カスタマーハラスメント(カスハラ)とは何?法律や対処法を徹底解説
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カスタマーハラスメントは顧客が社員に対して起こすものですが、どのような対応をするべきか、お困りの人事担当者の方もいるのではないでしょうか。
カスタマーハラスメントは、近年増加傾向にあり、社員にストレスを与えるだけではなく、適切な対応ができなければ、損害賠償につながる恐れもあります。今回はカスタマーハラスメントとは何か、判断基準や対応方法について解説します。カスタマーハラスメントへの対策にお困りの方はぜひ参考にしてください。
目次
カスタマーハラスメントとは
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、厚生労働省によると「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」のことです。
例えば、店員の接客に不満があるため、土下座を請求する、金銭を要求するなどの行為が該当します。また以下の行為はクレームの正当性に関わらず、脅迫罪、恐喝罪、強要罪、威力業務妨害罪、不退去罪などに概要するものです。
・長時間の拘束
・脅迫(机を叩くなどの暴力行為を伴う場合も含む)
・恐喝(「ネットで悪評を流す」「上司に報告する」など)
・強要(土下座や謝罪文など、相手に義務がないことを強要する)
・不退去(要求を通すまでオフィスや店舗に居座る)
これらの行為に該当する場合には、警察署や裁判所を通しての対応を行いましょう。
カスタマーハラスメントは増加傾向にある
カスタマーハラスメントは近年増加傾向にあります。2022年度の厚生労働省の調査によると、過去3年間の企業への相談件数はカスタマーハラスメントが19.5%とパワハラの48.2%やセクハラの29.8%に次いで増加傾向にあります。
参考:厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/content/11921000/000894063.pdf
カスタマーハラスメントへの対応は従業員の安全配慮義務があり、企業として適切な対処をしなければなりません。カスタマーハラスメント増加の背景として、SNSやネットが普及した結果や、サービスに対して過剰なものを求めるようになったことが考えられます。そのため、今後カスタマーハラスメントへの対策は重要性が高まってくるでしょう。
カスタマーハラスメントとクレームの違い
カスタマーハラスメントとクレームの大きな違いは、要求の正当性にあります。クレームとは、消費者が事業者に対して商品やサービスの至らない点を指摘し、商品の交換や追加サービスの提供を求める行為です。カスタマーハラスメントはそのような正当性の範囲を超えて、不当な請求を行う点にあります。
しかし、消費者の要求に対して、正当性があるかどうか判断しクレームとカスタマーハラスメントを線引きすることは簡単ではありません。何を持って悪質と判断するか、判断が難しい場合も多く、企業として明確な基準を設け、対応策を準備する必要があります。
カスタマーハラスメントをクレームとして処理すると、従業員に対して強いストレスを与えてしまいますし、クレームをカスタマーハラスメントとして処理してしまうと、サービスの改善機会を逃してしまう可能性があります。クレームを安易にカスタマーハラスメントと受け取るのではなく、適切に内容を見極めることが大切です。
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カスタマーハラスメントの問題点
カスタマーハラスメントは従業員や顧客、企業に対して、マイナスの影響をもたらします。ここではどのような悪影響があるのか、解説します。
従業員への悪影響
カスタマーハラスメントの被害を受けた社員には、大きなストレスがかかります。土下座や暴力、SNSなどでの誹謗中傷によって、心の病にかかってしまう可能性もあるでしょう。
そのような事態になると、従業員のパフォーマンスの低下により、企業として大きなマイナスとなってしまいます。
安全配慮義務の違反となってしまう点も問題です。カスタマーハラスメントから社員を守ることは安全配慮義務として定められており、適切な対処を行わない場合、損害賠償を求められるケースがあります。
他の顧客への影響
カスタマーハラスメントは他の顧客に対して悪影響をもたらします。店舗で、暴言や脅迫などを見ている他の顧客に不快感を与えてしまい、顧客満足度の低下や別のクレームの要因になる可能性があります。
企業への不利益
