。実際に計算しながら、最適な給与体系を検討する必要があります。
従業員への説明を行う
給与体系を改正するときには、改正の目的を従業員に説明しましょう。どのような目的で改正するのか、運用方法はどのようになるのか、説明し、従業員に理解してもらうことが大切です。
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給与体系改正の注意点
給与体系の改正は従業員への影響が大きく慎重な判断が求められます。ここでは給与体系改正の注意点について解説します。
法律を遵守できているか確認する
給与体系を改正する時は法律で定められた基準を満たしているか確認しましょう。労働基準法第24条には「賃金支払いの5原則」として以下の原則が定められています。
・通貨払いの原則:現金で支払うこと
・直接払いの原則:親など労働者以外の人間に支払わないこと
・全額払いの原則:分割などせず、全額を渡すこと
・毎月一回以上払いの原則:毎月1回以上支払うこと
・一定期日払いの原則:一定期日にズレなく支払うこと
これらの基準が守られない場合、給与が安定せず、従業員の生活にも影響することがあります。そのため、従業員の生活を守るためにも、これらの基準を満たさなければいけません。
経営方針と食い違いがないか確認する
給与体系は従業員に対して、求める人物像を強く伝えるものです。そのため、経営方針と矛盾がある場合、社員が離れてしまう恐れがあります。
逆に給与体系をうまく整えられれば、求める人物像に近い人が残り、会社の業績アップにもつながるでしょう。
従業員の満足ではなく納得を目指す
給与体系は全ての従業員に満足してもらうことは現実的ではありません。従業員が給与に不満を持つ場合、自分以外の誰かと比較して不満を感じることもあります。しかし、給与体系の設計がしっかりとしており、理由を説明できれば、納得してもらうことは可能です。
給与体系のまとめ
給与体系の改正は従業員に与える影響が大きく、社員の成長にも大きく関わっています。その給与の改正のためには、現状の課題を調査、分析し、会社の状態に合わせた給与体系を整えることが大切です。
「組織診断」は200社以上の調査導入実績があり、従業員が会社に抱いている意識や課題を簡単に調査できます。給与や働き方の課題が可視化でき、給与体系の改正時にも役立つでしょう。
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