プロティアンキャリアについての知識を深め、制度として導入する方法が知りたい
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会社の人事担当者の中には、自立した社員を育成したいが、どのように制度を整えればよいかわからずお困りの方もいるのではないでしょうか。そのような場合に知っておきたいのが、プロティアンキャリアの考え方です。
今回はプロティアンキャリアとは何か、具体的な実践方法、会社の制度として導入する方法を解説します。
目次
プロティアンキャリアとは
プロティアンキャリアとは、社会や経済などの変化に対応しながら、自らの働き方や能力を柔軟に変えていける変幻自在なキャリアのことです。
1976年、ボストン大学経営大学院の、ダグラス・ホール氏によって提唱されたキャリア理論です。
この考え方をうまく導入すると、自律を促せ社会や会社の変化に合わせ、柔軟に対応できるようになります。その結果、生産性が向上し、企業風土の改善にも役立つでしょう。
プロティアンキャリアに求められる2つの要素
プロティアンキャリアは「アイデンティティ」と「アダプタビリティ」という2つの要素で構成されています。
アイデンティティとは自分への理解のことで、具体的には欲求や価値観、能力への理解が含まれます。この能力を把握することで、自分に合わせた仕事の選択ができ、個人の個性に合わせたキャリア形成がしやすくなるでしょう。
アダプタビリティとは変化する環境に対応できる力とモチベーションのことです。環境に対応できる力は3つの能力が関わっています。
・環境の変化に合わせて学びを得る「反応学習」
・自分のアイデンティティを理解する「探索」
・アイデンティティと行動を一致させる「統合力」
これらの能力に、状況に適合しようとするモチベーションがあることが求められます。
プロティアンキャリアが注目される背景
プロティアンキャリアが注目されるようになったのは、VUCAの時代の到来が関わっています。VUCAとは「Volatility」「Uncertainty」「Complexity」「Ambiguity」の頭文字を取ったもので、変化しやすく、不確実、複雑で、曖昧である時代を意味します。
日本では終身雇用制度が崩壊したことが挙げられるでしょう。このような時代に対応するためには、会社に頼ってキャリア形成をするのではなく、キャリアデザインを従業員自身が設計することが重要になってきました。
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プロティアンキャリアの特徴
プロティアンキャリアの考え方にはどのような特徴があるのでしょうか。具体的な特徴を次で解説します。
キャリアの主体は個人
プロティアンキャリアの特徴はキャリア形成の選択権や決定権を個人がもつことです。終身雇用制度が崩壊する前は、企業が従業員の業務や配置を決める権限があり、キャリア形成の主導権を持てませんでした。
しかし、プロティアンキャリアの考え方では、キャリア選択の主体は個人にあり、企業はそのキャリアを実現しやすいよう、配慮して配置することが求められます。
心理的な成功が重要
プロティアンキャリアで重要なのが、心理的成功です。心理的な成功とは自分の内面の満足度のことです。
従来であれば、会社での評価や給料が成功の尺度とされてきました。しかし、プロティアンキャリアでは、自分の内面が定めた基準と比較して、満足できることが重要視されています。
具体的には、心理的に今の自分が認められている状態、社会に貢献できていると本人が感じられていることなどが挙げられるでしょう。
組織内外への柔軟な移動を重視
プロティアンキャリアでは、キャリア形成を主体的にしていくために、組織内外への柔軟な移動ができる環境が重要です。
自社以外の関係性からキャリアを形成できるよう環境を整えることで、より自由度が高く、満足度が高いキャリア形成を促しやすくなります。
プロティアンキャリアでは個人の成功のため、組織内での成果だけにとらわれず、広い目線で捉えることが大切です。従業員の成長を通じて生産性を向上させれば、長期的に見た利益につながります。
エンプロイアビリティの重視
エンプロイアビリティとは、一個人が会社に「雇用されるための能力」のことです。会社で雇用され続けるための「内的エンプロイアビリティ」と、転職などの際に雇用されやすくなるための「外的エンプロイアビリティ」に分けられます。