カスタマーハラスメントの例として、ネットに書き込むなどの例がありますが、そのことにより、企業のイメージダウンや業績悪化などの問題につながってしまいます。
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カスタマーハラスメントの判断基準
カスタマーハラスメントとクレームは、明確に線引きして対処基準を定めることが大切です。ここではカスタマーハラスメントを具体的に判断する基準について解説します。
顧客の要求内容が正当なものか
顧客の要求内容が正当なものかどうかを判断する必要があります。事実関係と因果関係を確認し、会社の商品やサービスについて、会社に過失がないか、根拠があるかを確認し、顧客の要求が適切なものであるかを判断しましょう。
適切ではないと判断した場合には、カスタマーハラスメントとして対処します。
要求を実現する手段や対応が妥当か
会社に過失がある場合でも、要求を実現する手段や対応に妥当性があるかが、カスタマーハラスメントの判断基準です。顧客が要求を実現する手段が過剰である場合もあります。
いわゆる暴力など犯罪行為に該当する場合には、判断が容易ですが、わかりにくいものもあります。業種や業態特有の事例もあるため、独自の判断基準を設けることが重要です。
カスタマーハラスメントの対応方法
カスタマーハラスメントは会社として、適切な対応体制を整えることが大切です。ここではどのように対処するべきか解説します。
基本方針を明確化し、共有する
企業としてカスタマーハラスメントについて、どのような対応をするか、具体的な定義は何か明確化し、社員に共有しましょう。カスタマーハラスメントは被害者の社員が一人で抱え込む、または一人で判断してしまうケースもあるため、しっかりと対応策を整える必要があります。
具体的には以下のような対策を実施しましょう。
・法律上、または会社上どのような行為がカスタマーハラスメントに該当するか定義する
・一人で抱え込まず、相談できる体制を整える
・必要に応じて弁護士に相談する
カスタマーハラスメントは一人で対応させず、会社として取り組む姿勢が重要です。
対応のフローを明確に
カスタマーハラスメントの対策として、対応のフローを明確にしましょう。クレームや問い合わせがあった際には、最初からカスタマーハラスメントだと判断せず、通常のクレームとして対応します。
カスタマーハラスメントに該当する場合のマニュアルを作成しておくことも大切です。具体的には以下の準備が必要になるでしょう。
・カスタマーハラスメントの事例を共有すること
・適切な対応事例や不適切な対応事例を共有すること
・会話の内容を記録し、社内で共有できる仕組みを作ること
・相談窓口を設置すること
・必要に応じて弁護士や警察に相談できる状態にすること
・会話の流れをマニュアル化すること
カスタマーハラスメントが起きた場合、対応マニュアルがあっても、恐怖心から思うような行動ができないケースも考えられます。そのため、そのような研修をすることも効果的です。
特にカスタマーハラスメントへの対応で、してはいけない対応にも注意しましょう。具体的には以下のものがあります。
・社員一人で判断・対応する・解決を急ごうとすること
・書類の作成や署名・捺印をすること
これらの行為によって、解決がより難しくなるケースもあります。そのため、事前に周知徹底しておきましょう。
顧客との関係性を見直し、メッセージを発信する
カスタマーハラスメントへの対策として、会社の方針として顧客が社員より上位に偏りすぎていないか、確認しましょう。
カスタマーハラスメントを減らすためには、顧客と社員はどちらかが優位ではなく、対等であり、要望をなんでも聞けるわけではないことを、顧客に周知することが大切です。
カスタマーハラスメントへの方針を顧客に伝えることで、顧客自身が対応を見直し、良好な関係を築ければ、カスタマーハラスメントは減少します。
その他ハラスメント防止策については、こちらの関連記事もご参照ください。
参考記事:職場で取り組むべきパワーハラスメント対策とは?パワハラ防止策と事例について徹底解説!
まとめ
カスタマーハラスメントは社員の心身の健康を損なうだけではなく、損害賠償につながるケースもあります。そのため、企業として適切な対応ができるよう体制を整えることが大切です。
企業が適切な対応をするためには、企業としての姿勢を明示し、マニュアルの作成や相談窓口の設置などの準備を行う必要があります。カスタマーハラスメントの対応をする際の参考にしてください。
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