はじめての従業員満足度調査(ES調査)方法と実施のポイント
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人事や経営者をしていると、従業員満足度(ES調査)の調査を実施しようと考えたとき、
「従業員満足度調査(ES調査)のアンケートは、どのような方法で実施すれば良いのだろうか」
「従業員満足度調査(ES調査)をしてみたいけれど、具体的にはどのような方法で実施すれば良いのだろうか」
と悩んでしまいませんか。
従業員満足度調査(ES調査)においては、しっかりと調査することで従業員の不満を把握することができ、結果的には離職率の改善や、社員の士気向上による製品品質向上やサービスの向上等を狙うことが可能です。
この記事を読めば、従業員満足度調査(ES調査)の方法と実施のポイントを理解することができ、従業員満足度向上の方法を理解することができます。
従業員満足度調査(ES調査)の実施方法に困っている人事や経営者の方は、ぜひ、最後まで読んでいってくださいね。
また、従業員満足度調査(ES調査)と合わせて「360度評価」の導入もおすすめです。
目次
従業員満足度調査とは
従業員満足度(ES=Employee Satisfaction)とは「従業員が組織で働く上での居心地の良さ」を示す従業員満足度です。
従業員満足度は、報酬、福利厚生や労働環境、上司や部下との人間関係を要因とする数値で表します。
従業員満足度が上がれば、顧客満足度も上がり、業績アップにつながるといわれています。
従業員が報酬、福利厚生や労働環境、人間関係に満足感を得ていれば、自社や自社製品への愛着心が生まれます。
従業員が会社に対し愛着を持つことで、顧客に満足してもらえる対応を自主的に行うようになっていきます。
ここでは、初めての従業員満足度調査の手順や気を付けるポイントをご紹介します。
- 〇組織診断を軸に改善サイクルを構造化して提供
- 〇組織の課題を把握しやすい診断レポート
- 〇全社集計のほかセグメント別結果、設問別結果も可視化
- 〇アンケートはURLを送るだけで手間いらず!
従業員満足度調査を行う目的とは?
従業員満足度調査は社員意識調査のひとつです。
従業員の会社に対する意識や問題点を把握し、人事制度、評価、福利厚生、労務管理などのさまざまな環境改善の資料とするために活用することができます。
従業員が仕事に対するモチベーションを上げることで、会社や自社製品に対する愛着心も上がっていきます。
従業員が会社や自社製品に対する愛着心を持つことで顧客に対しても満足してもらえる対応を自主的に行うようになっていきます。
従業員満足度が高まることで、顧客満足度も相乗的に高くなり、業績向上が見込まれます。
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自社の課題を定量的に把握できる
部署内でのチームワークの問題点や、他部署との協力体制の相互理解など対面のコミュニケーションでは明らかになりづらい従業員の生の声が数値として可視化できます。
相互理解ができていないと意見対立による生産性の低下を招きます。
対立を解消するためにも、未然に防ぐためにもES調査の実施は重要です。
離職率低下・採用コストダウン
仕事やキャリアなどに関する志向や希望を把握することができるので、それを活かした人事配置につなげることができます。
このような人事配置を行うことは従業員に意欲を持って仕事に取り組んでもらうことができるため、従業員定着率の向上に繋がりますし、離職率を抑え、優秀な人材を確保することもできます。
顧客満足度の向上
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従業員満足度調査(ES調査)の実施手順
従業員満足度調査の実施手順には大きく3つのステップがあります。
準備・アンケートの設実施、分析のそれぞれの流れを解説していきます。
アンケートの準備
会社の方針や制度を見直すため、社員の意欲を向上させるためなど、まず、何のために従業員満足度調査を実施するのか、目的を明確にしましょう。
その後、調査の目的に応じ、調査対象とする社員の範囲を定めます。
また、無記名にする/記名にする、アンケート用紙で行う/Webツールを利用する、自社で行う/外部コンサルティング会社に委託するなど、調査方法の細部を固めていきます。
アンケートの設計
従業員満足度調査の目的に合わせての設問設計が重要です。
設問数が多すぎると回答途中で集中力が切れてしまい正確なデータが取れない恐れがあるため設問数には配慮が必要です。
また、質問項目に組み入れられていない内容は、集計も分析もできないので設問数と合わせて内容の選定にも注意しましょう。
設計が難しい場合は、標準設問を揃えているシステムを利用すると簡易に根拠ある従業員満足度調査が可能です。
アンケートの実施と分析
従業員満足度調査のアンケートは10日~2週間程度の期間を設けて実施します。アンケート回答期間の終了後、集計した結果は以下のような手法を用いて、比較や分析を行っていきます。
・対象者全体の平均と、組織、属性別の平均値を比較
・同一回答をした組織、属性別の割合を比較
・項目間の相関関係を分析
・項目の平均値、偏差値を集計
・前回調査時との比較
こうしたアンケート結果の分析を行うことにより、従業員満足度の状況がわかるだけではなく、改善するべき点がある部署など、企業が抱えている見えない課題を明確にすることができます。
その後、分析結果を経営幹部や管理部門で検討し、各部門にヒアリングを行って内容の裏付けをとったうえで、今後の対策や改善方針を決定します。
従業員満足度調査の分析とは?
