人事評価システム「CBASE」はこちら
コラム
カテゴリ

人材版伊藤レポートとは?人的資本経営の要約と重要ポイント

2024.11.10 その他

⇒【マンガでわかる】「360度評価」のメリットやデメリット、失敗しないための導入方法が詳しく学べる資料を1分でダウンロード

「人材版伊藤レポート2.0」とは、どのようなもので、どのような内容が記載されているのか、具体的に理解できない人も多いでしょう。

「人材版伊藤レポート2.0」は、人材戦略を考える上で、重要な考え方や具体的な取り組みが豊富に紹介されています。

本記事では「人材版伊藤レポート2.0」とはどのようなものか、記載されている内容をわかりやすく解説します。人材戦略を考える上での参考にしてください。

「人材版伊藤レポート2.0」とは

「人材版伊藤レポート2.0」とは、「人的資本経営の実現に向けた検討会」(経済産業省)によってとりまとめられた報告書で、2020年に公表された「人材版伊藤レポート」の内容を元にさらに内容を深掘りしたものです。

「人材版伊藤レポート2.0」が着目される背景

「人材版伊藤レポート2.0」が着目されているのは、人材に関する企業からの関心が年々高まっているためです。AIやロボットの登場により、それ以前の人材に求められたスキルや能力が見直されていることが背景にあるでしょう。

VUCAの時代と呼ばれ、変化が早く将来の予測が難しくなったことで、より高度な専門性や多様性を社員に求めるようになってきました。

コロナ禍によって、人々の働き方の意識にい変化が見られたことも特徴の1つです。リモートワークが主流化しつつあり、コミュニケーションの機会が減るなか、どのような対応を求められているのかということも注目を集めています。

人材戦略3つの視点と5つの構成要素

「人材版伊藤レポート2.0」は、主人材戦略に求められるものを、3つの視点と5つの構成要素でまとめました。

これらの要素がどのようなものなのか、次で簡単に解説します。

3つの視点

「人材版伊藤レポート2.0」では、人材戦略で重要な3つの視点として、以下のものを挙げています。

①:経営戦略と連動しているか
②:目指すべきビジネスモデルや経営戦略と現時点での人材や人材戦略との間のギャップを把握できているか
③:人材戦略が実行されるプロセスの中で、組織や個人の行動変容を促し、企業文化として定着しているか」

中でも、「人材版伊藤レポート2.0」が最初に取り組むべきこととして挙げているのが、「①経営戦略と連動しているか」です。

連動させるために必要なこととして、経営戦略の担当者と、人材戦略の責任者はそれぞれ対話をしながら、課題を抽出することが重要であるとしています。

「②目指すべきビジネスモデルや経営戦略と現時点での人材や人材戦略との間のギャップを把握できているか」とは、①の「経営戦略としているか」による取り組みを通して、人材面での課題が把握できたら、課題ごとにあるべき姿と現在の姿を定量的に把握することを重要視しています。

「③人材戦略が実行されるプロセスの中で、組織や個人の行動変容を促し、企業文化として定着しているか」とは、人材戦略の実行と改善を繰り返すことで、行動変容を促しながら、徐々に文化として定着させることです。

文化に定着するまでには時間がかかり、人材戦略は長期的な目線での取り組みが求められます。

5つの構成要素

5つの構成要素とは、以下の要素で構成されています。

①:目指すべきビジネスモデルや経営戦略の実現に向けて、多様な個人が活躍する人材ポートフォリオを構築できているかという要素(「動的な人材ポートフォリオ)
②:個々人の多様性が、対話やイノベーション、事業のアウトプット・アウトカムにつながる環境にあるのか(「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」)
③:目指すべき将来と現在との間のスキルギャップを埋めていく(「リスキル・学び直し」)
④:多様な個人が主体的、意欲的に取り組めているか(「社員エンゲージメント」)
⑤:「時間や場所にとらわれない働き方」

それぞれどのようなものか、次で解説します。

①:目指すべきビジネスモデルや経営戦略の実現に向けて、多様な個人が活躍する人材ポートフォリオを構築できているかという要素(「動的な人材ポートフォリオ)
動的な人材ポートフォリオとは、求める人材を事業活動ごとに分類し、スキルや適性がある人材を配置することです。

