ARCSモデルとは?企業で導入するメリットや導入方法
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従業員のモチベーションを高めるにはどうすればよいか、お困りではないでしょうか。そのような場合に、導入できるのがARCSモデルです。ARCSモデルは従業員が主体的に学習する体制をつくるのに役立ちます。
しかし、どのように導入するか、どのようなモデルかわからない人も多いでしょう。今回はARCSモデルとはどのようなモデルなのか、企業で導入する際のポイントについて紹介します。
企業で、ARCSモデルを取り入れたいとお考えの人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ARCSモデルとは?4つの要素
ARCSモデルとは、高い学習意欲を引き出し、継続的な学習を促すモデルです。動機付けの理論とつながっており、教育工学・教育心理学者のジョン・ケラーにより提唱されました。
学習意欲を高めるために、4つのプロセスがあるとし、その手順を踏まえていくことで、学習者本人が主体的に学習できるよう促せます。
ARCSモデルの4要素
ARCSモデルは、以下4つのステップで学習のステップを進めていくとしています。
・注意(Attention)
・関連性(Relevance)
・自信(Confidence)
・満足感(Satisfaction)
それぞれのステップについて、次で解説します。
注意(Attention)
注意とは、学習者の興味や知的好奇心を刺激し、学びへの意欲を惹きつけるステップです。「学ぶと面白そう」「詳しく知りたい」と思わせることで、次へのステップにつながりやすくなります。
この注意は3つの段階に分類できます。
・知覚的喚起:相手の興味を引き出す
・探究心の喚起:相手の「学びたい」という気持ちを引き出す
・変化性:学習者を飽きさせず、興味関心を持続させる
学習者の興味関心を事前にリサーチする、聞きっぱなしの座学ではなく、グループディスカッションなどを取り入れる方法などがあります。
これらの観点を意識し、相手の興味を最初に引き出すこと、飽きさせずに関心を持ち続けさせることが大切です。
関連性(Relevance)
関連性とは、学習者に「身近で役に立つ」と思わせ、学ぶ意義や親しみを持たせるステップです。学習者の「やりがい」をつくり、モチベーションを生み出します。
関連性は3つに分類できます。
・親しみやすさ:学習内容と学習者の体験を紐づける
・目的指向性:学習者の目的と学習内容を関連づける
・動機との一致:学習者のやりがいと学習内容が一致するか
この3つの観点から、学習内容と学習者の関心を紐づけられているか、確認することで、学習に目的意識が生まれます。
自信(Confidence)
自信とは、その学習を通して、学習者が成功を経験し、「やればできる」と思えることです。学びが実践に活きたと実感させること、まだできていなくても「やれそうだ」と思わせられるかどうかで、前向きな行動につながります。
・学習要求:学習のゴールを示し、「やればできそう」と感じさせる
・成功の機会:成功体験から自信につなげるまでのステップを示す
・コントロールの個人化:誰かのお陰ではなく、学習者の努力と能力で成功できたと思わせる
このステップを踏むことで、学習者は成功体験を積み、今後の自信にもつながります。自己管理や自分なりの試行錯誤があると、よりこのステップにより、自信をえやすくなるでしょう。
満足感(Satisfaction)
満足感とは、学習者が学びに対して「学んでよかった」と思えることで、更なる行動や学習につなげるステップです。「学習しても意味がない」と思わせてしまうと、逆効果になるため、そのような事態にならないよう、注意することが大切です。
満足感は以下3つの要素に分けられます。
・自然な結果:学習経験の楽しみを実感できること
・肯定的な結果:学習者の学びや成功から、プラスの結果が得られること
・公平さ:学習者が公平に扱われていると感じること(無駄な努力と感じないこと)
肯定的な結果とは、会社などで成功体験に対して、昇進や昇給なども含まれます。この際、公平で、周囲や本人も納得できる要素であることが大切です。
このステップがうまくいくと、次の新しい学習のモチベーションになり、より高い学習意欲をもって、ARCSモデルを回せるようになります。