従業員満足度調査の分析については、以下の方法があります。
・単純集計
・クロス集計
・満足度の構造分析
それぞれについて解説します。
単純集計
従業員満足度調査における単純集計とは、調査結果の全体像を把握するために行われます。
単純集計の方法としては従業員満足度調査の質問項目ごとに数値を集計して質問数で割って数値を出します。
単純集計を行うことによって会社の強みや弱みをシンプルに把握することができます。
クロス集計
クロス集計とは、社員の属性(年代や部署など)と質問項目をかけ合わせることによって職場ごとの課題を浮き彫りにする分析手法のことを指します。
特に重要な点としては管理職と一般社員での回答の違いをよく見ることです。
一般社員にとっての働きやすい環境と管理職にとっての働きやすい環境は多くの場合は一致しないので、分析することで離職率改善などを行うこともできます。
満足度の構造分析
満足度の構造分析については、質問に対しての満足度から解決策を導き出すという手法があります。
満足度の構造分析では従業員満足度の高い社員を見つけることができ、非常に有効な手段となっています。
総合的に社員満足度が高い社員のデータを分析すると従業員満足度の高い社員の傾向を理解することができます。
従業員満足度調査に取り組む企業について厚生労働省が委託調査を実施
従業員満足度調査に取り組む企業について厚生労働省が委託調査を実施しました。
→参考:厚生労働省委託事業 今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業報告書
厚生労働省の委託調査結果に関して、以下の通りとなっています。
・雇用管理の改善に力を入れた企業は生産性向上などの良い効果を得られている
・従業員満足度と顧客満足度の両方を改善する方が効果が高い
・人事目標達成の重要性
それぞれについて解説します。
雇用管理の改善に力を入れた企業は生産性向上などの良い効果を得られている
厚生労働省の委託調査によると、雇用管理の改善に力を入れた企業は生産性向上などの良い効果が得られていると発表されています。
雇用管理に継続的に取り組むことによって効果が出るとも発表されており、継続的にしっかりと計画をもって取り組んだ企業は生産性向上など大きなメリットを得られているということです。
また生産性以外にも業績向上・人材確保にも良い影響を及ぼしているということです。
従業員満足度と顧客満足度の両方を改善する方が効果が高い
従業員満足度と顧客満足度の両方を改善する方が効果が高いと言われています。
顧客満足度向上を行う企業は多いですが従業員満足度向上を同時に行っている企業は少ないともデータが出ているため、両方を行うことで大きなメリットが得られるといえます。
また、経営者は自社の経営方針を社員に浸透させることが望ましいとも指摘されています。
人事目標達成の重要性
厚生労働省の委託調査では、人事目標達成の重要性についても指摘されています。
人事目標の達成度合いが高い企業においては売上高営業利益率が増加傾向にあり、正社員が質と量ともに確保できているとされています。
人事目標をしっかりと達成することで経営に良い効果をもたらすことが期待できる結果です。
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従業員満足度調査を行うことで企業が得られるメリット4つ
従業員満足度調査を行うことで企業が得られるメリットとして、以下の4つがあります。
・現場の社員の声を理解することができる
・従業員満足度をデータで判断することができる
・人事戦略に活かすことができる
・自社の人材の抱える悩みを深く掘り下げることができる
それぞれについて解説します。
現場の社員の声を理解することができる
従業員満足度調査を行うことによって現場の社員の声を理解することができます。