特に重要なのが、外的エンプロイアビリティです。プロティアンキャリアでは市場の中での「自分の価値」が高まることを意識し、企業内外問わず雇用される能力が高まれば、自ずと企業内での生産性の向上につながります。
参考記事:エンプロイアビリティとは?高める方法やデメリットの緩和方法
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現代版プロティアンキャリアの特徴
プロティアンキャリアは、近年注目された考え方で、時代に合わせて考え方が変化しています。その中でも特徴的なのが、法政大学の田中研之輔教授が発展させた「現代版プロティアン・キャリア」です。どのような特徴があるか、次で解説します。
キャリアは資本の蓄積である
プロティアンキャリアでは、キャリアは資本の蓄積であり、3つの資本を蓄積して、積み上げていくことが重要としています。従来の場合は、キャリアは移動の履歴であり、蓄積されるものではないと捉えられていました。
資本の蓄積で積み上げられる資本は、以下の3つです。
・スキルや資格、経験などのビジネス資本
・職場や人との関係性を示す社会関係資本
・金銭や不動産などの経済資本
これらの資本に合わせてキャリア像を作ることで、キャリアを形成していくとしています。
企業が従業員のキャリアを戦略的にサポートする
プロティアンキャリアは企業内でも、戦略的にキャリアを捉え、サポートすることが大事だといわれています。
上記で説明した3つのキャリア資本を「どのように蓄積するか」「どのように別のキャリアを転換させるか」「どのような職種や部署を選択させるのか」という点で考え、従業員の主体性を尊重しながら、自己実現につながるようサポートします。
プロティアンキャリアを企業が導入するには
従業員のモチベーションやキャリア制度に課題がある企業の場合、プロティアンキャリアの考え方を導入することで、従業員のモチベーションが上がり、生産性向上につながることも多いでしょう。ここではどのように導入すればよいか、具体的に解説します。
キャリアプランを提示する
企業でプロティアンキャリアを制度として導入するためには、まず企業でどのようなキャリア形成ができるのか、どのようなサポート制度があるのか、どのような労働環境なのかできるだけ提示し、従業員に伝えることが大切です。
キャリアプランを提示することで、従業員が会社でどのようなキャリア形成ができるのか、判断でき、モチベーションアップにつながります。
従業員が前向きなキャリア形成ができるよう体制を整える
プロティアンキャリアを導入する際には、従業員が自発的にキャリア形成につながる行動ができることが重要です。
会社として、自発的な行動がサポートできるよう、メンター制度や1on1ミーティングなどの制度を利用し、社員がキャリア形成に向けて悩みを相談できる環境があると、従業員のモチベーション低下を避けやすくなります。
また社員の状況に合わせて、研修制度を充実させるのも効果的です。
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プロティアンキャリアを導入する際の注意点
プロティアンキャリアを導入する際には、注意するべき点があります。これらの点に注意しなければ、制度を導入してもうまく機能しません。どのような点に気をつけるべきか、解説します。
終身雇用制度・縦割りの組織・年功序列と相性が悪い
プロティアンキャリアは終身雇用制度・縦割りの組織・年功序列制度と相性がよくありません。プロティアンキャリアでは、ときに社外でのつながりを重視します。また、社員の自由なキャリア選択を促す必要がありますが、これらの制度によって阻害されてしまう可能性があるでしょう。
組織風土の課題があると機能しない
企業の風通しに問題があり、企業内でパワハラなどのハラスメントがある場合、キャリア形成の妨げになります。風通しが悪くなると、企業内での交流が生まれにくくなり、従業員が多様なキャリア形成をするきっかけが失われてしまうためです。
そのため、組織内の風土に問題がある、ハラスメントの問題がある場合には、その課題を解決することが大切です。
まとめ
プロティアンキャリアを制度として取り入れることで、社員が自由な選択をしやすくなり、社員のモチベーション向上や生産性の向上が期待できます。
しかし、会社の課題を改善し、体制を整えて導入しなければ、思うような効果は発揮できません。CBASEの組織診断は会社の課題を客観的に把握するのに役立ちます。導入も時間がかからず、スムーズに課題を解決できます。
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