ARCSモデルの意義
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ARCSモデルの意義
ARCSモデルは従業員のスキルアップや成長を考えるうえで、従業員の主体性を考慮した学習モデルです。
人事担当者の中には、会社での研修などで、「従業員がやる気をもって取り組んでくれない」という悩みを抱えている人も多いでしょう。
ARCSモデルは、心理学を元にした学習モデルで、企業研修でも実用性が高いことから注目を集めています。
従業員のモチベーションの低さに悩むような企業であれば、ARCSモデルを取り入れる効果は高いといえるでしょう。
ARCSモデルを会社に導入する方法
ARCSモデルは学習を促すモデルとして、会社で導入できないか、注目を集めています。ここではARCSモデルを会社でどのように導入するか、研修を例に説明します。
従業員のニーズ調査
従業員のニーズを調べ、従業員の関心があるテーマで研修をできれば、従業員の関心は高まります。アンケートなどで、調査し、関心の高いテーマを選ぶことも選択肢です。
研修の名称やテーマで、これまでにない要素を取り入れられないか、興味関心を引く名称にできないか、考えてもよいでしょう。
「注意」を引くことができれば、最初の段階で高いモチベーションで研修に望むことが期待できます。
課題と業務の関連性を示す
研修時の課題と業務に関連性を示すことで、従業員は目的を見出して、取り組みやすくなります。従業員のニーズを調査し、従業員が抱えている課題を事前に把握しておくと、効果的な関連性の提示ができるでしょう。
現状の業務での課題に直結している、または、業務との関連性をしっかりと説明し、理解してもらえれば、従業員が自分ごととして捉えられ、課題に前向きに取り組みやすくなるでしょう。
研修時や後の成功をサポートし自信をつけてもらう
研修後、実際の業務で課題の内容を活かして成功ができると、「受けてよかった」と実感でき、研修の効果がより高まります。
研修の最後に課題やテストをし、そこで肯定的な評価を得られると、従業員の肯定的な結果になり、学習意欲の向上が期待できるでしょう。
研修の当日だけではなく、研修後にフォロー体制を整え、従業員が成功できるようサポートできると効果的です。研修後に目標設定し、実務で成功体験ができると、自信につながります。
しかし、低すぎる場合、成功しても嬉しいと実感できない場合もあるため、注意が必要です。高すぎず、低すぎもしない、適度な難易度での目標設定ができると、より効果的です。
評価し、満足感を得てもらう
研修後に研修の成果について、評価する機会があると、従業員が満足感をえやすくなります。研修の内容と会社での評価体制に関連性が見出せるとより効果的でしょう。
評価する際、公平な評価制度であれば、評価に対する従業員の納得感がより高まります。その手法の一つが360度評価です。360度評価は、複数人の視点から評価する制度であり、より多角的かつ客観的な評価ができます。
このような評価制度であれば、従業員が自分にされた評価に納得感をえやすくなり、その後の成長を促しやすくなるでしょう。
過剰な干渉に注意
会社側が従業員に対して、過剰に干渉しすぎてしまうと、従業員のモチベーションがかえって下がる可能性があります。
ARCSモデルは学習者の主体性に着目したモデルのため、「本人がやりたいと思えるかどうか」が重要なためです。「会社から押し付けられている」と感じることで、逆効果にさえなりえます。
会社側で強制するのではなく、従業員の主体性を大切にできる体制ができると、より、ARCSモデルを活用しやすくなるでしょう。
まとめ
ARCSモデルは、従業員のモチベーションを高め自発的な学習を促すうえで、活用できる学習モデルです。このモデルをうまく企業に取り入れることで、従業員が主体的に学習できる体制を構築できます。
その体制を実現するためには、従業員の興味関心に注意をはらい、興味を引き出せるような研修体制の導入や、研修後のフォローにより成功体験をいかにさせられるかどうかが重要です。
従業員の主体性を高め、生産性を向上させたい人事担当者の方はARCS学習モデルを導入してみてはいかがでしょうか。
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