②個々人の多様性が、対話やイノベーション、事業のアウトプット・アウトカムにつながる環境にあるのか(「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」)
「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」性別・年齢・国籍・価値観・経験・感性など、多種多様なバックグラウンドをもつ人材を受け入れると同時に、個々人の持っている特性を最大限に生かす環境をつくることです。

③目指すべき将来と現在との間のスキルギャップを埋めていく(「リスキル・学び直し」)
「リスキル・学び直し」とは、事業活動や環境変化に合わせて、既存のスキルから、別のスキルを新しく学び直すことです。

④多様な個人が主体的、意欲的に取り組めているか(「社員エンゲージメント」)
「社員エンゲージメント」とは、社員がどの程度会社について理解し、信頼しているかを示す指標です。社員エンゲージメントが高いほど、モチベーションが高い状態を維持でき、離職率の低下にも貢献します。

⑤「時間や場所にとらわれない働き方」
状況に応じて、さまざまな形態で働けることです。コロナ禍の影響により、リモートワークが推進されましたが、リモートワークに合わせた業務プロセスの見直しや、コミュニケーション方法の再検討などが含まれます。

【CBASE 360° なら、担当者の負担になっていた360度評価運用の課題をすべて解決】
自社の課題に合わせたカスタムオーダーに対応することで、
高い回答回収率、自動グラフ化機能による課題解決への即効性が期待できます。
  • 目的に合わせたセミオーダーメイド設計
  • 専任スタッフのサポートでとにかくカンタン手間いらず!
  • 企業の持続的成長を目的とした改善サイクルを実現

⇒「CBASE 360°」の詳細を見る

具体的なアクション

3つの視点と5つの構成要素をどのように具体化させるべきでしょうか。

ここでは、それぞれの概要と具体策について、簡単に紹介します。

経営戦略と人材戦略を連動させるための取り組み

企業の経営戦略と人材戦略はそれぞれ別ではなく、相互に協力し合える体制づくりが必要です。この戦略は人材戦略のなかでも、はじめに取り組むべきこととして挙げられています。

・CHROの設置
・全社的経営課題の抽出
・環境に合わせたKPIの設定
・人事と事業の両部門の役割分担の検証、人事部門のケイパビリティ向上
・サクセッションプランの具体的プログラム化
・指名委員会委員長への社外取締役の登用
・役員報酬への人材に関するKPIの反映

CHROとは、経営陣の一員として人材戦略の策定と実行を担う責任者のことです。このCHROとCEOのような経営陣と「全社的経営課題の抽出」に取り組むが大切だとしています。CHROからは、経営陣に対して、現状の課題や悩みを聞き出し、人材戦略に落とし込むことが求められます。

経営課題から抽出した課題は膨大になることも多いため、優先順位をつけた上で、KPIを設定します。

「As is – To be ギャップ」の定量把握のための取組

「As is – To be ギャップ」とは、目指すべき姿(To be)と現在の姿(As is)をそれぞれ分析・設定し定量的な行動目標に落とし込むことです。

定量的な目標とは数字や事実で測定可能なものであり、抽象的になりがちな人材戦略に具体性を持たせるためにも重要な役割を果たします。具体的には以下のような取り組みが挙げられます。

・人事情報基盤の整備
・動的な人材ポートフォリオ計画を踏まえた目標や達成までの期間の設定
・定量把握する項目の一覧化

企業文化への定着のための取組

人材戦略を企業文化に定着させるためには、人材戦略を実施する過程で徐々に醸成されるものです。具体的には以下のような取り組みが挙げられます。

・企業理念、企業の存在意義、企業文化の定義
・社員の具体的な行動や姿勢への紐付け
・CEO、CHROと社員の対話の場の設定

文化として定着させるためには、目指す文化を設定し、そこにひもづいた戦略設定が必要になります。

また、文化を定着させるためには、経営陣などの上層部が意識的に実践し、浸透させるための対話の場も重要です。

動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用

動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用は、具体的には以下のようなものが挙げられます。

・将来の事業構想を踏まえた中期的な人材ポートフォリオのギャップ分析
・ギャップを踏まえた、平時からの人材の再配置、外部からの獲得
・学生の採用・選考戦略の開示
・博士人材等の専門人材の積極的な採用