従業員満足度調査はアンケート形式となっているため、答えやすく社員の本音が出やすいためです。
本社と支社など遠くに離れている社員の声も拾えるようになります。
従業員満足度をデータで判断することができる
従業員満足度調査を実施することのよって、従業員満足度をデータで判断することができます。
データで判断できることになれば従業員満足度改善の方法なども分かりやすくなるため非常に良いです。
感覚だけで判断することがなくなり、よりよい企業経営を目指すことができます。
人事戦略に活かすことができる
従業員満足度調査で得たデータをもとに、人事戦略に活かすことができます。
従業員満足度を見える化することによって具体的な戦略を考えることができるためです。
例えば自社の従業員の福利厚生に対する従業員満足度が低ければ企業年金の導入などで社員の老後を充実させるなど福利厚生を良くすることで満足度を上げることができます。
自社の人材の抱える悩みを深く掘り下げることができる
従業員満足度調査を実施することによって自社の人材の抱える悩みを深く掘り下げることができます。
従業員満足度調査では、自社の社員の抱えている悩みをデータでみることができるためです。
従業員満足度調査で満足度の低い部分があればそこに深い悩みが隠れている可能性があります。
従業員満足度調査(ES調査)のアンケートのサンプル・例文
従業員満足度調査(ES調査)では、どんなアンケート項目を作れば良いのだろうかと気になりませんか。
従業員満足度調査(ES調査)を行うにあたっては、アンケートの項目が重要となります。
具体的には、以下のカテゴリの項目を測定することで、従業員満足度を測ることができます。
・仕事
・協働
・上司
・制度・経営方針
上記のカテゴリーの中から、実際に弊社のサービスである従業員満足度調査(ES調査)のアンケートのサンプルと例文をそれぞれご紹介させていただきます。
仕事
仕事というカテゴリーの中で、以下のような質問の例文があります。
・仕事を通じた成長実感において、今の仕事を通じて自分が成長していると感じるかどうか
・会社や仕事の将来性において、会社に将来性を感じているかどうか
上記の質問に対して、満足が高いかどうかを答えることで満足度を計測します。
協働
協働というカテゴリーの中で、以下のような質問の例文があります。
・職場のモラルやマナーにおいて、職場では仕事の納期やルールが守られているかどうか
・職場メンバーのモチベーションの高さにおいて、職場のメンバーは意欲的に目標達成に向けて取り組んでいる
上記の質問に答えてもらうことで、満足度を計測します。
上司
上司というカテゴリーの中で、以下のような質問の例文があります。
・上司のリーダーシップにおいて、上司は目標を達成しようとする高い意欲を持って仕事に取り組んでいるかどうか
・上司のマネジメントにおいて、上司はメンバーの仕事の進み具合や現場の状況を把握しうまくコントロールしているかどうか
答え方によって、従業員が上司の仕事の進め方やマネジメントスキルに満足しているか、それとも満足していないかを推測することができます。
制度・経営方針
制度・経営方針というカテゴリーにおいては、以下のような質問の例文があります。
・物理的な労務環境において、快適かつ能率的に働くことのできる執務環境(照明、空調、机、パソコンなど)が整っているかどうか
・人事制度や福利厚生において、福利厚生制度は充実しているかどうか
・経営方針・理念への共感において、経営層は魅力的なビジョン(将来像)を発信しているかどうか
上記の質問に答えることによって従業員が職場環境などに満足しているかどうかを把握することができます。
- 〇組織診断を軸に改善サイクルを構造化して提供
- 〇組織の課題を把握しやすい診断レポート
- 〇全社集計のほかセグメント別結果、設問別結果も可視化
- 〇アンケートはURLを送るだけで手間いらず!
