デリゲーションとは?エンパワーメントとの違いや失敗する原因、導入手順
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部下にうまく仕事を任せ、上司は自身の仕事に集中できる体制を作りたい、と考える人事担当者の方も多いのではないでしょうか。そのような場合に有効なのが、デリゲーションです。
しかし、デリゲーションは、上司が過剰に干渉するケースが多く、日本ではうまく実践できているとはいえません。
本記事ではデリゲーションとはどのようなものか、やり方や失敗事例について紹介します。デリゲーションを自社に導入する際の参考になれば幸いです。
目次
デリゲーションとは
デリゲーションとは、上司が部下に対して、仕事の一部を任せることです。この際には、部下のやり方には干渉せず、結果を重視することが求められます。
デリゲーション導入の意義
デリゲーションを導入する意義としては、以下の点があります。
・従業員個人の成長を促し、生産性を高める
・上司が本来注力すべき重要事項に注力できる
デリゲーションでは、任せた業務に関して部下に全てを一任する形になります。どの程度まで任せるかについては、ある程度上司が裁量を持っていますが、任せた業務の進め方については全て部下が責任を負うため、部下の自立心を育て、能力アップにつながります。
上司としては、部下に業務を任せることで、雑務に追われることなく、管理職としての業務に集中できることがメリットです。デリゲーションを行う際には、部下の能力や適性を見極め、いかにして業務を任せるかが重要なポイントとなります。
エンパワーメントとの違い
デリゲーションと混同しがちな言葉がエンパワーメントです。エンパワーメントとは、個人に権限を与え、能力を引き出させることを意味します。
結果として仕事を任せるという意味では、デリゲーションと同じですが、目的が大きくことなります。
エンパワーメントは部下の自律や育成を主な目的としているのに対して、デリゲーションでは、仕事を任せることそのものを目的にした手法です。
ただし、デリゲーションとエンパワーメントの両方を目的として行うこともあるでしょう。
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デリゲーションは、苦手とする人が多く、任せるといってもどう任せればよいか困る人もいます。そこで、効果的にデリゲーションを実践する方法をお伝えします。
プロセスには口を出さない
デリゲーションでは、結果にのみ口を出し、プロセスに関して口出しをしないようにしましょう。
部下が取り組む際、最初のうちは、「自分でやったほうが早いのでは」と感じてしまうケースもありえますが、その気持ちをグッと抑えて見守ることが大切です。
プロセスに口を出してしまうことで、デリゲーションは機能しなくなり、逆効果にもなりえます。
応援に力を入れる
デリゲーションでは、応援に力を入れることが大切です。
デリゲーションでは、部下に仕事を任せる際に、自発的に口を出してはいけません。しかし、放置するのではなく、状況は把握し、相談された時に対応できる体制が必要です。
相談された際には、安易にアドバイスをするのではなく、どうエールを送るべきかがデリゲーションには求められます。
部下の強みを知り活かす
デリゲーションを成功させるには、任せる部下の強みを知り、活かせることが大切です。
部下の能力を的確に把握し、強みを発揮できる仕事を任せることで、部下も仕事を的確に完了させ、プラスの成果をもたらせます。
逆に難しすぎる仕事や適性がない仕事を部下に任せてしまうと、失敗し、会社に損害をもたらすことになりかねません。
部下の能力や強みを的確に把握し、適切な難易度の仕事を任せることがデリゲーションを成功させるうえで大切なポイントです。
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デリゲーションが失敗する理由
デリゲーションは日本では浸透しておらず、失敗するケースも多々あります。これは部下に問題があるというより、上司に問題があるケースも少なくありません。
ここではどのような要因で失敗するのか、原因を解説します。
上司のプレイヤー意識
デリゲーションは、上司にプレイヤー意識があるとうまくいきません。プレイヤー意識があることで、部下へのアドバイスや業務への干渉をしてしまうためです。
上司が介入すると、デリゲーションとはいえなくなり、機能しなくなります。
自己流を強制してしまう
デリゲーションでは上司が自分のやり方を強制してはいけません。重視するのは結果であり、プロセスの部分は部下に任せる必要があります。
上司に自己流へのこだわりが強くある場合には、まず上司に対してアプローチしていく必要があるでしょう。
「自分がやらなければうまくいかない」と上司が思いこむ
上司が「自分がうまく関わらなければうまくいかない」と思い込んでしまうと、デリゲーションは失敗します。
上司の業務は部下の取り組みを管理・評価することであり、自分自身が業務を遂行することではありません。
そのため、自分がやろうという気持ちが強い場合、デリゲーションが機能しないばかりか、上司としての責務を果たせていない状態に陥ってしまいます。
特に上司がプレイングマネージャーでもある場合、自身の役割を見失いやすくなるため、注意が必要になるでしょう。
上司と部下の信頼関係が構築されていない
上司と部下の信頼関係が構築されていない場合、デリゲーションは機能しないでしょう。部下が上司を信頼していなければ、デリゲーションをする際に、必要な話し合いが適切にできず、トラブルが発生する元になります。
そのため、ある程度信頼関係が構築されていない場合には、デリゲーションは不可能です。そのような場合には、まず信頼関係の構築からはじめる必要があるでしょう。
デリゲーションを導入する手順
会社でデリゲーションを制度としてうまく導入するためには、体制づくりが大切です。ここではどのような手順で導入すればよいか、解説します。
目標設定と共有
デリゲーションを通して、どのような目標を設定するのか、どのような結果が求められるのか、設定と共有をします。部下がもし理解できていない、納得できていないことがあれば、事前に共有し、解決しておくことが大切です。
求める結果は具体的なものであり、期限を明確にしておきましょう。
ガイドラインと現状の確認
デリゲーションでは、部下にプロセスは全て任せますが、守るべき基準やガイドラインがある場合は、事前に明確にしておきましょう。
また、任せる範囲や使用可能なリソースを確認しておくことで、予想外のトラブルが発生する可能性を未然に防げます。
部下に全てを任せるといっても、丸投げにするわけではなく、事前の確認が大切です。
中間報告
任せた業務が長期間になる場合は、中間報告を行いましょう。中間報告では、何を報告するのか、評価する項目は何か、時期はいつか、明確にしておきます。
結果の確認とフィードバック
結果を確認し、結果に対する評価とフィードバックをします。人材育成を目的とする場合には、丁寧なフィードバックをすることが大切です。
ただし、プロセスに干渉すると、デリゲーションを阻害する要因になりかねません。そのため、できた成果やプラスの側面を中心にフィードバックを行いましょう。
まとめ
デリゲーションは部下に仕事を任せる手法の一つで、うまく機能すれば、部下の自立心を促しつつ成長につなげられます。また、上司も自身の業務に集中でき、組織全体の生産性の向上にも貢献するでしょう。
しかし、デリゲーションを成功させるためには、部下との信頼関係ができていることが大切です。
会社全体の風通しを改善し、信頼関係を構築する手法として、360度評価を導入する方法もあります。360度評価は一人の従業員に対して、複数人の視点から評価するため、組織内での相互理解が進み、信頼関係の構築に効果を発揮します。
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