昇給とは?昇給・昇進・昇格との違い、ベースアップとの違い、時期や計算方法の例などわかりやすく解説
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一言に昇給と言っても、長期的に安定して得られる昇給、一時的な昇給とさまざまにあります。
そして、転職市場、新卒採用市場では、求職者が、まず最初に確認するのが給与金額と昇給制度であり、当然、社員も気にするところ。
今回は、この昇給制度について解説します。
目次
昇給とは?さまざまな種類の昇給制度
一般的に見られる昇給制度についてまとめています。
いくつかの昇給制度を組み合わせて運用する会社が多いようです。
定期昇給
定期昇給とは、毎年、決まった時期に行われる定期的な昇給。能力・成果に関わらず、賃金が上がり、年功序列賃金とも呼ばれています。
基本的に古くからある企業に多く取り入れられている傾向にあります。
臨時昇給
臨時昇給は、特に時期を定めていない昇給で、会社ごとに就業規則の中で定められている範囲で決定されることもあれば、業績の急激な向上などを理由に臨時的に、決定されることもあります。
自動昇給
勤続年数や年齢を基準とする昇給で、能力・業績は反映されず全ての従業員が定期的に一律昇給する。
考課昇級
人事考課・査定によって行われる昇給。定期昇給と人事考課による昇給の組み合わせが多く見られます。
普通昇級
能力の向上など、一般的な理由に基づく昇給。
特別昇級
特別な功労な実績、職務など、特別な事由に基づいて行われる昇給。
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似たような言葉との違い
昇給、昇進、昇格との違い
昇給に似た言葉に昇進と昇格があります。
簡単にこの3つを説明すると以下のようになります。
昇給・・・基本給が上がること
昇進・・・役職が上がること
昇格・・・等級が上がること
定期昇給とベースアップとの違い
ベースアップとは給与水準の引き上げを指します。個人個人の実績や勤務態度、評価など関係なく「一律引き上げる」のが特徴です。
人材不足をアルバイト、パート職員でカバーしている会社においては、最低賃金の改定や近隣他社との採用時の差別化で初任の時給を上げることが数年に一度の割合で発生します。
その際、既存職員が不公平感を持たないための配慮から、自ずとベースアップが起こりやすくなります。
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昇給の平均額はどのくらい?
厚生労働省発表の「令和元年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」によると、1人平均賃金の改定額は5,592円(前年5,675円)、率にすると2.0%(前年2.0%)とのことです。
改定金額、改定率は会社規模、産業によって異なり、状況は以下の通りです。
【企業規模】
5,000人以 6,790円
1,000〜4,999人 5,722円
300〜 900人 5,204円
100〜 299人 4,997円
【産業】
鉱業・採石業・砂利採取業 7,125円
建設業 8,261円
製造業 5,724円
電気・ガス・熱供給・水道業 5,023円
情報通信業 6,705円
学術研究・専門・技術サービス9,165円
生活関連サービス業・娯楽業 4,306円
医療・福祉 3,798円
ベースアップの状況については、定期昇給とベースアップを区別する企業と区別しない企業がありますが、平均してベースアップと定期昇給の区別のある会社は66.2%でベースアップを実施する企業は31.7%あり、33.2%企業ではベースアップとは区別せずに定期昇給を実施しているとのことです。
※厚生労働省
令和元年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況
「賃金の改定額及び改定率」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/19/dl/02.pdf
「定期昇給制度、ベースアップ等の実施状況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/19/dl/03.pdf
定期昇給のほうがメリットが大きい?