さまざまな取り組みが挙げられますが、現時点での人材やスキルから考えるのではなく、将来的な目標から、どのような人材が求められるかを逆算して考えることが大切です。

知・経験のダイバーシティ&インクルージョンのための取組

変化が早い時代の中で、イノベーションを生み出すために大切なのが、ダイバーシティです。多様な個性を掛け合わせて新しい価値を生み出すことにつながります。

・キャリア採用や外国人の比率・定着・能力発揮のモニタリング
・課長やマネージャーによるマネジメント方針の共有

ダイバーシティを推進するためには、採用時点での取り組みだけではなく、人によって与えられる機会に制限をかけないことが大切です。

リスキル・学び直しのための取組

リスキルは、時代の変化に合わせて必要なものを学ぶために欠かせません。リスキルに取り組みやすいよう、会社で積極的に支援することが大切です。

・組織として不足しているスキル・専門性の特定
・社内外からのキーパーソンの登用、当該キーパーソンによる社内でのスキル伝播
・リスキルと処遇や報酬の連動
・社外での学習機会の戦略的提供(サバティカル休暇、留学等)
・社内起業・出向起業等の支援

リスキルを社員に促すためには、社員のキャリア上の意向や過去のスキルを把握する必要があり、そのための仕組みづくりも求められます。

社員エンゲージメントを高めるための取組

社員エンゲージメントを高めるには、さまざまな要素が関係しており、検証と実践を繰り返すことが大切です。

・社員のエンゲージメントレベルの把握
・エンゲージメントレベルに応じたストレッチアサインメント
・社内のできるだけ広いポジションの公募制化
・副業・兼業等の多様な働き方の推進
・健康経営への投資と Well-being の視点の取り込み

企業で多様な個人の成長を促すためには、さまざまな動きに対応したキャリアパスや人事制度を整えることが求められます。

エンゲージメントの調査には、360度評価のような1人の人材を複数人の視点で調査する仕組みを導入することも効果的です。

時間や場所にとらわれない働き方を進めるための取組

リモートワークへの推進など、組織として多様な働き方をできるような仕組みづくりも大切です。

・リモートワークを円滑化するための、業務のデジタル化の推進
・リアルワークの意義の再定義と、リモートワークとの組み合わせ

仕組みだけではなく、働き方の変化に合わせて、既存の業務プロセスを見直すことも求められます。

⇒初めての360度評価導入でも安心!専任担当のサポートでカンタン導入・運用~改善も手間いらず。

人材版伊藤レポートのまとめ

「人材版伊藤レポート2.0」は、時代の変化に合わせた人材戦略をどのように実践するのか、まとめられています。しかし、これらの取り組みはあくまで企業の現状や課題に合わせて取り組むことが大切です。

また、人材戦略は取り組んでからすぐに成果が出るものではないため、中長期的な目線で取り組む必要があります。人材戦略を検討する際の参考にしてください。


  • クラウド型360度評価支援システムなら
    「CBASE 360°」

    360度評価支援システム「CBASE 360°」

  • クラウド型360度評価支援システムなら
    「CBASE 360°」

    ■わかりやすいレポートで自己分析!
    本人評価と他者評価のギャップから、対象者の強みと課題を明確にします。
    ■フィードバック業務の負担も大幅削減!
    自動リマインドで徹底管理!改善計画の確認や振り返りの失念を防止します。

360度評価支援システム「CBASE 360°」

HRコラム編集部

「CBASE 360°」は、株式会社シーベースが提供するHRクラウドシステムです。経営を導く戦略人事を目指す人事向けのお役立ち情報をコラムでご紹介します。

CBASEサービスに関するお役立ち資料・
お問い合わせはこちら
お問い合わせ
CBASEサービス導入をご検討、
ご質問のある方

お問い合わせする

お見積もり
実際にCBASEサービスを
利用してみたい方

お見積もりのご依頼

お電話でのお問い合わせ
03-5315-44779:00-18:00(土日祝を除く)