やりっぱなしはNG!調査後の対策と継続が大切
従業員満足度調査(ES調査)は実施しただけでは意味がありません。
目的に応じた回答を集計し、目的に応じたレベルでの対策が必要となります。
また、顕在化した課題に対してPDCAをまわしてかなければなりません。
調査の実施を目的にしない
従業員満足度調査(ES調査)は実施しただけでは意味がありません。
回答を受けて企業としてどのような行動につなげ、どんな結果につなげていきたいのかを設計の時点で考えておきましょう。
従業員満足度調査の実施後、浮き彫りになった課題に対策を行った企業にはさまざまな効果が現れます。
対策は「個人」「チーム」「組織」のレベルによって異なりますので目的に応じた対策を取りましょう。
調査の継続実施で対策の効果測定を
調査を単発で行うと、「あのアンケートはなんだったのか?」と従業員のやる気やモチベーションを逆に下げてしまう恐れがあります。
調査の意図、運用ルールをしっかりと周知すること、対策の実施とともに定期的に調査を実施することで改善サイクルが回り、効果に表れてくるようになります。
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年間80万人以上が利用、顧客満足度91.1%の「組織診断」
従業員満足度調査で期待できる効果と事例
従業員満足度調査をベースに改善を行った結果、期待できる効果と事例について、以下の事例があります。
・個人で起こる効果
・チームで起こる効果
・会社全体で起こる効果
それぞれについて解説します。
個人で起こる効果
従業員満足度調査を行い、改善を行ったことによって社員個人単位ではモチベーションの向上や会社に対する愛着心の向上があります。
会社が自分の意見をしっかり聞いて行動を起こしてくれたということで社員が会社を信頼してくれるためです。
働きやすい職場環境になったことによってモチベーションも自然と向上していきます。
チームで起こる効果
チームで起こる効果としては、部署単位で業績がアップするという現象が起こる可能性があります。
個人単位でモチベーションが上がっていれば、部署単位でも成果が上がった行く傾向にあるためです。
また、部署単位で成果が上がることによって他の部署にも良い影響を及ぼし業績がさらに良くなる可能性があります。
会社全体で起こる効果
従業員満足度調査を行い、結果をもとに改善を行ったことで会社全体として業績が向上するという良い影響が出る可能性があります。
個人単位・チーム(部署)単位で起こった良い影響は最終的には業績となって帰ってくる可能性があるためです。
会社の業績が向上することによってさらに従業員満足度を上げる人事戦略を行うことに積極的になることができるため、好循環を企業にもたらす可能性があります。
まとめ
今回は、従業員満足度調査について解説しました。
特に本文中に紹介させていただいた従業員満足度調査を行うことによって得られるメリットに着目してみてください。
人事戦略に活かせるだけではなく従業員満足度調査を行うことによって企業の業績向上も期待することができます。
従業員満足度調査を実施してみたい、という方はぜひ参考にしてみてくださいね。
こちらの関連記事もご参照ください
参考:社員のモチベーションを調べるモラールサーベイ(従業員意識調査)とは?
(2021.04.14追記)
Q1.従業員満足度調査において社員は実名で答えるべきですか?
従業員満足度調査は、匿名でも実名でも問題ありません。従業員満足度調査を実施するにあたって実名では本音が出てこないという場合には、匿名で実施してみましょう。実名で実施する場合には社内で事前に調整を行い、個人攻撃などをしないように周知しましょう。匿名の方が忌憚のない意見が出る一方で、実名の方が実現可能な解決策を打ちやすい回答が出てくることが多いです。経営者と事前に打ち合わせを行い、どのような意見が出ても個人攻撃をしないことは必ず徹底してください。
Q2.従業員満足度調査で失敗するのはどのようなケースですか?
従業員満足度調査で失敗するパターンとして本音を書いたのに社員が責められてしまうケースや、調査を行ったにも関わらず何の改善措置も行わないことです。アンケートを行ったら必ず改善行動を取りましょう。アンケートの結果に過剰反応して社員を攻撃することも避けましょう。特に仕事の満足度や上司との相性などは費用をかけずとも人事異動などで解決できる部分が多々あります。最初から無理だと思うのではなく、まずできることから着手していくという意識でアンケート結果を見てみましょう。
Q3.従業員満足度調査を行うことで、顧客満足度はアップしますか?
従業員満足度調査を行い、従業員の不満を取り除くことによって、従業員の満足度が向上し、最終的には顧客満足度のアップにつながる可能性があります。従業員が会社のどこに不満を感じているのかを分析し、具体的な改善を行いましょう。ストレスが少ない状態で仕事が出来ていると、従業員は自然と前向きに行動をすることが可能です。従業員満足度が高まった結果、仕事に余裕が生まれ、その余裕が顧客に良い印象を与えると考えましょう。
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