能力給より定期昇給が評価される理由
給与をもらう側にとって、毎年、決まった金額・決まった割合で昇給することの最大のメリットは生活設計のしやすさです。
年功序列に近い昇給制度のため、家庭都合により仕事に打ち込むことができなかったり、事情があり期待されるような成果が出せなかったとして、確実に昇給が見込まれているため、働く側は安心して勤務を続けることができます。
能力給の問題と定期昇給のメリット
能力給は実際の成果や社員の能力に応じて給与が決まるため、会社にとって資金繰りだけを考えれば、メリットは大きくなります。反面、社員側からは不満も出やすいのも事実。
不満の理由は、業績や能力による評価となると会社側のコントロールが強くなることと、給与・賞与の見通しが立たず、社員によってはかえってモチベーションを下げてしまい不満の原因となります。
定期昇給の問題点
定期昇給の問題点としては、実際の成果と受け取る給与とにギャップが生じてしまうことです。勤続年数が長くなると年功序列的に昇給が発生し積み上げられていくため、高い成果を上げていても若いために給与が低くなってしまう、見合った成果が全く出ていないのに年齢が高いため高額の給与を受け取るという社員が出てしまいます。
また、会社の業績が好調なときも、昇給額が決まっているため、業績に対する給与額の低さで不満が生じるかもしれません。
昇給の時期と昇給額・昇給率の計算方法
昇給に適した時期とは?
一般的に4月に年一回の昇給を実施する会社が多いようです。日本では4月より新年度となり、ここに合わせ、入社、異動などが多くなり、業務効率などの理由から4月が多くなります。
昇給額・昇給率の計算方法
昇給額の計算について、多くの会社では決まった額の昇給とする場合は、勤続年数と役職、職域とを合わせた給与テーブルを用意し、それをもとに算出します。
昇給率については以下の式で算出することができます。
「昇給率=昇給後の給与÷昇給前の給与」
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パートにも昇給に対する配慮も必要?
「パートタイム・有期雇用労働法」(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)では、雇入時の労働条件の明示化の義務として、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」の4つを文書の交付することとされています。
これは就業規則にも反映されますので、就業規則と雇用契約で決められたものに合わせて、パート勤務の社員への昇給を有無も含めて実施すれば良いのですが、勤務時間や与えられている役割、果たすべき責任が正規雇用の社員と大きく変わらない中で、社員は昇給があるのにパート勤務社員が昇給がない、というのは不満のもとになります。
また、一方、扶養の範囲で自分のスキルアップ、経験値を高めるために時間一杯働きたいというパート勤務社員もいます。
また、一定時間以上の勤務実績が保育園などへ子どもを預ける条件として必要な場合もありますので、正規雇用・非正規雇用、それぞれのバランスと配慮すべきポイントを押さえる必要があります。
昇給の停止とは
「高年齢者雇用安定法の改正」(2021年4月1日施行)から、今後、社員の就業機会の確保の努力義務として70歳まで引き上げられました。
高年齢までの雇用を考えると、定期昇給による昇給を続けることは、能力・成果と受取給与額の乖離につながることにもなり、40代後半から50代前半くらいの年齢で定期昇給を停止する企業が増えてきました。
昇給停止年齢の平均
公益財団法人日本生産性本部の「第14回日本雇用・人事の変容に関する調査」によると、一定年齢まで定期昇給がある企業は50.0%、定年まで定期昇給がある企業は17.6%で、定期昇給が止まる平均年齢は48.9歳とのことです。
公益財団法人日本生産性本部の「第14回日本雇用・人事の変容に関する調査」
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/R122attached.pdf
定期昇給制度の採用状況
そもそも定期昇給制度を取り入れている会社はどのくらいあるのでしょうか。前述の「第14回日本雇用・人事の変容に関する調査」によると「定昇制度あり」という企業は67.6%とのことです。
基本給アップを一定年齢でストップ
人生100年時代と言われるようになり、定年退職後の嘱託制度を取り入れる企業も多くなりました。長期間勤務と業務の実績とを見たときに、定期昇給を続けていると仕事と賃金のミスマッチが多くなってきます。ここからも、定期昇給制度を取り入れる場合は、一定の年齢で基本給の昇給をストップし、並行して成果に応じたものを取り入れる給与体系も考えておくのが良いでしょう。
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まとめ
今回は企業に多く取り入れられている定期昇給を中心に昇給について解説しました。
働き方、職場環境、仕事に求めるものなどが多様となり、それを受け入れる会社の柔軟性も企業評価の一つの味方となりました。
その中で、雇用の長期化を実現するために求職者が注目する昇給制度。
社員の心理的安全性を引き出すためにも、定期的な見直しが必要かもしれませんね。
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